今シーズンのインフルエンザは 1 か月早い — ワクチンはいつ打つ?
今シーズンは、例年の感覚で「12 月中旬までに打てばいい」と構えていると、間に合わない可能性があります。 一方で、9 月の今すぐ打てるわけでもありません(多くの助成制度は 10 月開始です)。 そのあいだをどう埋めるかが、今シーズンの実際の問題です。
東京都は 2026 年 8 月 27 日にインフルエンザの流行開始を発表しました [1]。 昨シーズンの流行開始(2025 年第 39 週・9 月下旬)より 1 か月以上早い立ち上がりです。
そして、いま増えているのは 子どもです。
いま、どれくらい流行しているの?
東京都の定点あたり報告数(1 医療機関あたり 1 週間に何人報告されたか)の推移です [2]。
| 週 | 定点あたり報告数 | うち 0〜14 歳 |
|---|---|---|
| 第 33 週(8/10〜16) | 0.90 人 | 0.55 人 |
| 第 34 週(8/17〜23) | 1.50 人 | 0.87 人 |
| 第 35 週(8/24〜30) | 2.65 人 | 1.59 人 |
3 週間で、1 週間ごとにほぼ倍のペースで増えています。
もうひとつ大事な数字があります。第 35 週に報告された 1,091 人のうち、653 人(約 6 割)が 0〜14 歳 でした [2]。 今シーズンの立ち上がりは、大人ではなく お子さまが中心で進んでいます。 夏休みが明け、園や学校が再開した時期と重なっています。
東京都が「注意報」の目安としているのは定点あたり 10 人、「警報」は 30 人 です [1]。 現時点の 2.65 人はまだその手前ですが、上がり方が速いというのが今シーズンの特徴です。
数字は毎週更新されます。最新の状況は 東京都感染症情報センター(インフルエンザ) でご確認ください。
なぜ「12 月中旬まででいい」と思っていると間に合わないのか
厚生労働省は、インフルエンザワクチンの接種時期について次のように案内しています [3]。
日本では、インフルエンザは例年 12 月〜3 月頃に流行し、例年 1 月末〜3 月上旬に流行のピークを迎えますので、12 月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。
ここで見落とされやすいのが、この目安には前提があるということです。 「例年 12 月〜3 月頃に流行し、1 月末〜3 月上旬にピーク」—— この前提の上で「12 月中旬まで」と言っています。
今シーズンは、その前提がすでに崩れています。 8 月末の時点で流行が始まり、毎週倍のペースで増えているからです。
これは「国の目安が間違っている」という意味ではありません。 目安をそのまま当てはめてよいシーズンかどうかを、今年は一度考える必要があるということです。
ワクチンはいつ打てばいい? — 逆算して考える
「では今すぐ打てばいいのか」というと、そう単純でもありません。 お子さまの場合、打ち終わるまでに時間がかかることと、助成が使える期間の 2 つを踏まえて逆算するのが現実的です。
13 歳未満は 2 回接種。完了までに 1 か月近くかかります
不活化ワクチン(注射)の場合、13 歳未満のお子さまは 2 回接種です [4]。
- 3 歳以上 13 歳未満:1 回 0.5mL を おおむね 2〜4 週間の間隔をおいて 2 回 [5]
- 免疫の付き方を考えると、4 週間の間隔が望ましいとされています [5]
つまり、1 回目を打った日から数えて、2 回目が終わるまでに 2〜4 週間かかります。 「流行が本格化してから動こう」と考えると、打ち終わる頃には波の中ということが起こり得ます。
なお、鼻にスプレーする 経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト®) は 2 歳以上 19 歳未満が対象で、1 シーズン 1 回です [6]。 注射が苦手なお子さまの選択肢になりますが、向き不向きがありますので、ご希望の際はご相談ください。
助成が使えるのは 10 月から(昨年度の実績)
目黒区の子どものインフルエンザ予防接種費用助成は、令和 7 年度は 2025 年 10 月 1 日〜2026 年 1 月 31 日の実施でした [7]。
| 令和 7 年度(2025 年度)の内容 [7] | |
|---|---|
| 対象 | 生後 6 か月〜高校 3 年生相当の区内在住者 |
| 期間 | 2025 年 10 月 1 日〜2026 年 1 月 31 日 |
| 注射(不活化) | 1 回 2,000 円の助成(12 歳以下は 2 回) |
| 経鼻(フルミスト®) | 1 回 4,000 円の助成(2 歳以上は 1 回) |
令和 8 年度(2026 年度)の内容は、本コラム公開時点(2026 年 9 月 4 日)ではまだ発表されていません。 金額・対象・期間は毎年度、区が定めます。決まり次第 目黒区「子どものインフルエンザ予防接種費用助成」 でご確認ください。
まとめると
- 9 月:ワクチンはまだ打てないことが多い時期。感染対策で乗り切る(次章)
- 10 月に入ったら:助成が始まり次第、早めに 1 回目を検討する
- 13 歳未満:2 回目まで 2〜4 週間かかることを見込んで予定を組む
「早く打つと春先に効果が切れないか」を心配される方もいらっしゃいます。 ワクチンの効果は永続するものではないため、接種の時期は、いつ流行が来るかとのバランスで決まります。 今シーズンはその流行の形が例年と違うため、お子さまの年齢・接種歴・園や学校の状況をふまえて個別にご相談いただくのが確実です。診察時にお気軽にお声がけください。
9 月のうちにできること
ワクチンを打てるようになるまでのあいだ、流行はすでに進んでいます。 この時期にいちばん効くのは、実は地味なことです。
- 手洗い:帰宅時・食事前。園や学校から帰ったらまず洗う習慣を
- 咳エチケット:咳が出るときはマスク、袖で口を覆う
- 換気:とくに人が集まる室内
- 体調が悪いときは無理をしない:早めに休むことが、園や学校での広がりを止めます
そして、ご家庭に生後 6 か月未満の赤ちゃんがいる場合は特にご注意ください。 インフルエンザワクチンは 生後 6 か月からの接種となるため、それより小さな赤ちゃんは 周りの家族が守るしかありません。
受診の目安
🚑 すぐに受診・救急
- 呼びかけへの反応が鈍い、意識がはっきりしない
- けいれんが起きた、おかしな言動がある
- 呼吸が苦しそう、顔色や唇の色が悪い
- 水分がまったく摂れず、おしっこが半日以上出ていない
🌅 早めに外来へ
- 急な高熱が出た(とくに園や学校で流行しているとき)
- 生後 6 か月未満のお子さまに発熱がある
- 一度下がった熱が、再び上がってきた
- 持病(ぜんそく・心疾患・神経疾患など)があり、発熱している
💚 あわせてご相談ください
- 今シーズンのワクチンをいつ打つか、何回打つか
- 注射が苦手で、経鼻ワクチンを検討したい
- ご家族に赤ちゃんや高齢の方がいて、家庭内の対策を相談したい
よくあるご質問
Q. 8 月から流行しているのに、ワクチンは 10 月まで待つしかないのですか?
多くの医療機関で、その年度のワクチンの接種開始や自治体の助成は秋からになります。目黒区の助成も 令和 7 年度は 10 月 1 日開始でした [7]。それまでの期間は、手洗い・咳エチケット・換気といった基本的な感染対策が中心になります。開始時期は年度ごとに変わりますので、当院にもお問い合わせください。
Q. うちの子は 5 歳です。1 回でよいですか?
13 歳未満のお子さまは 2 回接種です [4]。3 歳以上 13 歳未満は 1 回 0.5mL を おおむね 2〜4 週間の間隔で 2 回接種します(4 週間の間隔が望ましいとされています)[5]。1 回目だけで終わらせず、2 回目の予定まで決めておくことをおすすめします。
Q. すでにインフルエンザにかかりました。ワクチンは打たなくてよいですか?
インフルエンザには A 型・B 型など複数の型があり、シーズン中に別の型で再びかかることがあります。一度かかったからといって、その後の接種が無意味になるわけではありません。接種歴とかかった時期をふまえてご相談ください。
Q. 流行が早いということは、早く終わるということですか?
そう決まっているわけではありません。 今シーズンがこの先どう推移するかは、現時点では分かりません。東京都は注意報(定点あたり 10 人)・警報(30 人)の目安を設けており [1]、状況は週ごとに更新されます。「早く始まった=早く終わる」と考えて備えを緩めないでください。
Q. 鼻にスプレーするワクチン(フルミスト®)はうちの子でも使えますか?
対象は 2 歳以上 19 歳未満で、1 シーズン 1 回の接種です [6]。当院でも取り扱っています。注射が苦手なお子さまの選択肢になりますが、お子さまによって向き不向きがありますので、ご希望の際はご相談ください。
Q. 何日休めばよいですか?
学校保健安全法では、発症した後 5 日を経過し、かつ解熱した後 2 日(幼児は 3 日)を経過するまでが出席停止の目安です。数え方はまちがえやすいので、登園・登校はいつから? に整理しています。
ご予約・ご相談
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。インフルエンザワクチンの時期や回数のご相談は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 東京都. 都内でインフルエンザが流行開始(報道発表・2026 年 8 月 27 日). https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/08/2026082720 (閲覧: 2026-09-04)
- 東京都感染症情報センター. インフルエンザの流行状況(2025-2026 シーズン 患者発生動向). https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/ (閲覧: 2026-09-04)
- 厚生労働省. 令和 7 年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関する Q&A Q27. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html (閲覧: 2026-09-04)
- 厚生労働省. インフルエンザワクチン(季節性)Q9「ワクチンは 1 回接種でよいでしょうか?」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html (閲覧: 2026-09-04)
- インフルエンザ HA ワクチン 添付文書(用法及び用量:3 歳以上 13 歳未満には 0.5mL をおよそ 2〜4 週間の間隔をおいて 2 回皮下注射). 医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100138/230774000_16100EZZ01183000_B100_1.pdf (閲覧: 2026-09-04)
- 日本小児科学会. 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方. https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=607 (閲覧: 2026-09-04)
- 目黒区. 子どものインフルエンザ予防接種費用助成(令和 7 年度の内容・2025 年 12 月 1 日更新). https://www.city.meguro.tokyo.jp/hokenyobou/kenkoufukushi/yobousesshu/kodomo-influenza-josei.html (閲覧: 2026-09-04)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 4 日