アデノウイルス感染症(プール熱・はやり目)
高い熱が何日も続いたり、白目が真っ赤になって目やにが出たりすると、ご家族はとても心配になりますね。アデノウイルスは、こうした「のど」「目」「お腹」などにさまざまな症状を起こす、子どもにとても身近なウイルスです。多くのお子さまは1〜2週間ほどで自然によくなりますので、慌てずに、つらい症状をやわらげながら見守ることが基本になります。気をつけたいのは、高熱そのものよりも、水分がとれない・呼吸が苦しそう・反応が鈍いといった全身の様子です。
このページでは、アデノウイルス感染症の代表的な病型(プール熱・はやり目など)と、ご家庭でのケアのコツ、保育園や学校をお休みする期間の目安について、現行ガイドライン(2025年改訂)に沿ってお伝えします。
💡 この記事の要点
- のど・目・お腹に症状が出るウイルスで、多くは1〜2週間ほどで自然によくなります
- 水分をこまめに少量ずつ、目やにはガーゼで目頭から目尻にやさしくふきます
- 呼吸が苦しそう・水分がとれない・反応が鈍いときはご相談ください
どんな病気か
「アデノウィルス」と書かれることも、園からのお知らせで「アデノ」とだけ書かれることもありますが、いずれも同じウイルスです。
アデノウイルスは、子どもの風邪を起こすウイルスのひとつで、A〜Gの7種に分類される多くの型があります。型によって出る症状が違うため、同じ「アデノウイルス」でも、のどと目に強く症状が出るタイプ(プール熱)、白目が真っ赤になるタイプ(はやり目・流行り目)、おしっこに血が混じるタイプなど、見え方がいろいろ変わります。
- 代表的な病型: プール熱(咽頭結膜熱)、はやり目(流行性角結膜炎)、ふつうの風邪症状、おなかの風邪、おしっこに血が混じる膀胱炎など
- 流行る時期: 一年を通してみられますが、プール熱は夏(7〜8月)に多い傾向があります
- 広がり方: せきやくしゃみ(飛沫)・手やタオルを介した接触・便を介した経路で、家庭内や保育園で広がりやすいウイルスです
- 潜伏期間: うつってから症状が出るまで2〜14日(病型により幅があります)
なお、「プール熱(咽頭結膜熱)」「はやり目(流行性角結膜炎)」は、それぞれを独立した感染症として説明することもあります。本ページではアデノウイルス全体の総論としてご案内します。
主な症状と気づきのポイント
「うちの子の症状はアデノウイルスかも?」と思ったとき、保護者の方が気づきやすいサインを病型別にまとめました。
| 病型 | 親が気づきやすい症状 |
|---|---|
| プール熱(喉と目に出るタイプ) | 39〜40℃の高熱が4〜5日続く/のどの痛み/白目の充血/頭痛/だるさ |
| はやり目(目に強く出るタイプ) | 白目がとても赤い/目やにが多い/目の痛み/耳の前のグリグリ(リンパ)の腫れ |
| ふつうの風邪症状 | せき・鼻水・のどの痛みなど一般的な風邪と同じ |
| おなかの風邪タイプ | 嘔吐・下痢 |
| 血が混じる膀胱炎タイプ | おしっこに血が混じる/回数が多い(男の子に多く、3〜4日で自然に治まることが多いです) |
| 重い肺炎タイプ(まれ) | 呼吸が苦しそう/哺乳が極端に悪い/顔色が悪い |
プール熱の結膜の症状は、片方の目から始まって、その後もう片方に広がることが多いのが特徴です。目やには白っぽい〜うすい黄色で、細菌性の結膜炎のような濃い膿状のものとは少し見え方が違うことが多いです。
「いつもの風邪と違うかも」「目が真っ赤で心配」と感じたら、お気軽にご相談ください。
下痢・嘔吐が出るタイプについて
アデノウイルスというと高熱と目の充血の印象が強いのですが、型によっては下痢や嘔吐が主な症状になります(31・40・41 型)。「熱と目」ではなく「おなか」に来るので、保護者の方が最初にアデノウイルスを思い浮かべないことも多い病型です。
見え方はほかの 胃腸炎 と大きく変わりません。ご家庭でのケアも同じで、経口補水液を少量ずつこまめにが中心になります。おむつが半日ほとんど濡れていない・涙が少ない・ぐったりしている、といった水分が足りないサインがあれば受診をご検討ください。
なお、同じお子さまが以前アデノウイルスにかかっていても、型が違えばまたかかります。「前にアデノって言われたのに、また?」というのは珍しいことではありません。
紛らわしい病気(鑑別)
アデノウイルスは症状が幅広いため、別の病気と見分けが必要になることがあります。
- インフルエンザ・RSウイルス・新型コロナウイルスなど他のウイルス性の風邪 — 高熱・咳・のどの痛みが似ています
- 溶連菌によるのどの感染症 — 高熱・のどの強い赤みが似ています(こちらは抗菌薬が効きます)。アデノウイルスによる扁桃炎はのどの炎症が強く、溶連菌との見分けが必要になることがあります
- 細菌性の肺炎・マイコプラズマ肺炎 — 咳が長引いたり、呼吸の状態が気になるとき
- 細菌性・アレルギー性の結膜炎 — 目の症状だけが目立つとき
診察では、症状の組み合わせと流行の状況、必要に応じて検査も組み合わせて判断します。なお、アデノウイルスは高熱に加えて血液検査で白血球やCRP(炎症反応)が高くなることがあり、細菌感染と紛らわしいことが知られています。検査の数値だけでなく、症状の経過もあわせて総合的に判断します。
当院での診断と治療
診察と検査
アデノウイルスは、典型的な症状と流行の状況から診断することが多い病気です。必要に応じて、次のような検査を行います。
- アデノウイルス迅速抗原検査 — 綿棒でのどや目の表面、便などをぬぐい、15分ほどで結果が出ます。陽性であれば診断の助けになります(ただし陰性でも感染を完全には否定できないため、症状の経過もあわせて判断します)
- 血液検査 — 全身の状態を確認するために行うことがあります
治療
アデノウイルスに直接効く薬(抗ウイルス薬)はなく、抗菌薬(抗生物質)も効きません。そのため、つらい症状をやわらげる「対症療法」が治療の基本になります。
- 解熱薬(アセトアミノフェンなど)でつらい熱や痛みをやわらげる
- 水分補給 をこまめに行う
- 目の症状が強いときの 眼まわりのケア
- 細菌が後から感染した場合には抗菌薬を使うことがあります
当院で対応できること
- アデノウイルス迅速抗原検査と対症療法
- 目の症状が強い場合の眼科への紹介の検討
- 保育園・幼稚園・学校への 意見書(登園・登校再開時に必要な書類)の発行
- 呼吸が苦しそう・血便・強い脱水など、より高度な対応が必要なときの 連携医療機関へのご紹介
家庭でできるケア
ご家庭でのケアは、「ご本人のつらさをやわらげること」と「ご家族にうつさない工夫」の2つが柱になります。
お子さま本人のケア
- 水分をこまめに: 経口補水液・薄めたイオン飲料・お味噌汁の上澄みなど、本人が飲みやすいものを少量ずつ。嘔吐があるときは、スプーン1杯ずつでも構いません
- 無理に食べさせない: 食欲が落ちるのは自然なことです。プリン・ゼリー・おかゆなど、のどを通りやすいものを少しずつ
- 目のケア: 目やにはぬるま湯で湿らせたガーゼやコットンで、目頭から目尻に向かってやさしくふきます。片目ずつ別のガーゼを使い、使い終わったらすぐに捨てます
- 入浴: 体調がよければ短時間のシャワーや入浴は可能です。目の症状があるときは、洗髪時に目に水やシャンプーが入らないよう注意してください
ご家族にうつさないために
アデノウイルスは感染力が強いため、ご家庭内でも次のような工夫が役立ちます。
- 手洗いを徹底する: トイレのあと、目や鼻を触ったあと、食事の前、おむつ交換のあとなど
- タオル・洗面器・コップを分ける: とくに目やにが多いときや、症状が出ている期間は別々のものを
- お風呂は症状のある人を最後に
- おむつ交換のあとは特にしっかり手洗いを: 便には症状が治まったあとも長く(数週間〜数か月)ウイルスが出ることがあります
なお、プール熱(咽頭結膜熱)は第二種、はやり目(流行性角結膜炎)は第三種の学校感染症で、いずれも出席停止の対象です。登園・登校をお休みする必要があり、再開の目安は病型ごとに異なります(次の項目で詳しくご案内します)。
よくあるご質問
Q. 目が真っ赤で目やにがたくさん出ています。お風呂やプールはどうしたらいいですか?
結膜の症状があるあいだは、ご家族のお風呂は最後に入る、タオルや洗面器は分けるといった工夫をしてください。プールは、医師が「もう大丈夫」と判断するまではお休みしましょう。
Q. 兄弟や家族にうつさないために、家でできる工夫はありますか?
手洗いの徹底、タオル・食器・洗面器の共用を避けること、目を触った手で他のものを触らないこと、おむつ交換後の手洗いをいつもよりしっかり行うことが基本です。可能であれば、寝室を分けるとさらに安心です。
Q. ご飯を食べてくれません。水分もあまり飲みません。何を飲ませたらいいですか?
経口補水液・薄めたイオン飲料・お味噌汁の上澄みなど、本人が受け入れやすいものを少量ずつこまめに。おしっこの回数が減る・唇が乾く・ぐったりしているなどのサインがあれば、迷わずご相談ください。
Q. 高熱が何日も続くのは普通ですか?
プール熱では39〜40℃の高熱が4〜5日続くことが多く、よくあるご経過です。とはいえ、ご家庭で見ていて不安な症状(呼吸が苦しそう・水分がとれない・反応が鈍いなど)があれば、いつでもご相談ください。
Q. 保育園・学校はいつから行けますか?診断書は必要ですか?
プール熱は「発熱・のどの炎症・結膜の炎症などの主要症状がすべて消えてから2日が経過するまで」、はやり目は「医師が感染のおそれがないと判断するまで」お休みすることになっています(学校保健安全法施行規則)。再開時に必要な意見書は当院でも発行できますので、ご相談ください。
Q. 妊娠中の家族や赤ちゃんがいます。気をつけることはありますか?
接触と飛沫を避けることが大切です。タオル・食器を分け、抱っこや授乳の前には必ず手洗いを。
Q. 熱ではなく、下痢や嘔吐が出ています。アデノウイルスでもそうなりますか?
なります。アデノウイルスには型がたくさんあり、31・40・41 型ではおなかの症状(下痢・嘔吐)が中心になります。ケアはほかの 胃腸炎 と同じで、経口補水液を少量ずつこまめに、が基本です。水分が足りていないサイン(おむつが半日ほとんど濡れていない・涙が少ない・ぐったりしている)があれば受診をご検討ください。
Q. 前にもアデノウイルスと言われたのに、また同じ診断でした。
型が違えば、また感染します。アデノウイルスは A〜G の 7 種に多くの型があり、一度かかって免疫がつくのはかかった型に対してだけです。前回が目の症状、今回はおなかの症状、というように出方が変わることもあります。
Q. 大人にもうつりますか?
うつります。ご家庭内では、タオル・洗面用具を分け、手洗いを徹底してください。とくに目の症状が出るタイプは感染力が強いので、目を触った手であちこち触らない・タオルを絶対に共用しない、が大切です。
当院は小児科ですので、大人の方の診療は行っておりません。おとなの方は内科、目の症状が強いときは眼科の受診をご検討ください。
症状についてのご相談
「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。気になる症状があれば、受診をご検討ください。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。アデノウイルス感染症をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2025 年 4 月改訂版. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf
- 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第15章 感染症「アデノウイルス感染症」(印刷 p.333-334)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 咽頭結膜熱. https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/adeno/index.html
- 厚生労働省. 咽頭結膜熱. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/pcf.html
- 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「アデノウイルス感染症」印刷 p.522)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 8 月 27 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。