赤ちゃんのヘルメット治療はいつから? 何か月までできるか、生後6か月を過ぎたら遅いのか
「頭の形が気になってきたけれど、ヘルメットはいつから始めるもの?」「もう生後6か月。今からでは遅い?」。頭の形のご相談では、月齢についてのご質問がとても多くあります。ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭が育つ力を使う治療です。そのため、始める時期によって得られる変化が変わります。この記事では、何か月から始められるか、何か月までできるか、首がすわる前にできることを、研究の数字とあわせてまとめました。
結論:目安は生後4〜10か月。早く始めるほど整いやすく、6か月を過ぎても始められます
当院では、ヘルメット治療を始める時期の目安を生後4〜10か月としています。そのなかでも早い時期に始めたほうが頭の形は整いやすく、治療の期間も短くなる傾向があります。生後6か月を過ぎていても、10か月までなら治療を始められます。
首がすわる前の赤ちゃんは、まず向きの工夫やタミータイム(うつぶせ遊び)など、おうちでのケアから始めます。また、ヘルメットが必要かどうかは月齢だけでは決まりません。変形の程度と月齢をあわせて考えます。
月齢ごとの目安
| 月齢 | 目安 |
|---|---|
| 生後3か月未満(首がすわる前) | おうちでのケアが中心です。向きの工夫や理学療法で改善が見込めることも多い時期です |
| 生後3か月台 | 首がすわっていれば、ヘルメット治療を始められる場合があります |
| 生後4〜6か月 | 最も変化が得られやすい時期です |
| 生後6〜10か月 | 治療を始められます。この時期からでも改善は期待できます |
| 生後10か月以降 | 頭の成長がゆるやかになります。おうちでのケアと経過観察が中心です |
なぜ、早く始めるほうがよいのか
ヘルメット治療は、頭を強く締めつけて形を変える治療ではありません。出っ張った部分には軽く当たり、平らになった部分にはすき間ができるように作ってあり、頭が大きくなる力をすき間の方向へ向けます。赤ちゃんの頭は生まれてから数か月のあいだに大きく育ち、そのあと成長はゆるやかになります。成長の勢いがある時期に始めるほど、形が変わる余地も大きくなります。
このことは、研究の数字にも表れています。
- 米国の346人の研究(Seruya 2013)では、生後20週(約4か月半)より前に始めた26人の頭の左右差は、1週間に平均0.93mmずつ縮んでいました。生後32週(約7か月半)以降に始めた赤ちゃんでは0.41〜0.42mmで、半分以下でした。始めるのが遅いほど、治療の期間も長くなっていました
- 国立成育医療研究センターの159人の報告(Takamatsu 2021)では、6か月より前に始めた赤ちゃんと単純に比べると、6か月以降に始めた赤ちゃんのほうが、治療を終えた時点で残った左右差が大きくなっていました
- 米国の脳神経外科医の学会(Congress of Neurological Surgeons)の2016年のガイドラインも、早い時期にヘルメット治療を始めた赤ちゃんほど、形が大きく整う傾向があるとまとめています。一方で、何か月から何か月までが最もよいかは、まだはっきりしていないとも書いています
ここで紹介した研究は、いずれも頭の左右差(斜頭症)を調べたものです。後頭部の絶壁(短頭症)については 赤ちゃんの絶壁頭は治る? にまとめています。
生後6か月・7か月を過ぎたら、もう遅い?
遅すぎるということはありません。当院では、生後10か月までを治療を始められる時期としています。
日本の5つの施設で、中等症以上の斜頭症の赤ちゃん224人を1つの機種で治療した研究(Nagano 2024)があります。この研究では、生後7か月以降に始めた22人も、頭の左右差が小さくなっていました。改善の幅は7か月より前に始めた202人のほうが大きかったものの、7か月以降に始めたグループは治療前の左右差がもともと小さめだったので、この差のすべてが月齢によるものとは言えません。治療期間は、7か月以降に始めたほうがわずかに長く、平均3.9か月でした(7か月より前は3.5か月)。7か月以降に始めた赤ちゃんは22人と少ないため、どの赤ちゃんにも同じ結果が出るとまでは言えません。
生後6か月を過ぎてから頭の形が気になり始めたときは、早めに一度、いまの形を測っておくと判断しやすくなります。当院では、ヘルメットを使う場合と使わない場合のそれぞれについて、計測の結果と月齢をもとに見通しをお伝えします。
ヘルメット治療は何か月までできる?
当院の目安は生後10か月までです。10か月を過ぎると頭の成長がゆるやかになり、ヘルメットで得られる変化は小さくなります。そのため10か月以降は、おうちでのケアと経過観察が中心になります。
この10か月は当院の目安で、研究が10か月で線を引いているわけではありません。米国の346人の研究(Seruya 2013)では、形が変わる速さは生後32週(約7か月半)までは月齢とともに遅くなり、それ以降はほぼ同じ速さでした。どの月齢で始めたグループも形は整う方向に変わっていましたが、生後36週(約8か月)以降に始めたグループは、治療を終えた時点の整い方が、それより前に始めたグループに及びませんでした。
「何か月まで」の目安は、ヘルメットの機種や医療機関によっても違います。10か月を過ぎていても、病気による変形ではないかの見分けや、いまの形の評価は受けられます。月齢だけで決めずに、一度ご相談ください。
首がすわる前にできること
頭の形のゆがみは、生後4か月ごろまでに目立ちやすくなります。ニュージーランドで200人を追った研究(Hutchison 2004)では、左右のゆがみ(斜頭)がある赤ちゃんの割合は生後4か月がいちばん多く(約2割)、8か月には半分ほどに減っていました。この時期は、ヘルメットより先に、おうちでの工夫から始めます。
1. 寝かせるときの頭の向きを工夫する
あおむけ寝のまま、頭の向きが片側に偏らないようにします。具体的なやり方は 赤ちゃんの向き癖 にまとめています。
2. 起きている時間にタミータイムをする
大人が見ているところで、うつぶせで遊ぶ時間をつくります。後頭部が床に当たらない時間が増え、首の筋肉も育ちます。始め方は タミータイム をご覧ください。
3. いつも同じ方向に首が傾くときは、斜頸がないか確かめる
首の筋肉の片側が硬いと、同じ向きばかりで寝てしまい、頭の形も整いにくくなります。先天性筋性斜頸 のページもあわせてご覧ください。
4. 寝るときの枕はおすすめしません
ドーナツ枕を含めて、寝るときの枕は当院ではおすすめしていません。米国小児科学会は、窒息の危険があるため、赤ちゃんの寝床に枕を置かないよう勧めています。
こうした工夫で目立たなくなっていくことも多い一方で、変形がはっきりしているときは、ケアだけでは整いきらないこともあります。首がすわる前でも、ご相談いただいて大丈夫です。病気による変形(頭蓋骨縫合早期癒合症)ではないかの見分けや計測、おうちでの工夫のご説明は、この時期から受けられます。
相談してから、治療を始めるまで
頭の形外来 では、まず形の評価から始めます。視診・触診とクラニオメーター(頭の形の計測器)による計測、超音波で骨のつなぎ目の確認を行います。ここまでは保険診療です。
ヘルメット治療を考える場合は、3Dスキャンで頭の形を詳しく測ります。結果は最短10分ほどで届き、その場で説明を受けられます。治療に進むかどうかは、結果を見てからご家族で決めていただけます。一般に、頭の形のご相談からヘルメット治療に進むのは2〜3割ほどで、多くはおうちでのケアと経過観察で対応できます。
ヘルメット治療の内容・費用・リスク
- 内容: 赤ちゃんの頭に合わせて作ったヘルメットを、お風呂の時間を除いて1日約23時間かぶります
- 期間と通院: 機種や始める月齢によって違い、おおむね3〜6か月です。当院では3〜4週ごとに通院し、装着を始めて1〜2週間後に肌の状態も確認します
- 費用: 健康保険が使えない自由診療です。当院の治療費はベビーバンドが380,000円、ReMO babyが480,000円(いずれも税込)で、3Dスキャン測定は5,500円(自費)です。内訳や医療費控除は ヘルメット治療の費用 にまとめています
- 主な副作用: 装着部分の皮膚の赤み・あせも・かぶれ(まれに水ぶくれなどの皮膚の傷)と、汗によるにおいです。装着を嫌がったり、寝つきが悪くなったりすることもあります。詳しくは ヘルメット治療に後遺症はある? をご覧ください
- 効果の限界: 改善の程度には個人差があります。変形の強さや始める月齢によっては、期待した変化が得られないこともあります
まとめ
- ヘルメット治療を始める目安は生後4〜10か月。早く始めるほど整いやすく、治療の期間も短くなる傾向がある
- 生後6〜7か月を過ぎても始められる。日本の研究でも、7か月以降に始めた赤ちゃんの左右差は小さくなっていた
- 生後10か月を過ぎると、ヘルメットで得られる変化は小さくなる。おうちでのケアと経過観察が中心
- 首がすわる前は、向きの工夫・タミータイム・斜頸の確認から。この時期の相談でも、病気との見分けと計測は受けられる
- ヘルメットが必要かどうかは、月齢だけでなく変形の程度とあわせて決める
頭の形が気になったら、月齢にかかわらず、まずはご相談だけでも構いません。気になることは、どんなに小さなことでも遠慮なくお尋ねください。
参考文献
- Seruya M, Oh AK, Taylor JH, Sauerhammer TM, Rogers GF. Helmet treatment of deformational plagiocephaly: the relationship between age at initiation and rate of correction. Plast Reconstr Surg. 2013;131(1):55e-61e. https://doi.org/10.1097/PRS.0b013e3182729f11
- Takamatsu A, Hikosaka M, Kaneko T, Mikami M, Kaneko A. Evaluation of the Molding Helmet Therapy for Japanese Infants with Deformational Plagiocephaly. JMA J. 2021;4(1):50-60. https://doi.org/10.31662/jmaj.2020-0006
- Tamber MS, Nikas D, Beier A, et al. Congress of Neurological Surgeons Systematic Review and Evidence-Based Guideline on the Role of Cranial Molding Orthosis (Helmet) Therapy for Patients With Positional Plagiocephaly. Neurosurgery. 2016;79(5):E632-E633. https://doi.org/10.1227/NEU.0000000000001430
- Nagano N, Kato R, Noto T, et al. Therapeutic Effectiveness of a Novel Cranial Remolding Helmet (baby band2) for Positional Plagiocephaly: A Multicenter Clinical Observational Study. J Clin Med. 2024;13(19):5952. https://doi.org/10.3390/jcm13195952
- Moon RY, et al. Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment. Pediatrics. 2022;150(1):e2022057990. https://doi.org/10.1542/peds.2022-057990
- Hutchison BL, Hutchison LA, Thompson JM, Mitchell EA. Plagiocephaly and brachycephaly in the first two years of life: a prospective cohort study. Pediatrics. 2004;114(4):970-980. https://doi.org/10.1542/peds.2003-0668-F
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
大原啓一郎(日本脳神経外科学会 専門医・日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医)
古田泰之(日本脳神経外科学会 専門医・日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医)
最終更新:2026 年 10 月 29 日