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乳児湿疹のスキンケアと治療

赤ちゃんの顔のブツブツや頭の黄色いかさぶた、ザラついた頬。生後まもなくから多くのご家庭が経験する、ごくありふれた肌トラブルです。原因はひとつではなく、毎日の洗い方と保湿、必要なときの塗り薬で、多くはゆっくり落ち着いていきます。気をつけたいのは、かゆみが強い・じゅくじゅくする・長引くときで、アトピー性皮膚炎が隠れていることもあります。ここでは「乳児湿疹」と呼ばれる赤ちゃんの肌の状態について、家庭でできることと、当院でお手伝いできることを整理してご紹介します。

💡 この記事の要点

  • 生後まもなくから多くのご家庭が経験するありふれた肌トラブルで、ケアでゆっくり落ち着きます
  • こすらず優しく洗う・入浴後5分以内にたっぷり保湿する・刺激を減らすの3つが基本です
  • かゆみが強い・じゅくじゅくする・2ヶ月以上くり返すときは自己判断せずご相談ください

「新生児の肌荒れ」「赤ちゃんの赤いポツポツ」も、多くはこれです

病名を知らないまま調べ始める方がほとんどです。次の言い方は、いずれもこの記事で扱う状態を指しています

  • 新生児の湿疹・新生児の肌荒れ
  • 赤ちゃんの赤いポツポツ・赤いぶつぶつ・赤い斑点
  • 乳児性湿疹・乳幼児湿疹(「乳児湿疹」の書き方違い)
  • 顔のブツブツ、頭の黄色いかさぶた、頬のザラつき

生後まもない赤ちゃんの顔や頭に赤いポツポツが出るのはとてもよくあることで、赤ちゃんの 30〜40% が生後 1 年以内に何らかの湿疹を経験するとされています。まずは「めずらしいことではない」と知っていただくところからで大丈夫です。

どんな病気か

「乳児湿疹」は、ひとつの病名ではなく、生後 12 ヶ月までの赤ちゃんに見られるさまざまな湿疹をまとめて呼ぶ言葉です。代表的には次の 4 つのタイプが含まれます。

  • 頭や顔の脂っぽい湿疹(乳児脂漏性皮膚炎):生後 2 週〜6 ヶ月頃、頭皮の黄色いかさぶたや、額・眉間・鼻のまわり・頬の赤みと細かなフケのようなものが目立ちます。多くは数ヶ月で自然に落ち着いていく傾向があります。
  • アトピー性皮膚炎としての湿疹(乳児アトピー性皮膚炎):生後 2〜3 ヶ月から 6 ヶ月頃に始まりやすく、はじめは頬・額・頭に赤みやブツブツが出て、かきこわすとジュクジュクしたりかさぶたになったりします。その後、顔や体に左右対称の赤み・かさつき・かゆみが出て、よくなったり悪くなったりを 2 ヶ月以上くり返します。ご家族にアトピーや喘息、花粉症の方がいると出やすい傾向があります。
  • 接触によるかぶれ(接触皮膚炎):よだれや汗、ミルク、おむつなど、触れているところに限って赤くなるタイプです。よだれかぶれ・おむつかぶれが代表です。
  • 食べ物が関係している湿疹:食物アレルギーが原因または悪化のきっかけになっていることがあります。自己判断で食事を制限せず、医療機関で評価することが大切です。

赤ちゃんの 30〜40% は生後 1 年以内に何らかの湿疹を経験すると言われており、決してまれな状態ではありません。「乳児湿疹」とひとくくりにせず、月齢・出ている場所・経過・ご家族のアレルギー歴などをあわせて見分けていきます。

主な症状と気づきのポイント

赤ちゃんの肌を見て「これは普通の乳児湿疹なのか、それとも別の病気なのか」と迷われる方はとても多いです。次のような特徴があると、まずは乳児湿疹の範囲で考えやすくなります。

  • :頬や額に赤いブツブツ、黄色いかさぶたのような付着
  • :黄色く脂っぽいフケやかさぶた(乳児脂漏性皮膚炎に多い)
  • 体・手足:乾燥によるカサつきや、ところどころの赤み
  • 経過:生後 2 週〜6 ヶ月頃に出はじめ、洗い方と保湿で少しずつ落ち着いていく

一方で、

  • 左右対称に広がり、かゆみが強く、2 ヶ月以上よくなったり悪くなったりをくり返す
  • 浸出液(じゅくじゅく)が出る、夜にかゆがって眠れない
  • ご家族にアトピー・喘息・アレルギー性鼻炎の方がいる

といった場合は、乳児湿疹の中でも乳児アトピー性皮膚炎として継続して治療していく必要があります。「うちの子の状態はどちらだろう」と迷ったら、自己判断せずに一度ご相談ください。

いつまで続くの? タイプごとの見通し

「いつになったら治るのか」がいちばん気になるところだと思います。タイプによって見通しが違います。

タイプ 出はじめ 見通し
頭や顔の脂っぽい湿疹(乳児脂漏性皮膚炎) 生後 2 週〜6 ヶ月ごろ 多くは数ヶ月で自然に落ち着いていきます
接触によるかぶれ(よだれ・おむつなど) 触れているところ 原因を減らし、洗って保湿すれば比較的早く改善します
アトピー性皮膚炎としての湿疹 生後 2〜3 ヶ月〜6 ヶ月ごろ よくなったり悪くなったりを 2 ヶ月以上くり返します。続けて治療していく対象です

つまり、「数ヶ月で落ち着くもの」と「続けてケアが必要なもの」が混ざっているのが乳児湿疹です。だからこそ、いつまでも自己流で様子を見るより、一度どのタイプかを見てもらうほうが結果的に近道になります。

2 ヶ月以上くり返している・かゆみで眠れない・じゅくじゅくする——このいずれかがあれば、受診の目安と考えてください。

紛らわしい病気(鑑別)

赤ちゃんの肌トラブルには、乳児湿疹と見分けが必要なものがいくつかあります。

  • よだれかぶれ・おむつかぶれ(接触皮膚炎):口のまわりやおむつの中など、触れている場所に限って赤くなるのが特徴です。詳しくはおむつかぶれのページもご覧ください。
  • 真菌(カビ)による皮膚炎(カンジダなど):おむつの中に好発し、まわりに小さな衛星のような発疹ができることがあります。
  • 疥癬:夜にかゆみが強く、ご家族にも同じような皮膚症状が出ているときに疑います。
  • 水イボ(伝染性軟属腫):中央がへこんだ光沢のあるブツブツ。湿疹と一緒に出ることもあります。
  • とびひ(伝染性膿痂疹):湿疹を掻きこわしたところに細菌が入り、ジュクジュクや黄色いかさぶたが広がっていくのが特徴です。もともとの湿疹から始まることが多いので、急に範囲が広がったときはとびひのページもご覧ください。
  • 乾癬など、まれな皮膚の病気:経過が長く治療への反応が乏しい場合に念のため鑑別します。

見た目だけで判断が難しいケースも多いため、診察では出ている場所・広がり方・経過をあわせて評価していきます。

当院での診断と治療

診察では、視診と問診を中心に、赤ちゃんの月齢、湿疹が出ている場所、いつから始まったか、かゆみの有無、ご家族のアレルギー歴、ふだんの洗い方や保湿の状況をうかがいます。重症の場合や食物の関与が疑われる場合には、必要に応じて血液検査などを行うこともあります。

治療は、現行のガイドライン(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024)に沿って、次の 3 本柱で進めます。

  1. スキンケア(保湿):保湿剤を 1 日 1〜2 回以上、入浴後 5 分以内を目安に十分量塗布します。乾燥が強いときは日中の塗り直しも有効です。
  2. 抗炎症の塗り薬:炎症がある部分には、ステロイド外用薬を中心とした抗炎症の塗り薬を医師の指示に沿って使います。乳児期は弱め〜中程度のクラスを基本とし、顔・首・陰部にはより弱いクラスを使い分けます。
  3. 悪化のきっかけを見つけて減らす:よだれ・汗・衣服のこすれ、室内環境、食事との関連などを一緒に振り返ります。

症状が落ち着いたあとも、再発を防ぐために 週 2 回程度の抗炎症の塗り薬を続ける方法(プロアクティブ療法:再発予防のための定期的な塗り薬使用) が現行ガイドラインで推奨されています。「治ったら塗り薬はゼロ」ではなく、保湿と抗炎症薬を組み合わせながら、症状や経過に合わせて徐々に減らしていきます。

当院では、乳児湿疹の評価・スキンケア指導・塗り薬の処方・再発予防の計画までを一貫してお手伝いします。食物アレルギーの関与が強く疑われる場合や、なかなか良くならない重症のお子さまは、皮膚科・アレルギー専門医と連携しながら治療を進めます。

なお、乳児期にくり返す湿疹は、アレルギーマーチ(アレルギーの病気が年齢とともに連鎖する流れ:乳児期の湿疹・食物アレルギー → 喘息 → アレルギー性鼻炎)の始まりになることがあると言われています。早めに適切なケアを始めることは、症状の悪化を抑え、お子さまと保護者の毎日を楽にすることにつながります。

家庭でできるケア

毎日のスキンケアは、治療と同じくらい大切なパートです。難しい手技は必要ありません。ポイントは「優しく洗う・たっぷり保湿する・刺激を減らす」の 3 つです。

  • 入浴:1 日 1 回程度、泡立てた 低刺激の洗浄剤(ベビー用や敏感肌向けなど)を手のひらにのせ、こすらず優しく洗います。しっかりすすぎ熱すぎない湯温(38℃前後)を意識してください。
  • 保湿:入浴後 5 分以内に、保湿剤を全身に十分量塗ります。「肌がしっとりして指がすべるくらい」が目安です。乾燥が強い時期や日中乾いてきたら、1 日複数回塗り直して構いません。
  • 刺激を減らす:よだれやミルクは、ガーゼをぬるま湯で湿らせて「押し当てて吸い取る」ように。こすらないことが大切です。衣服は綿などの通気性のよい素材を選び、室内の湿度も保ちましょう。
  • 爪を短く:掻きこわしによる悪化や二次感染を防ぎます。眠っている間に顔をかいてしまうお子さまには、爪のケアが第一選択です。
  • 塗り薬:処方されたステロイド外用薬は、医師の指示通りに使い切るのが基本です。塗らずに様子を見てしまうと、かえって症状が長引くことがあります。
  • 食事:母乳や離乳食を、自己判断で制限することはおすすめできません。栄養障害につながる場合があります。最新のガイドラインでは離乳食の開始を遅らせない方針です。食物が関係している可能性があるときは、医療機関で評価していきましょう。

よくあるご質問

Q. ステロイドは怖くないですか?顔にも塗っていいですか?

赤ちゃんの肌には、医師が 弱め〜中程度のクラス を選んで処方します。顔・首・陰部にはさらに弱いクラスを使い分けるなど、部位と年齢に合わせた使い方をしますので、指示通りに使う分にはご心配の必要はありません。むしろ怖がって塗らずに様子を見てしまうと、炎症が長引いて治療が長くなることがあります。気になる点はそのつど遠慮なくご相談ください。

Q. 保湿剤は市販のものでも大丈夫ですか?どんなタイプを選べばいいですか?

ワセリンや、ヘパリン類似物質などを含む保湿剤がよく使われます。市販のものでも、香料・着色料が少なく低刺激のものを選んでいただければ、ふだんの保湿としては問題ありません。湿疹の状態によっては医療用の保湿剤が向く場合もあるため、具体的にどれを使うかは診察時にお子さまの肌を見ながらご提案します。

Q. 症状の写真を撮っておいた方がよいですか?

はい、おすすめです。湿疹は受診時に軽くなっていることもあるため、気になったときの様子をスマートフォンで撮影しておくと、診察と説明をよりスムーズに進められます。受診の際にお見せください。

Q. お風呂・保育園・お出かけはいつから大丈夫ですか?

乳児湿疹は人にうつる病気ではありません。お風呂はむしろ毎日入っていただいて構いません(清潔と保湿の両面で大切です)。保育園やお出かけも、お子さまの体調が良ければ通常通りで問題ありません。掻きこわしや浸出液が強いときの個別の対応については、診察時にご案内します。

Q. 兄弟にうつりますか?

うつりません。乳児湿疹は感染症ではないので、上のお子さまや赤ちゃんと一緒に生活していて移るような心配はいりません。

Q. 夜にかゆがって眠れないときは、家でどうしたらよいですか?

部屋の湿度を保ち、汗をかいていれば軽く拭いて清潔にする、爪を短く整える、保湿をこまめに行う、といった工夫がご家庭でできます。それでも夜間に強くかゆがる、浸出液が出てくる、というときは、抗炎症の塗り薬の使い方を見直す必要がありますので、ご相談ください。

症状についてのご相談

「この症状で受診すべき?」と迷ったときは、無理にご自身で判断せず、一度ご相談ください。写真や経過だけでは判断が難しいケースも多く、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。

自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。乳児湿疹をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン策定委員会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/ADGL2024.pdf (閲覧日:2026-06-02)
  2. 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第13章 アレルギー疾患「アトピー性皮膚炎」
  3. 日本皮膚科学会. 一般公開ガイドライン一覧. https://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/4742/ (閲覧日:2026-06-02)
  4. 日本皮膚科学会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021. https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/atopicdermatitis_guideline.pdf (閲覧日:2026-06-02)

この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

最終更新:2026年6月6日

このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。

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