突発性発疹
赤ちゃんが「はじめての高熱」で病院を訪れる、もっとも代表的な病気のひとつです。3 日ほど続く高熱のあと、解熱とほぼ同時に体に細かなピンク色のぶつぶつが広がるのが特徴で、ほとんどのお子さまは自然によくなります。気をつけて見ていただきたいのは、熱の高さそのものより、水分がとれているか・機嫌が保たれているかです。ここでは、ご家族が知っておくと安心できる経過のイメージと、家庭でのケアのポイントをまとめました。
💡 この記事の要点
- 3 日ほど高熱が続いたあと解熱と同時に発疹が出る乳児の感染症で、ほとんどのお子さまは自然によくなります。
- 母乳・ミルク・麦茶を少量ずつこまめに補い、熱でつらそうなときはアセトアミノフェンでつらさをやわらげましょう。
- 意識がはっきりしない・けいれんが長く続く・手足の動きや反応に異常があるときは医療機関にご連絡ください。
どんな病気か
突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルスの仲間(HHV-6・HHV-7。大人の口唇ヘルペスや性感染症のヘルペスとは別の種類です)が引き起こす、乳児期によくみられる感染症です。
呼び方がいくつかあります。「突発疹(とっぱつしん)」「突発性発しん」「ロゼオラ」はいずれも同じ病気を指します。また「突発性湿疹」と書かれることがありますが、正しくは「突発性発疹」です(湿疹ではなくウイルス感染による発疹のため)。なお、「三日ばしか」は風疹(俗称: 三日ばしか)を指す呼び名で、突発性発疹と混同されることがありますが、両者は別の病気です(風疹については後述の「紛らわしい病気」もご覧ください)。
おもに生後 6 か月〜2 歳の赤ちゃんがかかり、1 歳前後がピークです。2 歳までにほとんどのお子さま(90% 以上)が一度は経験するとされています。原因となるウイルスが HHV-6 と HHV-7 の 2 種類あるため、別々に 2 回かかることがあります。
うつる経路は、おもに家族のだ液を介してと考えられています。うつってから熱が出るまで(潜伏期)はおよそ 9〜10 日です。ただし、ウイルスを持っていても症状が出ないこと(不顕性感染)も多く、誰からうつったかを特定するのは難しい病気です。「保育園でもらってきた」「きょうだいからうつった」と原因を探しても、はっきりしないことがほとんどです。
主な症状と気づきのポイント
ご家族が一番不安に感じるのは、「この熱と発疹は、本当に突発性発疹で大丈夫なのか」という点だと思います。典型的な経過は次の 3 段階で進むことが多く、流れに当てはまるかどうかが、ひとつの目安になります。
- 高熱が出る時期(おおむね 3 日ほど。3〜4 日かかることもあります) 38〜39℃以上の高い熱が続きます。ただし、熱の高さのわりに比較的元気で、母乳・ミルク・離乳食もある程度とれることが多いのが特徴です。
- 熱が下がるころに発疹が出てくる 解熱の直前〜直後に、おなか・背中・胸を中心に、小さなピンク色のぶつぶつが広がります。そこから手足・顔へと広がっていきます。
- 発疹はかゆみが少なく、1〜3 日で自然に消える 発疹のあとに色素が残ったり傷になったりすることもありません。
発疹が出る前の時期には、のどの奥(軟口蓋・のどちんこの付け根)に、粟粒ほどの小さな赤いふくらみがみられることがあります(永山斑と呼ばれます)。発疹が出る前に「突発性発疹らしい」と見当をつける手がかりのひとつで、診察のときに口の中も見せていただくのはこのためです。
熱の出ている時期に、頭のやわらかい部分(大泉門)が少しふくらんで見えることがあります。突発性発疹では一時的にみられることが知られており、機嫌や水分のとり方が保たれていれば、多くは心配のいらない所見です。気になるときは診察でご確認します。
熱が高くてもお子さまの機嫌・水分のとり方が保たれていることが多いのは、突発性発疹の安心材料のひとつです。一方で、熱が下がってから発疹が出てくるタイミングで、急に「機嫌が悪い・ぐずる・食欲が落ちる」というご相談をいただくことがあります(「不機嫌期」と呼ばれることもあります)。発疹そのものは数日で落ち着いていきますので、過度に心配されなくて大丈夫なケースが多いです。
合併症としては、高熱がきっかけで起きる熱性けいれんがみられることがあります。また、ごくまれですが脳に炎症が起きることが報告されています。意識がはっきりしない、けいれんが長く続く、いつもと違う神経の症状(手足の動きや反応の異常)があるときは、医療機関へのご連絡をお願いします。
紛らわしい病気(鑑別)
発疹を伴う赤ちゃんの病気はいくつかあり、突発性発疹と見分けが必要なものがあります。ここでは代表的な 4 つを、ごく簡単にご紹介します。「自分のお子さまがどれに当てはまるか」を見極めるのは医師の役割ですので、気になるときはご相談ください。
- 麻疹(はしか) — 発疹が出てからも高熱が続き、口の中に白い斑点(コプリック斑)がみられることがあります。
- 風疹(俗称:三日ばしか) — 軽い熱と、首のうしろのリンパ節(ぐりぐり)の腫れを伴うことが多いです。
- 薬疹 — 直前にお薬を始めた経過があるとき。
- 伝染性紅斑(リンゴ病) — ほっぺが蝶のような形に赤くなるのが特徴です。
当院での診断と治療
突発性発疹は、典型的な経過(数日の高熱 → 解熱とともに発疹)で診断する病気で、特別な検査は通常必要ありません。診察では、お子さまの全身の様子・水分のとり方・発疹の出かたを確認し、ご家庭での経過と合わせて判断します。
治療は、ウイルスそのものを直接たたく薬は使わず、つらさをやわらげる対症療法が基本です。
- 解熱薬(小児科で一般的に使われるアセトアミノフェン。カロナールやアンヒバ坐薬などの製剤があります)でつらさを軽減する
- こまめな水分補給で脱水を防ぐ
- 安静に過ごせる環境を整える
ごくまれに脳の炎症など重い症状が起きた場合には、入院や高度な医療機関での治療が必要になることがあります。当院では、典型的な経過の診断・対症療法のご案内に加えて、熱性けいれんが起きたあとのご相談や、ご家庭での見守り方の説明にも丁寧に対応します。
家庭でできるケア
突発性発疹は、ほとんどのケースでご家庭での経過観察と、つらさをやわらげるケアで自然に治っていきます。以下は、ご家庭で意識していただきたいポイントです。
- 水分: 高い熱が続く時期は脱水になりやすいので、母乳・ミルク・麦茶・経口補水液(OS-1、アクアライトなど)を、少量ずつこまめにあげてください。一度にたくさん飲めなくて大丈夫です。
- 解熱薬: 熱の数字だけでなく、お子さまがぐったりしている・水分や睡眠がとれないなど「つらそう」なときに、医師・薬剤師から処方・指示されている量で使用します。使うタイミングに迷うときはご相談ください。
- 入浴: 解熱したあとは、本人の体調と機嫌がよければ入っていただいて構いません。発熱中は、汗を拭く・着替える程度でも快適に過ごせます。
- 食事: 食欲が落ちている時期は、おかゆ・うどん・ゼリー・アイスなど、食べやすく水分のとれるものを優先してかまいません。無理に量を取らせる必要はありません。
- 発疹のケア: 突発性発疹の発疹はかゆみが少なく、痕にも残りませんので、特別なスキンケアは必要ありません。
- 登園・登校: 学校保健安全法上、出席停止が定められた感染症ではありません(日本小児科学会「予防接種・感染症対策委員会」2025 年 4 月改訂版)。本人の体調・機嫌・食欲が戻っていれば、保育園や幼稚園と相談しながら登園を検討できます。
熱性けいれんが起きたときに「親として何をすればよいか」のご相談も多くいただきます。落ち着いて見守るポイント(横向きに寝かせる、口の中に物を入れない、けいれんの様子と時間を見ておく、など)は、診察時に個別にご案内します。
よくあるご質問
Q. 熱は下がったのに発疹が出てきました。お風呂や保育園は大丈夫ですか?
突発性発疹は学校保健安全法上の出席停止が定められた感染症ではなく、解熱後の入浴も通常は問題ありません。本人の機嫌や食欲が戻っていれば、登園のタイミングを園と相談していただけます。個別のご状況については 受診をご検討ください。
Q. 高熱なのに比較的元気そうです。家でしばらく見ていて大丈夫でしょうか?
突発性発疹では、熱の高さに比べて機嫌・水分のとり方が保たれていることが多いとされています。とはいえ、お子さまの様子はご家族が一番よくご覧になっています。気になるときは、迷わずご相談ください。
Q. きょうだいや家族にうつりますか?
2 歳までにほとんどのお子さまが一度はかかる、ごくありふれたウイルス感染です。大人のご家族はすでに免疫を持っていることがほとんどで、ふだんどおりの手洗いで様子を見ていただいて差し支えありません。
Q. 熱は何日くらい続きますか?
おおむね 3 日ほどで、3〜4 日かかることもあります。熱が下がるのと入れ替わるように発疹が出てくるのが典型的な経過です。4 日を超えても熱が下がらない、熱が下がったあとにまた上がる、といったときは別の病気の可能性もありますので受診をご検討ください。
Q. 発疹は何日で消えますか? 跡は残りますか?
発疹はかゆみが少なく、1〜3 日で自然に消えます。色素が残ったり傷になったりすることはありません。特別なスキンケアも必要ありません。
Q. うつってから何日で発症しますか(潜伏期間)?
およそ 9〜10 日です。ただし症状が出ないままウイルスを持っている人も多く、誰からうつったかを特定するのは難しい病気です。
Q. 突発性発疹は 2 回かかると聞きました。本当ですか?
原因となるウイルスが HHV-6 と HHV-7 の 2 種類あるため、それぞれに 1 回ずつ、計 2 回かかることがあります。
Q. 発疹が出てから、急に機嫌が悪くなりました。受診したほうがよいですか?
解熱後に「不機嫌期」と呼ばれるぐずりが出ることがあり、多くは数日で落ち着きます。水分がとれていて元気がある程度保たれていれば、ご家庭での見守りで大丈夫なケースが多いです。判断に迷うときはご相談ください。
Q. 発熱中にけいれんが起きました。今後また起きますか?
高熱がきっかけで起きる熱性けいれんは、多くが短時間で自然に止まる「単純型」と呼ばれるタイプです。次に発熱があったときの家庭での対応について、診察時に個別にお話しさせていただきます。
症状についてのご相談
はじめての高熱は、どんな病気でもご家族にとって大きな不安です。ひとりで判断せず、まずはお気軽にご相談ください。お子さまの月齢・症状・ご家庭の状況をうかがったうえで、受診のタイミングやご家庭での見守り方を、いっしょに考えていきます。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。突発性発疹をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2025 年 4 月改訂版. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf (参照 2026-06-02)
- 東京都感染症情報センター. 突発性発しん Exanthem subitum. https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/exanthem_subitum/ (参照 2026-06-02)
- 国立感染症研究所. 突発性発疹のウイルス学的な検査法. 病原微生物検出情報(IASR). https://id-info.jihs.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/10052-490r02.html (参照 2026-06-02)
- MSD マニュアル プロフェッショナル版. 突発性発疹. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/乳児および小児における様々なウイルス感染症/突発性発疹 (参照 2026-06-02)
- 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第15章 感染症「突発性発疹(HHV-6/7)」(印刷 p.329-330)
- 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「突発性発疹」印刷 p.514)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 2 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。