子どもの下痢 — 何日続いたら受診?食事・ミルクと家庭でのケア
子どもの下痢のほとんどはウイルスによる胃腸炎で、多くは 1 週間ほどで自然に落ち着きます。おうちでのケアの中心は、水分をこまめにとることと、早めにふだんの食事に戻すことです。いっぽうで、おしっこが半日ほど出ない・ぐったりしている・血の混じった便が出る ときは受診してください。このページでは、食事やミルクの考え方と、便の様子から分かることをまとめました。
下痢の回数より、おしっこと便の中身
1 日に何回出たかより大切なのは、出ていく水分に飲む量が追いついているかどうかです。おうちでは次の点を気にかけてください。
- 水分が追いついているか — 飲めているか。おしっこがいつもどおり出ているか、おむつが濡れているか
- 元気があるか — 機嫌がよいか、遊べるか。ぐったりしていないか
- 便の中身 — 血が混じっていないか。色がいつもと大きく違わないか
回数が多くても、機嫌がよく、水分がとれていて、おしっこが出ていれば、おうちで様子を見られることがほとんどです。
受診の目安
🚑 すぐ救急受診
以下に当てはまる場合は、夜間でも救急外来を受診してください(迷うときは小児救急電話相談 #8000)。
- ぐったりして反応が弱い、うとうとしている
- 半日以上おしっこが出ていない
- 泣いても涙が出ない、口の中がカラカラ、目が落ちくぼんで見える
- 何度も吐いて、水分がまったく入らない
- 痛がって泣くのと落ち着くのを繰り返し、いちごゼリーのような血便が出る
- 血の混じった下痢が何度も出る、お腹を激しく痛がる
- 緑色のものを吐いた
🌅 翌朝に外来へ
翌朝以降の通常診療での受診をおすすめします。
- 便に少しでも血が混じる
- 38℃ 以上の熱や、吐くのが続いている
- 下痢の回数が多く、飲む量が追いついていない気がする
- 生後 3 か月未満の赤ちゃんで、水のような下痢が続く
- 下痢が 1 週間以上続いている
💚 様子を見て OK
ご家庭でのケアで様子を見てください。
- 機嫌がよく、水分がとれている
- おしっこがいつもどおり出ている
- 便はゆるいが、血は混じっていない
下痢のときも、食事は早めにいつもどおりに戻して問題ありません
下痢のときは食事を抜いて腸を休ませる、おかゆだけにする、ミルクは薄める。昔からよく言われてきた対処で、ご家族から勧められることもあると思います。
日本小児救急医学会の小児急性胃腸炎診療ガイドライン(2017 年)は、こうした対処のいくつかを、はっきり勧めないとしています。
| よく聞く対処 | ガイドラインの考え方 |
|---|---|
| 食事を抜いて腸を休ませる | 脱水が補正できたら早めに食事を再開してよい。長時間の食事制限は勧められない。食事を控えても治るまでの期間は変わらず、体重の戻りが遅くなる可能性がある |
| おかゆなど決まったものだけにする | 食事の内容は年齢に応じたふだんの食事でよい |
| ミルクを薄める | 薄めないことを推奨。薄めても治るまでの経過はよくならない |
| 最初から乳糖を除いたミルクに替える | 下痢の期間は少し短くなるが、全員に最初から使う必要はない |
| 母乳をいったん休む | むしろ続けるべき。続けたほうが重い脱水が少ない |
| 下痢止めで止める | 使わないことを強く推奨 |
避けたほうがよいとされているのは、脂肪の多い食事と、糖分の多い飲み物です。
下痢には、腸に入ったウイルスや細菌、毒素を体の外に出す面もあります。無理に止めるより、出ていく水分と塩分を補いながら、体が治っていくのを待つのが基本です。
水分のとり方
基本は「こまめに」
東京都こども医療ガイドは、下痢のときはこまめに水分を与え、母乳やミルクは続けるよう勧めています。
吐き気がなければ、一度にたくさんより、こまめに飲ませてください。吐いているときは、ティースプーン 1 杯(約 5mL)を 5 分おきから始めます(吐いているときの進め方は 子どもが吐いた(嘔吐) のページにまとめています)。
何を飲ませるか
- 脱水のサインがあるとき(おしっこが少ない、口の中が乾いている、目がくぼむ)は、経口補水液を使います。ガイドラインも、脱水があるときは経口補水液を使うよう求めています
- 脱水のサインがなく、経口補水液を嫌がるときは、ほかの飲み物で水分をとっても構いません。塩気のある重湯や野菜スープなどが使えます。ガイドラインの解説では、味噌汁の上澄みを 2〜3 倍に薄めると塩分の濃さが経口補水液に近くなるとされています
- 母乳・ミルクは、いつもどおり続けます
- 避けたいのは、炭酸飲料・市販の果物ジュース・甘いお茶など糖分の多い飲み物です。東京都こども医療ガイドも、ジュースや柑橘類は避けるよう挙げています
食事の進め方
- 食欲が出てきたら、年齢に合ったふだんの食事で構いません。最初はうどんやおかゆなど、消化のよい炭水化物から始めると食べやすいです
- 脂っこいもの、香辛料などの刺激の強いもの、甘い飲み物は、便が落ち着くまで控えめにします
- 食欲がないときに、無理に食べさせる必要はありません。水分がとれていれば大丈夫です
乳製品について
牛乳などの乳製品を一律にやめる必要はありません。ただし、胃腸炎(とくにロタウイルス)のあとは、一時的に乳糖(牛乳に含まれる糖)を消化しにくくなることがあります。牛乳やミルクを飲むと下痢が悪化するように見えるときは、自己判断で続けたりやめたりせず、診察でご相談ください。ガイドラインでも、下痢が 2 週間以上続く場合には、乳糖を減らしたミルクが役に立つことが示されています。
うんちの様子で分かること
便は、診察の大事な手がかりになります。気になる便が出たら、おむつごと持ってきていただくか、写真を撮っておいてください。東京都こども医療ガイドも、便の実物を持っていくことを勧めています。
| うんちの様子 | 考えること |
|---|---|
| 水のような便が何度も出る | 胃腸炎で多くみられます。水分が追いついているかを見てください |
| 吐いたり熱が出たりしたあとの、白っぽい〜クリーム色の水のような便 | ロタウイルスによる胃腸炎でよくみられます |
| 下痢ではないのに、白っぽい・クリーム色の便が続く。白目や肌が黄色い | 生後数か月以内なら、胆道閉鎖症などの病気のことがあります。母子健康手帳の便色カードと見比べ、すぐ受診してください |
| 粘り気のある、いちごゼリーのような血便。不機嫌を繰り返す | 腸重積症のことがあります。急いで受診してください |
| 血の混じった下痢に、強い腹痛や熱を伴う | 細菌による腸炎(カンピロバクター、O157 など)のことがあります。受診してください |
| 硬いうんちの表面に、少し赤い血がつく | 肛門が切れたこと(裂肛)によるものが多く、子どもの血便の原因でいちばん多いものです。便秘のケアが大切です |
| 黒っぽい便 | 胃や腸の上のほうからの出血のことがあります。受診してください |
白っぽい便については、胃腸炎によるものと、急いで調べる必要があるものの見分け方を 急性胃腸炎のページ で詳しく説明しています。
血の混じる下痢で気をつけたいこと — O157 など
血便の原因として知っておいていただきたいのが、腸管出血性大腸菌(O157 など)です。厚生労働省によると、3〜8 日ほどの潜伏期間のあと、水のような下痢で始まり、激しい腹痛とともに血便になることがあります。
症状が出た人の 6〜7% は、下痢などが始まってから数日〜2 週間以内(多くは 5〜7 日後)に、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症という重い合併症を起こすとされています。血便のあった下痢のあと、この時期に 顔色が悪い・おしっこが減る・むくむ・ぼんやりしている というときは、すぐに受診してください。
腸管出血性大腸菌の感染では、腸の動きを止めるタイプの下痢止めが毒素を体の外に出しにくくすることがあるため、厚生労働省も自己判断で薬を使わないよう呼びかけています。
元気なのに下痢が続くとき
胃腸炎の下痢は、嘔吐がおさまったあとも 1 週間ほど続くことがあり、それ自体はめずらしくありません(小児科の教科書にも、1 週間以上続くこともまれではないとあります)。それより長く続くときは、次のようなことを考えます。
- 抗菌薬(抗生物質)を飲んでいる、または飲み終えたばかり — 抗菌薬の副作用として下痢はよくみられます。自己判断でやめず、処方した医師にご相談ください
- 胃腸炎のあと、乳製品で悪化する — 上で説明した、一時的に乳糖を消化しにくくなる状態のことがあります
- 1 日に何度もゆるい便が出るが、痛がらず、よく食べて体重も順調に増えている — 生後 6 か月〜5 歳ごろにみられる「機能性下痢」のことがあります。国際的な診断基準(Rome IV)では、痛みのない大きめのゆるい便が 1 日 4 回以上、4 週間以上続き、体重の増えに問題がないものとされています。体重が順調に増えているかを確かめたうえで、飲み物や食事の内容を一緒に見直します
- 2 週間以上続く、血便が出る、体重が増えない・減ってきた — 潰瘍性大腸炎やクローン病などの腸の病気や、食物アレルギーなど、胃腸炎以外の原因を考えます。受診してください
おしりのかぶれを防ぐ
下痢が続くと、便に含まれる消化液でおしりの皮膚が荒れやすくなります。
- おむつはこまめに替え、おしりは拭くより、ぬるま湯で洗い流すのが基本です
- こすらず、押さえるように水気をとり、しっかり乾かしてからおむつをつけます
- 白色ワセリンや亜鉛華軟膏などで皮膚を保護すると、便が直接つきにくくなります
赤みが強い、ただれている、赤いぶつぶつが広がってきた、というときは受診してください。詳しいケアは おむつかぶれのページ にまとめています。
家族にうつさないために
胃腸炎を起こすウイルスは、便の中に大量に含まれます。ガイドラインは、手洗いの徹底と、おむつや汚れた衣類の塩素系消毒剤による消毒を、うつさないための基本として強く勧めています。
- おむつ替えのあと、トイレのあとは、石けんと流水で手を洗います。厚生労働省は、アルコールでの手指消毒は石けんと流水での手洗いの代わりにはならないとしています
- 使ったおむつはビニール袋に入れて口を縛って捨てます
- 便がついた衣類や床は、塩素系漂白剤を薄めた液(0.1%) で消毒します(こども家庭庁の保育所向けガイドラインが示す濃度です)
- タオルは家族で共用せず、お風呂は症状のあるお子さまを最後にします
症状がおさまったあとも、便の中にはしばらくウイルスが出続けます。ロタウイルスでは、下痢が始まってから 25〜57 日後にもウイルスを出していた子が 3 割いたという報告もあります。おむつ替えのあとの手洗いは、元気になってからも続けてください。消毒液の作り方は ノロウイルス胃腸炎のページ にまとめています。
保育園・学校はいつから
ウイルスによる胃腸炎の登園の目安について、こども家庭庁の保育所向けガイドラインは「嘔吐、下痢等の症状が治まり、普段の食事がとれること」としています。日本小児科学会も、ノロウイルス・ロタウイルスについて、下痢や嘔吐がなくなり全身状態がよければ登校・登園できる、としています。
O157 などの腸管出血性大腸菌の場合は基準が別で、症状がある子は、医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止とされています。
園や学校ごとの書類の扱いは 登園・登校はいつから? のページにまとめています。
下痢止め・整腸剤・便の検査について
下痢止め
ガイドラインは、子どもの急性胃腸炎に下痢止めを使わないことを強く推奨しています。よく使われるロペラミドという薬は、添付文書で 生後 6 か月未満の赤ちゃんには使ってはいけない薬 とされ、6 か月〜2 歳未満にも、治療上やむを得ない場合を除いて使わないこととされています。O157 などによる血の混じる下痢(出血性大腸炎)にも使えません。
市販の下痢止めを自己判断で飲ませるのは避けてください。
整腸剤
乳酸菌やビフィズス菌などの整腸剤(プロバイオティクス)は、下痢の期間を短くするという報告があり、ガイドラインも効果を認めています。ただし、効果が確かめられた菌の種類や量は、日本で売られているものとは異なるとも書かれています。「飲めば早く治る」というより、補助的なものと考えてください。
便の検査
ウイルスの種類を調べる便の検査(迅速検査)は、ガイドラインで「適切な初期治療には不要」とされています。治療はまず脱水への対応で、原因のウイルスによって変わらないためです。血便があるときなど、細菌による腸炎が疑われるときは、便の細菌の検査が必要かどうかを判断します。
受診のときに伝えていただきたいこと
受診の前に、次のことをメモしておくと診察がスムーズです(東京都こども医療ガイドの項目をもとにしています)。
- いつから、1 日に何回くらい下痢があるか。便の色・かたさ、血や粘液が混じっていないか(おむつごと、または写真があれば一番です)
- 熱はあるか、吐いていないか、お腹を痛がっていないか
- 水分はどれくらい飲めているか、食欲、授乳やミルクの回数
- 最後におしっこが出たのはいつか
- 抗菌薬など、飲んでいる薬があるか
- 家族や園で、同じような症状の人がいるか
関連する主な疾患
下痢の原因としてよくある病気です。それぞれの詳しい解説ページをご用意しています。
- 急性胃腸炎(感染性胃腸炎) — 子どもの下痢でいちばん多い原因
- ロタウイルス胃腸炎 — 乳幼児に多く、白っぽい下痢を伴う
- ノロウイルス胃腸炎 — 冬に多い、急な嘔吐で始まる胃腸炎
- 腸重積症準備中 — 不機嫌を繰り返し、いちごゼリー状の血便
- 胆道閉鎖症準備中 — 下痢ではないのに白っぽい便が続く
- 便秘症 — 硬い便の表面に血がつくとき
- おむつかぶれ — 下痢のあとのおしりの赤み
- 食物アレルギー準備中 — 特定の食べものと下痢が結びつくとき
当院での診療
当院は自由が丘駅徒歩 1 分。便の様子(おむつや写真)と脱水の程度を見て、胃腸炎以外の原因がないかを確かめます。食事やミルクをどう戻していくかも、お子さまの年齢に合わせて具体的にお伝えします。入院や詳しい検査が必要な病気が疑われるときは、対応できる病院へすぐにご紹介します。当日のご予約は LINE から承ります。
よくある質問
Q. 下痢止めを飲ませてもいいですか?
子どもには原則として使いません。ガイドラインは、子どもの急性胃腸炎に下痢止めを使わないことを強く推奨しています。下痢止めのロペラミドは、生後 6 か月未満には使えず、2 歳未満にも原則として使わない薬です。O157 などの細菌による血便の下痢では、毒素を体の外に出しにくくするおそれもあります。水分と塩分を補いながら、治るのを待つのが基本です。
Q. 下痢のときは食事を抜いたほうが早く治りますか?
いいえ、抜く必要はありません。ガイドラインは、脱水が補正できたら早めに食事を再開してよく、内容も年齢に応じたふだんの食事でよいとしています。食事を控えても治るまでの期間は変わらず、体重の戻りが遅くなる可能性があります。食欲がないときは無理に食べさせず、水分を優先してください。
Q. ミルクは薄めたほうがいいですか? 乳糖を除いたミルクに替えるべきですか?
ミルクは薄めずに、いつもの濃さで作ってください。薄めても治るまでの経過はよくならないことが分かっています。乳糖を除いたミルクも、最初から全員に必要なわけではありません。ミルクを飲むと下痢が明らかに悪化する、下痢が 2 週間以上続くというときは、替えたほうがよいか診察でご相談ください。
Q. 下痢が何日続いたら受診したほうがいいですか?
胃腸炎の下痢は 1 週間ほど続くこともあるので、機嫌がよく水分がとれていれば、日数だけであわてる必要はありません。1 週間以上続く、2 週間以上続いて体重が増えない、血が混じる、というときは受診してください。日数にかかわらず、おしっこが減っている、ぐったりしているときは早めに受診を。
Q. 整腸剤は効きますか?
乳酸菌などの整腸剤は、下痢の期間を短くするという報告があり、ガイドラインも効果を認めています。ただ、効果が確かめられた菌の種類や量は、日本で使われているものとは異なります。補助として使うもので、水分補給の代わりにはなりません。
Q. 抗菌薬を飲み始めてから下痢になりました。やめたほうがいいですか?
抗菌薬で下痢になることはよくあります。ただ、自己判断でやめると、治療中の病気が治りきらないことがあります。まずは処方した医療機関にご相談ください。血の混じる下痢、強い腹痛、ぐったりしているときは、すぐに受診してください。
Q. 保育園にはいつから行けますか?
ウイルスによる胃腸炎なら、嘔吐や下痢がおさまり、ふだんの食事がとれるようになったら登園の目安です。症状がなくなってからも便にはしばらくウイルスが出るので、おむつ替えのあとの手洗いは続けてください。O157 などの場合は、医師が感染のおそれがないと認めるまでお休みになります。
参考文献
- 日本小児救急医学会. エビデンスに基づいた子どもの腹部救急診療ガイドライン 2017 第Ⅰ部 小児急性胃腸炎診療ガイドライン. Minds ガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00577/(参照: 2026-09-25)
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- Benninga MA, Faure C, Hyman PE, et al. Childhood Functional Gastrointestinal Disorders: Neonate/Toddler. Gastroenterology. 2016;150(6):1443-1455. https://doi.org/10.1053/j.gastro.2016.02.016
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 25 日