感染症 更新日:公開日:

手足口病

— 大人もうつる?登園の目安と家庭ケア

最初に知っておいてほしいこと

手足口病は、夏かぜを起こすウイルスの仲間(コクサッキーウイルス A6・A16 やエンテロウイルス 71 など)が原因の感染症です。口の中・手のひら・足の裏などに水ぶくれが出て、お子さまは口の痛みでぐずったり食べたがらないことがあります。多くは 3〜7 日ほどで自然によくなりますが、近年は皮疹が広く出るタイプ(コクサッキー A6 型)も増えています。ご家庭で気をつけたいのは、口の痛みで水分がとれなくなることです。このページでは、登園の目安と家庭でのケアを順に確認できます。

💡 この記事の要点

  • 夏に流行するウイルス感染症で、口・手・足に水ぶくれが出ますが、多くは 3〜7 日で自然によくなります。
  • 口にしみない冷たいゼリーやプリンで水分・食事を補い、こまめな手洗いでご家族への感染を防ぎましょう。
  • 水分が取れずおしっこが明らかに減る・ぐったりして眠りがち・けいれんが起きたときは速やかに受診を。

どんな病気か

エンテロウイルス属のウイルス(コクサッキー A6・A16、エンテロウイルス 71 など)が原因のウイルス感染症で、夏(特に 7〜8 月)に流行します。5 歳以下のお子さまに多く、特に 2 歳前後 がピークです。1〜数年の周期で大きな流行を繰り返します。

ウイルスは飛沫・接触・便を介して広がり、うつってから症状が出るまで(潜伏期)は 3〜5 日 です。保育園で誰かが手足口病にかかると、3〜5 日後に他のお子さまにも症状が出てくる可能性があります。

近年は コクサッキーウイルス A6 型 が主な原因となっており、皮疹がおしりや膝・肘など広い範囲に出やすく、症状もやや強く出る傾向があります。

主な症状と気づきのポイント

「うちの子のこの発疹・熱は本当に手足口病?」と迷われたときの目安です。

  • 発熱: 38℃前後の軽い熱(出ないこともあります)
  • 口の中の症状: 舌・頬の内側・上あごに小さな水ぶくれ(水疱)や潰瘍ができ、しみて痛がる・よだれが増える・食べたがらない。のどの痛みを訴えることもあります
  • 手足の発疹: 手のひら・手の甲・足の裏・足の甲・指に、数ミリの楕円形の赤いブツブツと水ぶくれ(水疱)。おしり・膝・肘 にも出ることがあります(特に近年主流の A6 型)
  • 経過: 3〜7 日ほどで自然によくなり、発疹は徐々に乾いて消えます
  • 発症の数週間後に爪が剥がれることがある(自然に新しい爪が生えてきます/後述)

発疹(ブツブツ・水ぶくれ)とかゆみについて

「手足口病 かゆい」「手足口病 ぶつぶつ」——発疹が出たあと、多くの保護者の方がこの言葉で調べられます。かゆみと見た目について、よくいただく疑問にお答えします。

なお「湿疹」と検索される方も多いのですが、医学的には、かぶれやアトピー性皮膚炎のような皮膚そのものの炎症を「湿疹」、感染症に伴って出るものを「発疹(ほっしん)」と呼び分けています。指しているものは同じですのでご心配なく。

かゆいのか、痛いのか

医学の教科書では、手足口病の発疹は かゆみよりも「痛み・押すと痛い」が主 とされています。強いかゆみでかき壊すのは、どちらかというと水ぼうそう(水痘)の特徴です。

ただし、お子さまが実際にかゆがることもあります。かゆみが強くて眠れないほどであれば、あせも・虫刺され・水ぼうそう・お薬による発疹(薬疹)など、別の原因が重なっていることも考えられます。診察でご相談ください。

かゆがるときのおうちでのケア

  • 爪を短く切る。無意識にひっかいて傷を作るのを防げます
  • こすらない・つぶさない。水ぶくれは自然に乾いて消えていきます
  • 冷やす。清潔なタオルで包んだ保冷剤などをあてると、一時的に楽になることがあります
  • 熱いお湯を避ける。ぬるめの短時間の入浴にすると、かゆみが強くなりにくくなります

かき壊した傷から細菌が入ると とびひ(伝染性膿痂疹) を起こすことがあります。じゅくじゅくして黄色い汁が出てきた・かさぶたの周りが広がってきたというときは受診をご検討ください。

どこに出るか(出ない場所もあります)

手のひら・手の甲・足の裏・足の甲・指のほか、おしり・膝・肘など こすれやすいところ に出やすいのが特徴です。近年主流の A6 型では、口のまわりを含めて広い範囲に出ることがあります。

一方で、口の中だけで手足に出ないこともあります。その場合はヘルパンギーナやアフタ性口内炎との区別が必要になりますので、診察でご相談ください。

紛らわしい病気(鑑別)

似た症状の病気がいくつかあり、見分けるために診察が必要になることもあります。

  • ヘルパンギーナ: 同じ夏かぜウイルスの仲間ですが、水ぶくれが のどの奥だけ に出ます。手足には発疹が出ません
  • 水ぼうそう(水痘): 水ぶくれが 全身に散らばって出て 、強いかゆみと、かさぶた化が特徴です
  • 単純ヘルペスによる口内炎: 高熱と歯ぐきの腫れ・出血を伴い、初めての感染では強く出ます
  • アフタ性口内炎: 口の中だけに小さな潰瘍ができ、手足には症状が出ません
  • 薬による発疹(薬疹): 直前のお薬の使用歴で疑います

当院での診断と治療

手足口病は 見た目(皮疹の分布)と季節性 で診断できることがほとんどで、特別な検査は通常不要です。

特効薬はなく、症状をやわらげる治療(対症療法)が中心になります。

  • 熱や痛みがつらそうなときに解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を処方
  • 口の中が痛くて水分が取れず脱水が心配なときは、点滴での補液も検討
  • ご家庭での食事・水分のとらせ方、感染対策のご説明
  • 園から登園再開の書類を求められたときの対応(手足口病は保護者が書く「登園届」が原則です)

エンテロウイルス 71 が流行している時期は、ごく稀に 脳や神経の炎症(髄膜炎・脳炎・急性弛緩性麻痺)や心臓の炎症(心筋炎) を起こすことが報告されています。ぐったりして眠りがち・けいれん・うまく歩けない・繰り返す嘔吐 などのサインが出たときは、速やかに高次医療機関と連携します。

一人ひとり症状の出方が違いますので、お子さまの様子を伺いながらご一緒に経過を見ていきます。

家庭でできるケア

口の痛みと脱水予防が、ご家庭でのケアのポイントです。

水分と食事の工夫

  • しみないもの: 冷ましたおかゆ・うどん・ゼリー・プリン・豆腐・バナナなど、柔らかく刺激の少ないものを少量ずつ
  • 避けたいもの: 酸味(オレンジジュース・トマト)・塩味の強いもの・熱いもの・固いもの・香辛料は口内炎にしみます
  • 飲み物: 麦茶・湯冷まし・経口補水液など、冷たい・刺激の少ないものを少しずつ。スプーン・スポイト・ストロー、氷を舐めさせるなど、お子さまが取りやすい方法で

入浴

発熱がなく元気であれば短時間の入浴は問題ありません。発疹はこすらず、やさしく洗ってください。

解熱剤

熱の高さよりも、お子さまがつらそうかどうかで使うかを判断します。アセトアミノフェン(カロナールなど)を用法用量に従って使用してください。使用間隔の目安などは処方時にご説明します。

発疹のケア

基本は触らない・こすらない・清潔に保つことです。爪を短く切っておくと、無意識にひっかいて傷を作るのを防げます。

感染対策(ご家族・きょうだいへ)

  • 手洗いの徹底、特に トイレ後・おむつ替え後
  • タオル・食器・コップを分ける
  • ドアノブ・便座など触れる場所をこまめに清拭
  • 発症後しばらく便の中にウイルスが排出され続ける ため、おむつ交換とトイレ後の手洗いは症状が治まっても数週間続けてください

よくあるご質問

Q. 口の中が痛くて全然食べてくれません。何も食べなくて大丈夫?

食事は数日間少なくても、水分が取れていれば 多くの場合は大丈夫です。ゼリー・プリン・豆腐・冷ましたおかゆなど、しみない柔らかいものを少しずつ試してみてください。酸味・塩味・熱いものは避けます。水分もうまく取れない、おしっこの回数がはっきり減ったといったときは、早めに受診をご検討ください。

Q. 発疹がまだ残っていますが元気です。保育園に行っていい?

手足口病は学校保健安全法上、第三種「その他の感染症」 に分類されており、一律の出席停止期間は定められていません。熱が下がり、口の痛みが落ち着いて食事や水分が取れていれば登園可能とされています(最終判断は園と主治医)。書類については、手足口病は 保護者が記入する「登園届」 が原則です(こども家庭庁のガイドラインで、医師が書く「意見書」の対象は麻しん・水痘・プール熱などに限られています)。園から医師の書類を求められた場合は当院で対応しますので、まずは園にどの書類が必要かご確認ください。

Q. きょうだいや家族にうつさないために、家でできる具体的な対策は?

タオル・食器・コップを分け、トイレ後・おむつ替え後の手洗いを徹底してください。ドアノブや便座などはこまめに清拭します。便の中にはウイルスが症状軽快後もしばらく排出されますので、おむつ交換後・トイレ後の手洗いは長く続ける必要があります。

Q. 治った後、爪が剥がれてきました。大丈夫?

手足口病の後、発症から数週間ほど経って手足の爪が剥がれてくることがあります(爪脱落)。これは病気の経過の一部で、無理に剥がさず自然に任せていれば、新しい爪が下から生えてきます。

Q. 前にもかかったのに、また手足口病と言われました。何度もかかるの?

はい、原因となるウイルスが複数あるため、別のタイプのウイルスで再びかかることがあります。その都度、症状の出方が違うこともあります。

Q. 大人がかかると重いと聞きましたが本当ですか?

大人にもうつります。むしろ大人の方が高熱・強い口内痛・全身のだるさが強く出ることがあります。ご家族内でも手洗いとタオル・食器の分離など、基本的な感染対策をお続けください。

Q. 妊娠中の家族がいます。気をつけることは?

基本的な手洗い・タオル分離など、通常の感染対策が中心です。気になる症状が出たときはかかりつけの産科の先生にご相談ください。

Q. 予防接種はありますか?

国内では、一般の小児向けに定期接種となっている手足口病のワクチンはありません(2026 年 6 月時点)。

Q. 発疹をかゆがって夜も眠れません。かゆみを和らげる方法はありますか?

爪を短く切る・こすらない・ぬるめの短時間の入浴にする・清潔なタオルで包んだ保冷剤で冷やす、といった工夫でやわらぐことがあります。教科書的には手足口病の発疹は「かゆみ」より「痛み」が主とされているため、かき壊すほど強いかゆみが続くときは、あせも・虫刺され・水ぼうそう・お薬による発疹など別の原因が重なっている可能性もあります。眠れない日が続くようでしたら、そのまま我慢せず受診をご検討ください。

Q. 口の中だけに水ぶくれがあり、手足には出ていません。手足口病ですか?

手足口病でも、手足の発疹がはっきり出ないことがあります。一方で、のどの奥だけに水ぶくれが出て高い熱を伴う場合は ヘルパンギーナ のことが多く、口の中だけに小さな潰瘍ができて熱がないときはアフタ性口内炎のこともあります。口の中の水ぶくれが出る場所(手足口病は頬の内側や舌など前のほう、ヘルパンギーナはのどの奥)で見分けますので、診察でご確認ください。

Q. 口のまわりにも赤いブツブツが出てきました。

近年主流のコクサッキーウイルス A6 型では、口のまわりを含めて広い範囲に発疹が出ることがあります。手足口病の経過の一部ですので、こすらず清潔に保ってください。ただし、じゅくじゅくして黄色い汁が出る・かさぶたが広がるというときは とびひ が重なっている可能性がありますので受診をご検討ください。

Q. のどが痛いと言っています。ヘルパンギーナとどう違いますか?

どちらも同じ夏かぜウイルスの仲間で、症状も重なります。目安として、ヘルパンギーナは のどの奥だけ に水ぶくれが出て急な高熱で始まることが多く、手足口病は口の中でも 前のほう(頬の内側・舌)に出て、手足やおしりにも発疹が出ます。熱も手足口病では出ないことが少なくありません。見た目だけで確実に区別できないこともありますが、ケアの方針(しみないものを少量ずつ・水分をこまめに)はどちらも同じです。

症状についてのご相談

「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。気になる症状があれば、受診をご検討ください。

自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。手足口病をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。

参考文献

  1. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2025 年 4 月改訂版. 2025. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf
  2. MSD マニュアル プロフェッショナル版. 手足口病. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/13-%E6%84%9F%E6%9F%93%E6%80%A7%E7%96%BE%E6%82%A3/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9/%E6%89%8B%E8%B6%B3%E5%8F%A3%E7%97%85
  3. 札幌市保健所. 手足口病. https://www.city.sapporo.jp/hokenjo/f1kansen/f32teashikuchi.html
  4. 木田美由樹. 小児のエンテロウイルス感染症. 日本環境感染学会誌. https://www.kankyokansen.org/journal/full/03206/032060344.pdf
  5. 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第15章 感染症 B.ウイルス感染症「手足口病」.
  6. 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「手足口病」印刷 p.520-521)

この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

最終更新:2026 年 8 月 27 日

このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。

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