あたまの形・ヘルメット治療 更新日:公開日:

タミータイム(腹ばい・うつ伏せ練習)はいつから?月齢別のやり方と時間の目安

タミータイムは、起きている赤ちゃんをうつ伏せにして遊ばせる時間のことです。日本では 「腹ばい」「うつ伏せ練習」「うつぶせ遊び」 とも呼ばれます。呼び方が違うだけで、やることは同じです。

退院したその日から始められ、首や背中の発達を助け、頭の形のケアにも役立ちます。守ることは 2 つだけ——必ず大人が見ている時間に行うこと、眠ったらあおむけに戻すこと。

この記事では、いつから・1 日何分・どうやって行うかを月齢別にまとめ、手の位置やタオルの使い方、嫌がるときのコツまで解説します。

結論:生後すぐから、1 回数分を 1 日 2〜3 回。起きていて大人が見ている時間だけ

新生児期から、1 回 3〜5 分の腹ばいを 1 日 2〜3 回から始めます。慣れてきたら少しずつ延ばし、生後 2 ヶ月ごろまでに 1 日合計 15〜30 分を目安にします。眠るときはあおむけ、遊ぶときはうつ伏せ——この使い分けが基本です。

「タミータイム」「腹ばい」「うつ伏せ練習」は何が違う?

結論から言うと、違いはありません。

呼び方 意味
タミータイム(tummy time) 英語の tummy(おなか)+ time。海外の小児科でよく使われ、日本でも広まりつつある言い方
腹ばい 日本語での一般的な言い方。健診や母子手帳でも使われます
うつ伏せ練習・うつぶせ遊び 「練習」と呼ばれることもありますが、訓練ではなく遊びの時間です

いずれも「起きているあいだに、大人が見ているところで、うつ伏せの姿勢で過ごす時間」を指します。この記事では「タミータイム」で統一しますが、健診で「腹ばいはしていますか?」と聞かれたら、同じことを聞かれていると思ってください。

⚠️ 「うつ伏せ寝」とはまったく別のものです。 タミータイムは起きている時間のケアで、うつ伏せのまま眠らせることではありません。眠るときは 1 歳になるまであおむけが原則です(乳幼児突然死症候群=SIDS の予防)。

タミータイム(腹ばい)で何が育つのか

あおむけで寝かせることが SIDS の予防として広まって以来、赤ちゃんが起きている時間にうつ伏せになる機会は減りました。その分を補うのがタミータイムで、次のような効果が知られています。

  • 首・肩・背中の筋肉が育つ — うつ伏せで頭を持ち上げようとする動きが、首すわり、寝返り、おすわり、はいはいの土台になります
  • 頭の形のケアになる — 後頭部が下になっている時間が減るので、同じ場所に圧がかかり続けるのを防げます。向き癖がある赤ちゃんでは特に役立ちます
  • 手を使う・体を動かす経験になる — 床に手をついて押す、顔を上げて周りを見る、といった経験が、この後の運動発達につながります

いつから始める? 月齢別の目安

始める時期は「生後すぐ」です。へその緒が取れていなくても、退院したその日から始められます。

以下は目安です。赤ちゃんによって差がありますので、月齢どおりに進まなくても心配いりません。

時期 1 日の合計 1 回の長さ このころの様子・コツ
新生児(生後すぐ〜1 ヶ月) 数分〜10 分 1〜5 分 まだ頭はほとんど上がりません。大人の胸の上から始めると受け入れやすい。おむつ替えのあとに 1 分だけ、でも十分です
生後 1〜2 ヶ月 15〜30 分 3〜5 分 少しずつ頭を持ち上げようとします。床でのうつ伏せに慣らしていく時期。胸の下にタオルを入れると楽になります
生後 3 ヶ月 30 分以上 5〜10 分 うつ伏せで頭を持ち上げていられる時間が少しずつ長くなり、ひじで体を支えようとする子も出てきます。頭と胸をしっかり上げられるのは 4 ヶ月ごろが目安で、育ち方には幅があります
生後 4〜5 ヶ月 30 分以上 10 分〜 手のひらで体を押し上げ、胸が床から離れることも。寝返りの準備期です。この時期に急に嫌がることがありますが、姿勢が変わる途中でよくあることです
寝返り・はいはいが始まったら — — 自分でうつ伏せになるようになれば、意識して時間をつくる必要はなくなります

米国小児科学会(AAP)は「1 日 2〜3 回・3〜5 分から始め、生後 7 週ごろまでに 1 日 15〜30 分へ」、世界保健機関(WHO)は「1 歳未満で自分で動けない時期は、起きている時間に 1 日合計 30 分以上のうつ伏せを、数回に分けて」を目安としています。数字はあくまで目安で、赤ちゃんの機嫌に合わせて無理なく続けることがいちばんです。

1 日何分が「正解」なのか

合計時間を気にしすぎる必要はありません。一度に長くやるより、短くても回数を分けて毎日続けるほうが、赤ちゃんにとっても大人にとっても続けやすくなります。

目安に届かない日があっても問題ありません。「今日は 1 分だけだった」でも、ゼロの日が続くよりずっと意味があります。

やり方

場所

平らで少し硬めの床に、タオルやプレイマットを敷きます。ソファやベッドの上、クッションの上は、沈み込んで顔が埋まる危険があるので避けます。

タイミング

機嫌のよいときに行います。授乳の直後は吐き戻しやすいので、30 分ほど空けてからにします。おむつ替えのあと、お昼寝から起きたあと、お風呂の前などが習慣にしやすいタイミングです。

手の位置と姿勢の作り方

うまくいかない原因の多くは、腕の位置にあります。

  1. うつ伏せにしたら、両腕を胸の下から引き出し、ひじが肩より前に来るようにします
  2. 手のひらは床につけて開いた状態に。にぎりこぶしのままだと体を支えられません
  3. ひじで体を支える形(前腕支持)ができると、頭を持ち上げやすくなります

腕が体の下敷きになったままだと、赤ちゃんは頭を上げられず、すぐに嫌がってしまいます。うつ伏せにしたらまず腕を前に出す——これだけで続けやすさが変わります。

タオルの使い方

頭を上げるのがつらそうなときは、丸めたタオルを胸の下に入れます。

  • タオルは細めに巻き、わきの下から胸の下に通します
  • 両腕はタオルより前に出します(腕がタオルの下敷きになると意味がありません)
  • 高さはバスタオルを 2〜3 回巻いた程度から。高すぎると体が反ってしまいます
  • 慣れてきたらタオルを細くしていき、最後は無しにします

顔が床に近すぎて苦しそう、という不安がやわらぐので、大人の側の安心のためにも役立ちます。

遊び方

赤ちゃんの目の前、少し上の位置に大人の顔や音の出るおもちゃを置き、「顔を上げたい」気持ちを引き出します。左右どちらからも声をかけると、向き癖の予防にもなります。

終わり方

顔を床に伏せてしまう、泣き続ける、眠そうになったら終わりにします。「嫌な時間」にしないことが、続けるいちばんのコツです。

床を嫌がる子のためのタミータイム

床でのうつ伏せを嫌がる赤ちゃんには、次の方法も同じ効果があります。新生児期は、むしろこちらから始めるほうが自然です。

  • 胸の上で(お腹の上) — 大人がソファや床にもたれて少し上体を起こして座り、胸の上に赤ちゃんをうつ伏せにのせます。顔が近く、心音も聞こえるので、新生児期にいちばん受け入れられやすい方法です。大人が眠ってしまわないことが条件です
  • ひざの上で — 座った大人のひざの上に、横向きにうつ伏せでのせます。背中をやさしくさすりながら行います。吐き戻しが気になる子にも向きます
  • 腕の中で(飛行機抱っこ) — 腕と手でお腹と胸を支え、うつ伏せの姿勢のまま抱き上げます。家の中を歩きながら景色を見せるのもよい刺激になります

嫌がるときのコツ

多くの赤ちゃんは、最初はうつ伏せを嫌がります。それは自然なことで、少しずつ慣れていきます。

  • 1 回 1〜2 分でもかまいません。 回数を増やすことから始めます
  • 腕が前に出ているかを確認します(前の「手の位置と姿勢の作り方」をご覧ください)
  • 赤ちゃんの目の高さに大人の顔を合わせ、話しかけたり歌ったりします
  • 鏡を置く、おもちゃを動かすなど、顔を上げる理由をつくります
  • 床を嫌がるなら、胸の上やひざの上から始めます
  • 泣いたらすぐにやめて大丈夫です

月齢別・つまずきやすいところ

こんなとき 考えられること 試すこと
新生児で、顔を横に向けたまま動かない この時期は正常です 胸の上での腹ばいに切り替える。1 分でも十分
2〜3 ヶ月で、すぐに顔を床に伏せてしまう 腕が体の下にある/疲れている 腕を前に出す。タオルを胸の下に入れる。回数を分ける
4 ヶ月ごろに急に嫌がりだした 寝返りの準備で姿勢が変わる時期によくあります 無理に続けず、抱っこでの腹ばいに切り替えて様子を見る
いつも同じ向きにしか顔を向けない 向き癖の可能性 声かけ・おもちゃを反対側から。続くようなら受診を検討(→ 向き癖の記事)
うつ伏せにすると必ず吐く 授乳からの間隔が短い 30 分以上空ける。それでも続くなら診察でご相談を

必ず守ってほしい安全のルール

  • 起きていて、大人がそばで見ている時間だけ — 目を離す必要があるときは、あおむけに戻してからにします
  • 眠ったら、あおむけに戻す — うつ伏せのまま眠らせないでください。眠るときは 1 歳になるまであおむけが原則です(SIDS の予防)
  • やわらかい場所では行わない — ふとん・ソファ・クッション・ベッドの上は窒息の危険があります
  • 授乳直後は避ける — 吐き戻しを防ぐため、30 分ほど空けます
  • 首すわり前は、短時間から — 顔を横に向けて呼吸できているか、いつも確認します
  • 枕・クッション類を顔の周りに置かない — 頭の形用の枕を含め、寝具を使った姿勢の固定は行わないでください

頭の形が気になるときは

タミータイムは、後頭部にかかる圧を減らす手段のひとつです。すでに頭の形の左右差(斜頭症)や後頭部の平ら(短頭症)が気になっている場合は、タミータイムだけで様子を見るより、一度形を評価しておくと見通しが立ちます。

当院の 頭の形外来 では、頭の形と首の動きを確認し、おうちでのケアで十分か、ほかの方法を検討したほうがよいかをご説明します。ご相談の多くは、タミータイムを含むおうちでのケアと経過観察で対応します。 ヘルメット治療ありきではありません。

よくあるご質問

Q. 「腹ばい」「うつ伏せ練習」とタミータイムは違うものですか?

同じものです。呼び方が違うだけで、やることは変わりません。健診で「腹ばいはしていますか?」と聞かれたら、タミータイムのことだと思ってお答えください。

Q. 新生児でも本当に大丈夫ですか?

はい。へその緒が取れていなくても、起きていて機嫌のよいときに 1〜2 分からで大丈夫です。大人の胸の上でのうつ伏せから始めると、新生児でも受け入れやすくなります。

Q. 1 日に何分くらい必要ですか?

生後 2 ヶ月ごろまでに 1 日合計 15〜30 分、その後は 30 分以上が目安です。一度に長くやる必要はなく、数回に分けて合計で考えてください。目安に届かない日があっても心配いりません。

Q. 腹ばいはいつから始めればいいですか?

退院したその日から始められます。首がすわるのを待つ必要はありません。ただし首すわり前は、必ず短時間から、そばで見ている状態で行ってください。

Q. 手の位置はどうすればよいですか?

ひじが肩より前に来るように、両腕を胸の下から引き出します。手のひらは開いて床につけます。腕が体の下敷きになっていると頭を上げられず、嫌がる原因になります。

Q. タオルは必ず使ったほうがよいですか?

必須ではありません。頭を上げるのがつらそうなときの補助です。使うときは、細めに巻いたタオルをわきの下から胸の下に通し、両腕はタオルより前に出します。

Q. 4 ヶ月ごろから急に嫌がるようになりました。

寝返りの準備で姿勢が変わる時期には、よくあることです。無理に続けず、抱っこでの腹ばいや、ひざの上での姿勢に切り替えて様子を見てください。自分で寝返りをするようになれば、意識してつくる必要はなくなります。

Q. うつ伏せで眠ってしまったらどうすればよいですか?

そっとあおむけに戻してください。タミータイムは「起きている時間」だけのケアで、うつ伏せでの睡眠は SIDS の危険を高めます。眠そうになったら、その時点で終わりにするのがいちばんです。

Q. 首がすわるのが遅い気がします。タミータイムと関係ありますか?

首すわりの時期には個人差があり、タミータイムの量だけで決まるものではありません。うつ伏せにしてもまったく頭を持ち上げようとしない、生後 5 ヶ月を過ぎても首がすわらない、といった場合は、健診やかかりつけの診察で一度確認してもらってください。

Q. 吐き戻しが多い子でもやってよいですか?

授乳から 30 分以上空け、短時間から行えば大丈夫です。うつ伏せにするたびに大量に吐く、体重の増えが悪いといった場合は、タミータイムとは別に診察でご相談ください。

Q. タミータイムをしないと、発達が遅れますか?

そういうものではありません。タミータイムは発達を助ける後押しであって、していないから遅れると決まるものではありません。ただ、起きている時間のうつ伏せが極端に少ないと、頭の形の左右差が残りやすくなることは知られています。できる範囲で続けてみてください。

頭の形・発達のご相談

タミータイム(腹ばい)のやり方、向き癖、頭の形など、赤ちゃんの体のことで気になることがあれば、開院にあわせて頭の形外来や乳幼児健診でご相談いただけます。ご予約は LINE から承ります。

参考文献

  1. American Academy of Pediatrics (HealthyChildren.org). Back to Sleep, Tummy to Play. https://www.healthychildren.org/English/ages-stages/baby/sleep/Pages/Back-to-Sleep-Tummy-to-Play.aspx(参照: 2026-08-23)
  2. World Health Organization. Guidelines on physical activity, sedentary behaviour and sleep for children under 5 years of age. 2019. https://www.who.int/publications/i/item/9789241550536(参照: 2026-08-23)
  3. こども家庭庁. 乳幼児突然死症候群(SIDS)について. https://www.cfa.go.jp/policies/boshihoken/kenkou/sids(参照: 2026-08-23)
  4. Laughlin J, Luerssen TG, Dias MS; American Academy of Pediatrics. Prevention and management of positional skull deformities in infants. Pediatrics. 2011;128(6):1236-1241. https://doi.org/10.1542/peds.2011-2220

この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

大原啓一郎(日本脳神経外科学会 専門医・日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医)

古田泰之(日本脳神経外科学会 専門医・日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医)

最終更新:2026 年 10 月 8 日

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