おむつかぶれ
— 原因・家庭でのケア・受診のヒント
おむつ時期の赤ちゃんの多くが一度は経験する、ごく身近な肌トラブルです。おむつの中の蒸れや、尿・便の刺激でお尻が赤くなった状態で、お家でのスキンケアを続けることで多くは数日〜1 週間ほどで落ち着きます。一方で、しわの中まで赤くなったり、赤みのまわりに小さなブツブツが散らばってくる場合は、カビ(カンジダ)が合わさっていることがあり、ケアの方法が変わります。一緒に見分け方とケアの方針を整理していきましょう。
💡 この記事の要点
- おむつの中の蒸れや尿・便の刺激で起こる皮膚炎で、多くは数日〜1週間ほどで落ち着きます
- おむつ交換の頻度を増やし、拭くより流し、しっかり乾かしてから保護剤を塗るのが基本です
- お家でケアを続けても良くならない、夜眠れずつらそう、判断に迷うときはご相談ください
どんな病気か
おむつに覆われているお尻・足のつけ根・陰部などの皮膚に、尿・便・汗・摩擦・湿り気が重なって起こる「ふれた刺激による皮膚の炎症(接触刺激性皮膚炎)」です。0〜2 歳、特に 6 ヶ月〜1 歳ごろに多くみられます。下痢が続いているとき、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎をもっているお子さまでは悪化しやすい傾向があります。
おむつの中は、蒸れて皮膚を守るバリアが弱くなりやすく、便に含まれる消化酵素や、尿が分解されてできるアンモニアが皮膚を刺激します。さらに皮膚が傷みやすい状態が続くと、もともと皮膚にいるカビ(カンジダ)が増えて合わさってくることがあります。
主な症状と気づきのポイント
「これって本当におむつかぶれ?」というのが、多くの保護者の方が最初に気になるところです。典型的なおむつかぶれと、合わさってくることのあるカビ(カンジダ)の特徴を整理してみます。
おむつかぶれの典型像
- おむつが当たっているお尻・太もも・陰部に、境目のはっきりした赤みや皮膚のはれ
- ひどくなると、ただれ・かさぶた・小さな出血点が出てくることもあります
- 皮膚のしわの中や足のつけ根の溝は、比較的きれいに保たれていることが多い
家庭での気づきのポイント
- おむつ替えのときに「ここ赤くなってきたかも」と早めに気づくこと
- 下痢が続いている、新しいおむつに替えたなど、悪化のきっかけがないか思い返してみる
- 皮膚のしわの中まで赤い/赤みの周りに小さな赤いブツブツが散らばってきた場合は、見分けの相談どきです
紛らわしい病気(鑑別)
おむつ部分の赤みは、おむつかぶれ以外にもいくつかの原因が重なってくることがあります。代表的なものを整理しておきます。
- カンジダ皮膚炎:皮膚のしわの中や陰部の溝にも赤みが広がり、主な赤みのまわりに小さな赤いブツブツが散らばる(衛星病変)/白っぽい苔のようなものが見られることがあります。手持ちのステロイドの塗り薬を自己判断で使うと悪化することがあるため、見分けが大事です。
- 乳児湿疹・アトピー性皮膚炎:おむつ部分だけでなく、顔・体・手足など全身の皮膚に左右対称に湿疹が出ます。
- 乳児脂漏性皮膚炎:頭や顔に多く、黄色っぽい鱗のようなものが特徴です。
- とびひなど細菌の感染:じゅくじゅくと膿んだり、かさぶたが広がるように増えていきます。
ご家庭で全てを見分ける必要はありません。「いつものおむつかぶれと様子が違うかも」と感じたら、診察でご一緒に確認します。
当院での診断と治療
診察では、皮膚の様子や赤みの広がり方を見て診断します。カンジダの合わさりが疑わしい場合は、皮膚を少しこすった検体を顕微鏡で確認する検査(KOH 検査)を行うこともあります。
治療は状態に合わせて、以下のような塗り薬を組み合わせます。
- 皮膚を守るための塗り薬:白色ワセリンや亜鉛華軟膏で皮膚の表面を保護します
- 炎症を抑える塗り薬(ステロイド):赤みやはれが強いときに、弱めの強さのものを医師の指示で短期間使います。自己判断での連用は避けてください
- カビ(カンジダ)を抑える塗り薬:カンジダの合わさりが疑われる場合は、こちらを優先します。カンジダがあるところにステロイドを単独で使うと悪化することがあるため、見分けてから処方します
ご家庭でのスキンケアが治療の土台になります。どの場面でどの塗り薬を使うか、どのくらいの量を塗るか、迷いやすいポイントを診察のときに一緒に整理して、続けやすい形を決めていきます。
現行のアトピー性皮膚炎診療ガイドライン(2024 年)と皮膚科専門医の標準的なケア指導に基づいています。
家庭でできるケア
おむつかぶれは、毎日のおむつ替えの中で続けるケアでかなり改善できます。「お家でできること」を 4 つにまとめます。
1. おむつ交換の頻度を増やす
- 目安は 2〜3 時間ごと、便が出たらすぐに交換
- 蒸れた状態の時間を短くすることが、いちばんの予防になります
2. 拭くより、流す
- 赤くなっている時期は、ぬるま湯のシャワーや座浴で優しく流します
- おしりふきで強くこするのは避け、押さえるようにポンポンと水分をとります
- 外出時など毎回シャワーが難しい場面では、アルコール・香料の入っていないおしりふきを優しく押し当てて使うので大丈夫です
3. しっかり乾燥させてから、新しいおむつを着ける
- 水分が残ったまま閉じてしまうと、湿った環境が続いて悪化の原因になります
- うちわで軽くあおぐ、自然乾燥を少し待つ、などひと呼吸おいてから装着するのがコツです
4. 皮膚を守る塗り薬を使う
- 白色ワセリンや亜鉛華軟膏を、おむつ替えのたびに薄くのばして塗ります
- 「皮膚と便・尿の間にうすい膜を作ってあげる」イメージです
おむつ選びのヒント
- 吸収性が高く、通気性のあるもの
- 体に合ったサイズのもの(小さすぎる/大きすぎると擦れやすくなります)
- 何度も繰り返すときは、メーカーや素材を変えてみるのもひとつの方法です
市販のかゆみ止めについて
抗ヒスタミン薬の入った市販のかゆみ止めは基本的に必要ありません。皮膚を守る白色ワセリンや亜鉛華軟膏が基本になります。
よくあるご質問
Q. ワセリンや亜鉛華軟膏は、どれくらい塗ればいいですか?
おむつ替えのたびに、赤くなっている部分に薄く膜を作るくらいのイメージで塗ります。便や尿の刺激から皮膚を守る役割なので、こまめに塗り直すのがポイントです。塗り方や量に迷うときは、診察のときに一緒に確認していきます。
Q. おしりふきは使っていいですか?毎回シャワーは現実的に難しいです。
赤みが強い時期はぬるま湯シャワーや座浴が理想ですが、外出時など難しい場面では、アルコール・香料の入っていないおしりふきを優しく押し当てて使う形で大丈夫です。「ゴシゴシ拭かない」「押さえ拭きにする」だけでも、皮膚への負担はぐっと減ります。
Q. お風呂はふだん通り入れていいですか?石鹸は?
ぬるめのお湯にさっと入れてあげるのは問題ありません。石鹸を使う場合は、刺激の少ないものを少量で、ゴシゴシ洗わずしっかりすすぐようにしてください。症状や肌の状態によって細かい目安が変わるので、迷う場合はご相談ください。
Q. 市販のおむつかぶれ用クリームと、病院でもらう薬はどう違いますか?
市販のクリームの多くは、皮膚を保護する・保湿することが目的のものです。病院では、炎症の強さやカンジダの合わさりの有無に合わせて、必要なときに弱めのステロイドや抗真菌薬の塗り薬を処方します。市販品を続けても改善しないときは、原因が違っている可能性もあるため、一度ご相談いただくのが安心です。
Q. ステロイドの塗り薬は赤ちゃんに使っても大丈夫ですか?
医師の指示通りに、弱めの強さのものを短期間使う分には安全に使えます。一方で、カンジダが合わさっているところにステロイドを単独で使うと悪化することがあるため、自己判断で手持ちの塗り薬を続けるのは避けてください。
Q. 下痢が続いているときに特にひどくなります。どうすればいいですか?
便そのものが皮膚への強い刺激になるため、下痢の時期はどうしても悪化しやすくなります。おむつ交換の頻度をいつもより増やし、保護の塗り薬を厚めに使うことで、皮膚を守りやすくなります。下痢自体が長く続く場合は、別の相談ごととしてもお気軽にお声がけください。
症状についてのご相談
お家でケアを続けても良くならない、夜眠れずつらそう、判断に迷う ── そんなときは一人で抱え込まず、受診をご検討ください。お子さまの状態を直接お伺いした上で、受診の必要性や次の一歩を一緒に整理していきます。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。おむつかぶれをはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会・日本アレルギー学会 アトピー性皮膚炎診療ガイドライン策定委員会. アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2024(スキンケア・外用薬総論). https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/ADGL2024.pdf (2026-06-02 参照)
- MSD マニュアル家庭版. 小児の発疹(おむつ皮膚炎・カンジダの記載を含む). https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/23-%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E4%B9%B3%E5%85%90%E3%81%A8%E5%B9%BC%E5%85%90%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E7%99%BA%E7%96%B9 (2026-06-10 参照)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026年6月6日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。