咽頭結膜熱(プール熱)
「高熱が下がらない」「目が赤くて目やにがすごい」「のどを痛がる」——お子さまにこの 3 つがそろって出てきたとき、保護者の方が最初に思い浮かべるのが「プール熱」かもしれません。プール熱は正式名を 咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ) といい、アデノウイルスというウイルスによって起こる、夏に多い感染症です。多くのお子さまは 1〜2 週間ほどで自然に回復します。高めの熱が数日続きやすい病気なので、水分がとれているかを気にかけて見てあげてください。
このページでは、プール熱の特徴・お家でのケア・登園や登校の目安まで、保護者の方が知りたい順に整理してご案内します。
💡 この記事の要点
- 高熱・のどの痛み・目の充血がそろって出る夏の感染症で、多くは1〜2週間ほどで回復します
- 少量ずつこまめに水分をとらせ、目やには清潔なコットンでやさしくふき、タオルは分けます
- おしっこの量が明らかに少ない・半日以上出ない・ぐったりしているときは早めにご相談ください
どんな病気か
咽頭結膜熱(プール熱)は、アデノウイルス(主に 3 型・4 型・7 型)というウイルスによる急性の感染症で、高熱・のどの痛み・目の充血 の 3 つが同時に出るのが特徴です(現行ガイドライン:日本小児科学会 2025 改訂版に基づく)。
- プールでの集団感染がよく知られているため「プール熱」と呼ばれていますが、プールに入っていなくても、せき・くしゃみのしぶき(飛沫)や目やに・鼻水を介した接触でうつります。保育園・幼稚園・学校など、子ども同士の距離が近い場所での流行が中心です。
- 主に 1〜15 歳のお子さま に多く、夏(6〜9 月、特に 7〜8 月) にピークがあります。
- うつってから症状が出るまでの期間(潜伏期)は 5〜7 日 ほどです。
- 学校保健安全法の 第二種学校感染症 に指定されており、主要な症状がおさまってから 2 日が経つまでは登園・登校を控える ことが定められています。
主な症状と気づきのポイント
「うちの子の症状はプール熱なのかな?」と気になったときに、観察しやすいポイントから順にまとめます。
保護者が気づきやすい 3 つのサイン
- 高い熱が続く — 39〜40℃の発熱が 4〜5 日ほど続く ことが多いです(個人差があります)。
- のどの痛み — のどの奥が赤くはれ、お子さまが「のどが痛い」と訴えたり、ごはんや飲み物をいやがったりします。のどの奥の扁桃(へんとう)が大きく赤くなることもあります。
- 目の症状 — 片目または両目が赤くなる(白目の充血)、目やにが出る、涙が止まらない、光をまぶしがる、といったサインが見られます。発熱より遅れて出てきたり、熱が下がっても目の症状だけ長引いたりすることもあります。
そのほかに見られることがある症状
- 首のリンパ節(耳の下〜首すじのしこり)がはれる
- 頭痛、だるそう・ぐったりして見える、食欲がない
- ときに、吐いたり下痢をしたりする
※ 症状の出方には個人差があります。「どの症状がどのくらい強いか」「ぐったり具合はどうか」は、お子さまによって大きく違います。
何日休むことになるか(登園・登校とプールの数え方)
保護者の方がいちばん知りたいのはここだと思いますので、先にまとめます。
プール熱(咽頭結膜熱)は 学校保健安全法の第二種学校感染症で、決まりは日数ではなく 「主要症状が消えたあと 2 日を経過するまで」 です。「発症から◯日」ではなく 「症状が消えてから 2 日」 と数えます。
- 主要症状 = 発熱・のどの痛み・目の充血
- 数え方の例: 木曜に熱も目の赤みも治まった → 金・土の 2 日をあけて 日曜以降が登園可能
熱そのものは 39〜40℃が 4〜5 日ほど続くことが多く、目の症状は熱が下がったあとも残ることがあります。目の充血や目やにが続いているうちは「主要症状が消えた」とは数えません。ここを見落とすと、園で登園を止められて往復することになります。
プールの再開も同じ基準です。出席停止が解けてから入れるようになります。
実際の再開日は、園や学校の書類の要否とあわせて診察時に個別にご案内します。
紛らわしい病気(鑑別)
プール熱とよく似た症状が出る病気として、次のようなものがあります。見分けは医師でも症状だけでは難しいため、必要に応じてのどや目の検査を行います。
- 溶連菌(ようれんきん)感染症 — のどの痛みが中心で、目の充血は通常ありません。
- インフルエンザ — 高熱と全身のだるさが強く、目の充血は通常ありません。
- 流行性角結膜炎(はやり目) — 目の症状(充血・目やに)が強く、発熱は軽いことが多いです。
- 川崎病 — 5 日以上続く高熱・唇が赤くなる・体に発疹が出るなどの特徴があります。発熱が長く続くときは、医師がこの可能性も含めて経過を見ていきます。
- 麻疹(はしか) — 高熱・目の充血に加え、口の中にコプリック斑と呼ばれる白い点や、数日後に体に発疹が出るのが特徴です。
当院での診断と治療
診断について
- 高熱・のどの症状・目の症状という 3 つの組み合わせと季節性 から、診察で診断することが基本です。
- 必要に応じて、アデノウイルス迅速抗原検査(綿棒でのどや目のふちをぬぐって、10〜15 分ほどで結果が出る検査)を行います。
- 状況に応じて血液検査を追加することもあります。
治療について
プール熱には ウイルスそのものを退治する薬はありません。お子さまが少しでも楽に過ごせるように、症状をやわらげるケア(対症療法)が中心になります。
- 熱・痛みに対して:アセトアミノフェン(カロナールなど、小児で広く使われる解熱・鎮痛薬)を体格・年齢に合わせて使います。
- 目の症状に対して:人工涙液(目を潤す目薬)や、症状に応じた点眼薬を処方します。結膜の炎症が強い場合は眼科への併診をご案内します。
- 抗生物質(抗生剤)について:ウイルス感染には効きません。細菌の二次感染を起こしたときに限って使うことがあります。
当院で対応できる範囲
- 迅速抗原検査・対症療法・解熱や目薬の処方
- 結膜の炎症が強い場合の眼科併診のご案内
- 経過を見ながら、より専門的な対応が必要と判断した場合の高次医療機関への紹介
- 登園・登校再開のための 医師意見書 の発行
家庭でできるケア
特効薬がないぶん、お家でゆっくり過ごしながら回復を待つことが大切です。よく聞かれるケアのポイントをまとめました。
水分・食事
- のどの痛みがあるときは、つるっと飲み込めるもの が食べやすくなります(経口補水液・ゼリー飲料・アイス・冷たいスープ・薄めたりんごジュースなど)。
- 一度にたくさんではなく、少量ずつ、こまめに が基本です。
熱・全身の様子
- 部屋は涼しく、衣服は薄めに。汗をかいたら着替えさせて、肌をさらさらに保ちます。
- 解熱薬は 「熱の数値」ではなく「お子さまがつらそうかどうか」 を目安に使うのが一般的です。使う量や間隔は、年齢・体重によって異なりますので、迷ったときはご相談ください。
目のケア
- 目やには、清潔なコットンやティッシュをぬるま湯で湿らせて、目頭から目尻に向かって やさしくふきとります。
- 左右で別のコットン を使い、使ったものはすぐに捨てます。同じタオルを使い回さないようにしてください。
家族・きょうだいへのうつしを防ぐ
- タオル・コップ・食器は分ける。とくに洗面所のタオルは、家族で別々に。
- 目やに・鼻水をふいたティッシュはすぐにビニール袋へ入れて捨てる。
- 手洗いをこまめに(特に目やにや鼻水にふれたあと)。
- お風呂は最後に入る、または症状が強いあいだはシャワー中心 がすすめられています。
- ウイルスは便にも長く出るため、おむつ替えのあとの手洗いも大切です。
- 潜伏期は 5〜7 日ほどです。きょうだいに発熱や目の充血が出てきたら、早めにご相談ください。
集団生活の再開について
- プール熱は学校保健安全法の 第二種学校感染症 にあたり、主要な症状(熱・のどの痛み・目の充血)がおさまってから 2 日が経つまで は登園・登校を控えるよう定められています。
- 再開のタイミングや意見書については、当院でご相談・発行いたします。
よくあるご質問
Q. プールに入っていないのに、どうしてプール熱になるのですか?
プール熱はプール以外でも、せき・くしゃみのしぶきや、目やに・鼻水を介した接触でうつります。保育園・幼稚園・学校など、子ども同士の距離が近い場所での感染がよくあります。
Q. 解熱薬は何度から使っていいですか?
一般的には「お子さまがつらそうにしているとき」が使いどきの目安で、必ずしも熱の数値だけで決めるものではありません。年齢・体重によって適切な量と間隔があります。具体的な使い方は、受診の際にお子さまの状況に合わせてご案内します。
Q. 食欲がなく、水分もあまり取りたがりません。どうすればいいですか?
のどの痛みがあると、温かい飲み物よりも 冷たくてのどごしのよいもの(経口補水液・ゼリー飲料・アイス・薄めたりんごジュースなど)が飲みやすくなります。少量ずつ何度も、を心がけてください。おしっこの量がいつもより明らかに少ない・半日以上出ない、ぐったりしているといったときは、早めにご相談ください。
Q. きょうだいや家族にうつさないために、家で何に気をつければよいですか?
タオル・食器・コップを分ける、目やに・鼻水をふいたティッシュはすぐ捨てる、こまめに手洗いをする、お風呂は最後にする(またはシャワーのみ)、が基本です。症状がおさまってからも 2 日くらいは続けると安心です。
Q. 登園・登校はいつから OK ですか?プールはいつから入れますか?
主要な症状(熱・のどの痛み・目の充血)がおさまってから 2 日が経てば、登園・登校が可能とされています。プールについても、登園・登校が可能になってから、お子さまの体調が十分に戻ったタイミングで再開を検討します。医師の意見書発行も当院で対応しています。
Q. 目薬は処方してもらえますか?眼科にも行ったほうがいいですか?
結膜の症状に応じて、当院で目薬を処方できます。充血や目やにが強い、まぶたが大きくはれている、見えづらそうにしているといったときは、眼科併診をおすすめする場合があります。
Q. アデノウイルスは何度もかかると聞きました。一度かかってもまたかかりますか?
アデノウイルスには複数の型(タイプ)があるため、別の型に再感染することはあります。一度かかった同じ型に対しては免疫がつくと考えられています。
Q. 結局、何日くらい休むことになりますか?
日数ではなく「主要症状(発熱・のどの痛み・目の充血)が消えてから 2 日」で決まります。熱は 39〜40℃が 4〜5 日ほど続くことが多いので、そこに 2 日を足したくらい、というのがおおよその目安です。
注意していただきたいのは、目の症状は熱が下がったあとも残ることがある点です。目の充血や目やにが続いているうちは「主要症状が消えた」とは数えません。
Q. 熱は下がったのに、目の赤みと目やにだけが残っています。
プール熱ではよくある経過です。目の症状は発熱より遅れて出たり、熱が下がったあとまで続いたりします。目やには白っぽい〜うすい黄色のことが多く、細菌性の結膜炎のような濃い膿状のものとは見え方が違うのがふつうです。
ただし、目の症状が強い・痛みが強い・見えにくそう、というときは眼科での診察が必要になることがありますのでご相談ください。なお、この期間もまだ登園はできません(前項の数え方をご確認ください)。
Q. 大人にもうつりますか?
うつります。とくに目の症状が出るタイプは感染力が強いので、タオルは絶対に共用しない・目を触った手であちこち触らない・洗面用具を分ける、を徹底してください。お風呂はお子さまを最後にすると安心です。
当院は小児科ですので、大人の方の診療は行っておりません。おとなの方は内科、目の症状が強いときは眼科の受診をご検討ください。
症状についてのご相談
「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの様子を直接お伺いした上で、ご家族に合った対応を一緒に考えます。気になる症状や迷うことがあれば、受診をご検討ください。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。咽頭結膜熱(プール熱)をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 学校、幼稚園、認定こども園、保育所において予防すべき感染症の解説 2025 年 4 月改訂版. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20250430_yobo_kansensho.pdf (accessed: 2026-06-02)
- 厚生労働省. 咽頭結膜熱. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/pcf.html (accessed: 2026-06-02)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 咽頭結膜熱. https://id-info.jihs.go.jp/diseases/a/adeno/index.html (accessed: 2026-06-02)
- 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第15章 感染症 B.ウイルス感染症「アデノウイルス感染症」(印刷 p.333-334)
- 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「咽頭結膜熱(PCF)」印刷 p.522)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 8 月 27 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。