ヘルメット治療の費用はいくら? 相場と内訳、医療費控除で戻るお金
赤ちゃんの頭の形を整えるヘルメット治療は、健康保険が使えない自由診療です。治療費は医療機関や機種によって違い、多くは30万〜60万円です。高い買い物なので、金額だけでなく「何が含まれるか」と「そもそもヘルメットが必要か」を先に確かめておくと安心です。ヘルメットが必要かどうかの診察は、保険診療で受けられる医療機関もあります(当院も保険診療です)。
結論:治療費は多くが30万〜60万円。健康保険は使えませんが、医療費控除の対象になると考えられます
ヘルメット治療の費用は全額が自己負担です。乳幼児医療証も使えません。一方で、医師の診断にもとづく治療として、医療費控除の対象になると考えられます(最終的には税務署の判断です)。申告する方の収入などによっては、数万円が戻ります。
金額を比べるときは、ヘルメット本体だけでなく、治療中の通院・調整・計測が含まれているかも見ておくと安心です。あとで「思ったより高くついた」となりにくくなります。そしてもっと大切なのは、その赤ちゃんにヘルメットが本当に必要かです。頭の形の変化の多くは、おうちでのケアと経過観察で対応できます。
ヘルメット治療の費用の相場
2026年8月に、料金を公開している医療機関を当院で調べました。ヘルメット治療費の多くは、30万〜60万円でした。同じ機種でも、医療機関によって最大で20万円近い差があります。
費用に幅がある理由は、主に次の3つです。
- 機種の違い: 国内ではいくつかのヘルメットが使われていて、作り方や治療期間、装着後の調整のしかたが違います
- 含まれる範囲の違い: 治療中の3Dスキャンや、診察・調整の回数が治療費に含まれるかどうかは、医療機関によって違います
- 自由診療であること: 健康保険の診療と違って全国一律の値段はなく、医療機関がそれぞれ料金を決めています
費用の内訳の例
| 項目 | よくある扱い |
|---|---|
| 頭の形の相談・診察(病気との見分けを含む) | 保険診療で受けられる医療機関と、自費の相談料を設けている医療機関がある |
| 3Dスキャンによる計測 | 自費で数千円〜1万円台のことが多い。無料のところや、治療に進むと治療費から差し引くところもある |
| ヘルメット本体と治療中の通院・調整 | 30万〜60万円程度。治療中の計測や診察を含むかは医療機関による |
| そのほか | 治療が想定より長引いたときの通院、ヘルメットを壊した・なくしたときの作り直しなど、別に費用がかかる場合がある |
健康保険も乳幼児医療証も使えません
治療に使うヘルメットは、どちらも国の承認を受けた医療機器です。それでも、頭の形を整えるヘルメット治療は健康保険の対象になっていません。そのため治療費は全額が自己負担です。
東京都の乳幼児医療証(マル乳)は、健康保険が使える診療の自己負担分を助成する制度です。そのため、健康保険の対象外であるヘルメット治療費や3Dスキャンの費用には使えません。医療費が高額になったときの高額療養費制度も、健康保険の診療が対象なので使えません。
一方で、頭の形の診察そのものは別です。病気による変形ではないかの見分けを含めた診察は、保険診療で受けられる医療機関もあります。当院でも、初回のご相談は保険診療です。
キッズクリニックまるまるの費用
| 項目 | 金額(税込) |
|---|---|
| 初回のご相談(診察・病気との見分け・計測) | 保険診療(乳幼児医療証をお持ちの方は窓口負担なし) |
| 3Dスキャン測定(ヘルメット治療を考える場合) | 5,500円(自費) |
| ヘルメット治療費(ベビーバンド) | 380,000円(自費) |
| ヘルメット治療費(ReMO baby) | 480,000円(自費) |
ヘルメット治療費には、ヘルメット本体と治療中の3Dスキャン(経過と卒業時)が含まれます。卒業までの診察と調整も、回数の制限なく含まれます。治療中の通院・調整・計測に、追加の費用はかかりません。
3Dスキャンの結果は最短10分ほどで届き、その場で結果の説明を受けられます。ヘルメット治療に進むかどうかは、結果を見てから決めていただけます。治療に進まない場合の費用は、3Dスキャン測定料だけです。治療に進んだ場合は、測定料を治療費から差し引きます。
治療費は、ヘルメットのご注文時にお支払いいただきます。ヘルメットはお一人ずつに合わせて作るオーダーメイドの装具のため、ご注文後のキャンセル・返金はできません。
2つの機種は、作り方や治療期間、装着後の調整のしかたが違います。どちらがよいかは、値段ではなく頭の形の状態とご家庭の生活に合わせて選びます。機種の違いは 頭の形外来 のページにまとめています。
医療費控除で戻るお金の目安
ヘルメット治療費は、医師の診断にもとづく治療の費用です。そのため医療費控除の対象になると考えられます(最終的な可否は税務署の判断です)。
医療費控除は、1月から12月までの1年間に支払った医療費のうち、10万円を超えた分を所得から差し引く仕組みです。所得が200万円未満の方は、10万円ではなく所得の5%を超えた分になります。差し引いた額に税率をかけた分の所得税が戻り、翌年の住民税も下がります。生計を一にするご家族の医療費は、合わせて計算できます。
たとえば38万円の治療を受け、申告する方の給与収入が600万円の場合で考えます。所得税が戻る分と翌年の住民税が減る分を合わせて、約5.6万円になります。その年のほかの医療費がない場合の概算です。収入やその年のほかの医療費によって変わるので、頭の形外来のページの医療費控除シミュレーター で試算できます。
申告は、支払った翌年の確定申告で、医療費控除の明細書を出して行います。領収書は提出しなくてよいのですが、税務署から求められたときに出せるよう、申告期限から5年間保管しておきます。
治療を決める前に確かめておきたい5つのこと
どこで治療を受ける場合も、次の5つを先に確かめておくと、あとで迷いにくくなります。
- ヘルメットが本当に必要か — 変形の程度と月齢によっては、おうちでのケアと経過観察で対応できます
- 3Dスキャンの費用と、治療に進んだときの扱い — 治療費から差し引かれるかどうか
- 治療費に何が含まれるか — 治療中の通院・調整・計測の回数に上限があるか
- 治療が長引いたときの費用 — 想定の期間を超えた通院が別料金になるか
- ヘルメットを壊した・なくしたときの費用 — 作り直しの扱いは医療機関によって違います
どれも、治療を決める前にたずねておくと安心です。
治療の内容・期間・リスク
ヘルメット治療は、平らになった部分にすき間をつくり、その方向への頭の成長を促す治療です。締めつけて形を変えるものではありません。
- 装着時間: お風呂の時間を除いて、1日約23時間です
- 通院: 当院では3〜4週ごとに通院し、装着を始めて1〜2週間後に肌の状態も確認します
- 治療期間: 機種や開始月齢によって違い、おおむね3〜6か月です
主な副作用は、装着部分の皮膚の赤み・あせも・かぶれ(まれに水ぶくれなどの皮膚の傷)と、汗によるにおいです。装着を嫌がったり、寝つきが悪くなったりすることもあります。多くは一時的で、清潔を保つことや装着時間の調整で落ち着きます。また、改善の程度には個人差があります。変形の強さや開始月齢によっては、期待した変化が得られないこともあります。くわしくは ヘルメット治療に後遺症はある? をご覧ください。
頭の形外来でできること
頭の形外来 では、まず形の評価から始めます。視診・触診とクラニオメーター(頭の形の計測器)による計測、超音波で骨のつなぎ目の確認を行います。ここまでは保険診療です。
当院では、計測の結果と月齢をもとに、ヘルメットを使わない選択肢も含めてご家族と一緒に考えます。
よくあるご質問
Q. 絶壁(短頭症)でも斜頭症でも、費用は同じですか?
当院では、頭の形の種類や変形の程度で治療費は変わりません。ベビーバンドは380,000円、ReMO babyは480,000円(税込)です。
Q. 乳幼児医療証は使えますか?
頭の形のご相談・診察(病気との見分けや計測を含む)は保険診療なので、乳幼児医療証が使えます。3Dスキャン測定とヘルメット治療費は自費診療のため、医療証は使えません。東京都以外にお住まいの方の医療証は、当院の窓口ではお使いいただけません。窓口で自己負担分をお支払いのうえ、お住まいの自治体へ払い戻しを申請していただく形になります。
Q. 3Dスキャンだけ受けて、治療はあとで決めてもよいですか?
はい。3Dスキャンの結果を見てから、ご家族で相談して決めていただけます。治療に進まない場合の費用は、3Dスキャン測定料(5,500円)だけです。ただ、ヘルメット治療は始める月齢が早いほど変化が大きいとされています。決めるまでの時間は、なるべく短いほうが選択肢を残せます。
Q. 医療費控除の申告には何が必要ですか?
支払った翌年の確定申告で、医療費控除の明細書を出します。領収書は提出しなくてよいのですが、税務署から求められたときに出せるよう、申告期限から5年間保管しておきます。ヘルメット治療の領収書も、ほかの医療費と一緒に取っておくと、家族の分をまとめるときに便利です。
Q. 費用が負担で、治療するか迷っています。
ヘルメットを使うかどうかは、費用だけで決めなくて大丈夫です。変形の程度によっては、おうちでのケアと経過観察で十分なこともあります。どのくらいの変形なら何ができるのかは ヘルメット治療は必要ない? にまとめています。まずは評価を受けて、「必要かどうか」を確かめてから考えるのがおすすめです。
まとめ
- ヘルメット治療は健康保険が使えない自由診療で、治療費は多くが30万〜60万円。乳幼児医療証も使えない
- 比べるときは、治療中の通院・調整・計測が含まれるかを見る
- 医療費控除の対象になると考えられる(最終的には税務署の判断)。38万円の治療で、給与収入600万円の方なら約5.6万円が目安
- ヘルメットが必要かどうかの診察は、保険診療で受けられる医療機関もある。費用を考える前に、まず必要かどうかを確かめる
参考文献
- 国税庁. No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除). https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm(参照: 2026-10-03)
- 国税庁. No.1122 医療費控除の対象となる医療費. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm(参照: 2026-10-03)
- 東京都福祉局. 乳幼児医療費助成制度(マル乳). https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/ja/seikatsu/josei/marunyu(参照: 2026-10-03)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
大原啓一郎(日本脳神経外科学会 専門医・日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医)
古田泰之(日本脳神経外科学会 専門医・日本脳神経血管内治療学会 脳血管内治療専門医)
最終更新:2026 年 10 月 3 日