受診の目安・受診の知恵 更新日:公開日:

子どもの発疹 — 熱の有無で見分ける

子ども・赤ちゃんの発疹はとてもよくある症状で、多くは様子を見ながらのケアで落ち着いていきます。気をつけたいのは「押しても消えない紫色の斑点(紫斑)」「全身のじんま疹に呼吸困難を伴う」「ぐったりしている」の 3 つで、これらに当てはまるときは緊急受診をしてください。

結論:まず「押して消えるか」、次に「熱があるか」

発疹を見たとき、順番に確かめていただきたいことが 2 つあります。

① 押して消えるか。 多くの発疹は、指で押すといったん色が引きます。押しても消えない紫〜赤色の点やあざ(紫斑)は別扱いで、緊急性が高いサインです。透明なコップの底などで軽く押しつけて、色が消えずに残るかどうかを見てください。

② 熱があるか、熱のあとに出たか。 熱を伴う発疹は感染症のことが多く、熱がない発疹は湿疹・アレルギーのことが多い——という大まかな傾向があります。この 2 つで、考える病気はかなり絞れます。

⚠️ これは傾向であって、学会が定めた分類ではありません。実際には手足口病のように「発熱するのは約 3 分の 1 だけ」という病気もあります。迷ったら熱の有無にかかわらずご相談ください。

受診の目安

🚑 すぐ救急受診

  • 押しても消えない紫色の斑点(紫斑・点状出血)
  • 全身じんま疹 + 顔の腫れ・呼吸困難(アナフィラキシー)
  • ぐったり + 高熱 + 発疹
  • 唇・目・陰部の粘膜がただれている、水ぶくれが広がる

🌅 翌朝に外来へ

  • 発熱を伴う発疹
  • 広がりが速い
  • 口・目・陰部の粘膜にも発疹
  • 繰り返すじんま疹
  • 5 日以上続く熱に発疹を伴う

💚 様子を見て OK

  • 小さな湿疹で機嫌が良い
  • 局所的なかゆみのみ
  • 熱がなく、いつもどおり食べて眠れている

見逃してはいけない 3 つの発疹

① 押しても消えない紫斑

もっとも急ぐのがこれです。厚生労働省は、侵襲性髄膜炎菌感染症の敗血症例について「発熱、悪寒、虚脱、重症化を来すと紫斑の出現、ショックならびに DIC に進展することがある」と説明しています。届出の様式にも「点状出血」が臨床症状として挙げられています。

発熱があり、押しても消えない点やあざが出てきて、ぐったりしている——この組み合わせは、夜間でも迷わず受診してください。

② アナフィラキシー

日本アレルギー学会のガイドラインは、皮膚・粘膜の症状(全身のじんま疹、かゆみ、紅潮、唇や舌・のどの腫れなど)が数分〜数時間で急速に現れた場合をアナフィラキシーの診断の柱のひとつとしています。

同ガイドラインは同時に、典型的な皮膚症状を伴わなくても、既に分かっているアレルゲンにさらされたあと血圧低下などが急速に起こればアナフィラキシーの可能性が非常に高い、とも述べています。「発疹が出ていないから違う」とは限りません。

③ 粘膜がただれる発疹

唇・目・陰部などの粘膜に、出血やかさぶたを伴うただれが広がるときは、スティーヴンス・ジョンソン症候群(SJS)などの重い病気の可能性があります。薬を飲み始めたあとに出た発疹は、必ず受診時にお伝えください。

熱を伴う/熱のあとに出る発疹

発疹が出る感染症は、出る順番・出る場所・熱との前後関係に特徴があります。

  • 突発性発疹 — 38℃ 以上の熱が 3 日ほど続いたあと、解熱と入れ替わるように鮮紅色の発疹が体幹を中心に出ます。原因はヒトヘルペスウイルス 6 または 7 で、日本小児科学会は 5 歳までに 75% の子どもが感染するとしています
  • 手足口病 — 口の中・手のひら・足の裏や甲に 2〜3mm の水疱。発熱するのは約 3 分の 1 で、多くは 38℃ 以下です。水疱はかさぶたを作らずに治ります
  • ヘルパンギーナ — のどの奥の水疱と高熱
  • 水ぼうそう(水痘) — 紅斑→丘疹→水疱→かさぶたと進み、いろいろな段階の発疹が同時に混在するのが特徴。最初は頭皮、次いで体幹(もっとも多い)・四肢に出ます
  • りんご病(伝染性紅斑) — 両ほおが赤くなり、続いて腕や脚にレース状の紅斑。発疹が出るころには、熱などの前ぶれの時期を過ぎていることが多いのが特徴です
  • 溶連菌感染症 — 発熱・強いのどの痛みとともに、ざらざらした発疹・いちご舌。回復期に皮がむけます
  • 川崎病 — 熱・目の充血・唇の赤み・発疹・首のリンパ節の腫れ・手足の変化。2019 年の診断の手引き改訂で「5 日以上の発熱」という日数の条件は外れました。日数を待たずに、気になれば受診してください

このほか、麻疹(はしか)・風疹も発疹を伴う感染症です。麻疹は発疹の 1〜2 日前に頬の内側に白い小斑点(コプリック斑)が出て、耳の後ろ→顔→体幹→四肢の順に広がります。風疹は発疹が淡く、発熱するのは約半数にとどまります。

熱を伴わないことが多い発疹

このほか、じんましん・食物アレルギーによる発疹・苺状血管腫なども、熱を伴わずに出ることがあります。

アトピー性皮膚炎と「乳児湿疹」の違い

日本皮膚科学会の診断基準では、①かゆみ、②特徴的な皮疹と分布、③慢性・反復性の経過の 3 つを満たすものをアトピー性皮膚炎と診断します。慢性の目安は乳児では 2 ヶ月以上、それ以外では 6 ヶ月以上です。

つまり、生後まもない時期の湿疹は、この期間の基準を満たさないため「急性の湿疹(いわゆる乳児湿疹)」として扱われ、経過を見ながら診断していくことになります。最初の診察で名前が決まらないのは、いい加減だからではなく、期間で定義されているからです。

「ステロイドは怖い」と思われている方へ

外用ステロイドを避けたい、というお気持ちは診察室でもよくうかがいます。ただ、この点については学会がはっきりと害を指摘しています

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024 は、ステロイド忌避を「ステロイド外用薬への誤解から恐怖感や忌避が生じ、治療の継続性が下がること」と説明し、その背景に飲み薬の副作用との混同病気そのものの悪化と薬の副作用との混同があるとしています。

同ガイドラインには、忌避によって標準的な治療が行われなかった結果として、国内外で乳児が亡くなった症例報告が引用されています。決して脅かしたいのではありません。適切な強さの薬を、適切な期間、適切な量だけ使うことがいちばん安全だ、ということをお伝えしたいのです。

不安な点は遠慮なく聞いてください。当院では、なぜその強さの薬を選んだのか、いつやめるのかを、その場で説明します。

登園・登校はいつから?

発疹を伴う感染症のうち、学校保健安全法で出席停止の期間が決まっているものがあります。

病気 出席停止の期間の基準
麻しん(はしか) 解熱した後 3 日を経過するまで
風しん 発しんが消失するまで
水痘(水ぼうそう) すべての発しんがかさぶたになるまで
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 腫脹が出た後 5 日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで
咽頭結膜熱(プール熱) 主要症状が消退した後 2 日を経過するまで

一方、溶連菌感染症・手足口病・りんご病は「第三種(条件によっては出席停止の措置が考えられるもの)」に分類されており、通常は一律の出席停止の対象ではありません

とびひ・水いぼについては、日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会の統一見解があります。

  • とびひ — 「病変部を外用処置して、きちんと覆ってあれば、学校を休む必要はありません」。ただしプール・水泳は治るまで禁止
  • 水いぼ — 「プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません」「この疾患のために、学校を休む必要はありません」。ただしタオル・浮輪・ビート板の共用は避けてください

登園・登校の考え方の全体像は 登園・登校の目安 にまとめています。

家庭でできるケア

  • 保湿:入浴後すぐに保湿剤を塗布します
  • 掻きこわし対策:爪を短く切り、必要なら手袋を
  • 刺激を避ける:ウール・汗・熱いお湯を控えます
  • 入浴:ぬるめのお湯で短時間、こすらずやさしく洗う
  • 記録する出はじめた日・出た場所・広がり方をメモか写真で。発疹は診察までに形が変わるので、写真は大きな手がかりになります

やってはいけないこと

  • 手持ちのステロイドを自己判断で塗り続ける — 発疹の原因によって必要な薬は違います。とびひや水いぼにステロイドを塗ると悪化することがあります
  • かゆみ止めの市販薬で様子を見続ける — 一時的に楽になっても、原因が分からないままになります
  • 熱いお湯で洗う・ゴシゴシこする — かゆみが強くなります
  • 自己判断で食物を除去する — 栄養面の不利益があります。疑わしい食品は記録して、診察で一緒に整理しましょう

当院での診療

当院は自由が丘駅徒歩 1 分。発疹の診察では、出はじめた時期・広がった順番・熱との前後関係をうかがいます。出はじめの写真があれば、ぜひお持ちください。当日のご予約は Web・LINE から承ります。

よくある質問

Q. 熱が出てから発疹が出るのは?

突発性発疹が代表的です。38℃ 以上の熱が 3 日ほど続いたあと、解熱と入れ替わるように発疹が出るのが典型的な経過です。熱が下がってから出るので驚かれますが、この順番こそが特徴です。詳しくは 突発性発疹のページ をご覧ください。

Q. 食物アレルギーが心配です

食物アレルギーの皮膚症状は、原因の食べ物を食べてからおおむね 2 時間以内に、じんましん・赤み・かゆみとして出ることが多いのが特徴です。「特定の食べ物のあとに繰り返し出る」場合は大事な手がかりになるため、食べたもの・時間・症状をメモして受診時にお知らせください。自己判断で食べ物を除去すると栄養面の不利益もあるため、診察で一緒に整理しましょう。

Q. 紫斑とじんま疹の見分け方は?

じんま疹は、蚊に刺されたような 盛り上がった 発疹で、強いかゆみを伴い、数時間のうちに痕を残さず消えて、場所を変えながら出るのが特徴です。紫斑は盛り上がりのない紫〜赤色の点やあざで、押しても消えず、同じ場所に残り続けます。透明なコップの底などで軽く押して消えない発疹は紫斑の可能性があるため、上の「受診の目安」のとおり受診してください。

Q. じんましんの原因は特定できますか?

多くの場合、特定できません。日本皮膚科学会の蕁麻疹診療ガイドラインは、じんましんは世界人口の最大 20% が生涯のどこかで経験する頻度の高い疾患であり、実際には原因として特定の抗原を同定できることは少ないとしています。「原因が分からない」は珍しいことではなく、多くの場合それ自体は心配のいらない結果です。

Q. 発疹に薬を塗ってもよい?

保湿剤は基本的に塗っていただいて大丈夫です(入浴後すぐが効果的です)。一方、かゆみ止めなどの市販薬は、一時的に楽になることはありますが、発疹の原因によって必要なお薬が異なるため、自己判断で塗り続けることはおすすめしません。すでに使った場合も、受診時に「いつから・何を塗ったか」をお伝えいただければ大丈夫です。

Q. きょうだいにうつりますか?

原因によります。水ぼうそう・手足口病・溶連菌などはうつりますが、あせも・おむつかぶれ・乳児湿疹はうつりません。水いぼはプールの水ではうつらない一方、タオルや浮輪の共用でうつることがあります。診断がつけば、家庭での過ごし方も具体的にお伝えできます。

参考文献

  1. 国立健康危機管理研究機構. 突発性発しん(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/roseola/010/exanthem-subitum.html(参照: 2026-09-06)
  2. 国立健康危機管理研究機構. 手足口病(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/hand-foot-mouth-disease/detail/index.html(参照: 2026-09-06)
  3. 国立健康危機管理研究機構. 伝染性紅斑/A群溶血性レンサ球菌感染症/水痘(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ta/5th-disease/index.html(参照: 2026-09-06)
  4. 公益社団法人日本小児科学会. 突発性発疹(一般の方向け). https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/yobo-kansensho/kansensho03-33.html(参照: 2026-09-06)
  5. 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024. 日皮会誌 134(11):2741-2843, 2024. https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/ADGL2024.pdf(参照: 2026-09-06)
  6. 日本皮膚科学会. 蕁麻疹診療ガイドライン2026(第4版). 日皮会誌 136(4):375-493, 2026. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/2013/08/fd75d78b6dc0a9199d380222719cd41b.pdf(参照: 2026-09-06)
  7. 日本臨床皮膚科医会・日本小児皮膚科学会. とびひ(伝染性膿痂疹)/水いぼ(伝染性軟属腫)統一見解. https://jspd.umin.jp/qa/02_tobihi.html(参照: 2026-09-06)
  8. 日本アレルギー学会. アナフィラキシーガイドライン2022. https://anaphylaxis-guideline.jp/wp-content/uploads/2023/03/guideline_slide2022.pdf(参照: 2026-09-06)
  9. 厚生労働省. 侵襲性髄膜炎菌感染症. https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-09-01.html(参照: 2026-09-06)
  10. 小児慢性特定疾病情報センター. スティーヴンス・ジョンソン症候群(中毒性表皮壊死症を含む)診断の手引き. https://www.shouman.jp/disease/instructions_next/14_09_014/(参照: 2026-09-06)
  11. 日本川崎病学会. 川崎病診断の手引き. https://www.jskd.jp/(参照: 2026-09-06)

この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

最終更新:2026 年 9 月 6 日

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