今シーズンのインフルエンザは 1 か月早い — ワクチンはいつ打つ?
今シーズンは、例年の感覚で「12 月中旬までに打てばいい」と構えていると、間に合わない可能性があります。
東京都は 2026 年 9 月 17 日に「インフルエンザ注意報」を発表しました。 昨シーズンに注意報が出たのは 10 月下旬(2025 年第 43 週)ですから、1 か月以上早いことになります。 8 月 27 日の「流行開始」の発表から、わずか 3 週間での注意報でした。
目黒区も動いています。子どものインフルエンザ予防接種の費用助成は例年 10 月 1 日開始ですが、 今年度に限り 2026 年 9 月 18 日開始に前倒しされました。
そして、いま増えているのは 子どもです。
いま、どれくらい流行しているの?
東京都の定点あたり報告数(都内 419 か所の定点医療機関が、1 施設あたり 1 週間に何人報告したか)の推移です。
| 週 | 定点あたり報告数 | うち 0〜14 歳 |
|---|---|---|
| 第 33 週(8/10〜16) | 0.90 人 | 0.55 人 |
| 第 34 週(8/17〜23) | 1.51 人 | 0.88 人 |
| 第 35 週(8/24〜30) | 2.66 人 | 1.59 人 |
| 第 36 週(8/31〜9/6) | 5.46 人 | 3.73 人 |
| 第 37 週(9/7〜13) | 9.53 人 | 6.30 人 |
5 週間で 10 倍以上。1 週間ごとにほぼ倍という増え方が、そのまま続いています。
もうひとつ大事な数字があります。第 37 週に報告された 3,991 人のうち、2,640 人(約 66%)が 0〜14 歳 でした。 今シーズンの流行は、大人ではなく お子さまが中心で進んでいます。 夏休みが明け、園や学校が再開した時期と重なっています。
園や学校での広がりも数字に出ています。8 月 31 日〜9 月 13 日に報告された集団感染事例は 225 件、 うち学級閉鎖などの臨時休業は 107 件 でした。昨シーズンの同じ時期(2025 年 9 月 1 日〜14 日)の 臨時休業は 13 件 です。
都全体は 9.53 人。それでも「注意報」が出たのはなぜ?
東京都の注意報の基準は定点あたり 10 人、警報は 30 人 です。 第 37 週の都全体は 9.53 人で、この数字だけを見ると基準に届いていません。 それでも注意報が発表されたのは、保健所ごとの集計でもう一つの基準を満たしたからです。
都内 31 保健所のうち 14 保健所で定点あたり 10 人を超え、その管内人口の合計が 都全体の 47.87% に達しました。東京都は「基準を超えた保健所の管内人口が都全体の 30% を超えた場合」にも、 広域的に流行が起きているとして注意報を発表します。 つまり、都全体の平均が 10 人に届く前に、都民のおよそ半数が暮らす地域ではすでに注意報の水準にある、ということです。
数字は毎週更新されます。最新の状況は 東京都感染症情報センター(インフルエンザ) でご確認ください。
なぜ「12 月中旬まででいい」と思っていると間に合わないのか
厚生労働省は、インフルエンザワクチンの接種時期について次のように案内しています。
日本では、インフルエンザは例年 12 月〜3 月頃に流行し、例年 1 月末〜3 月上旬に流行のピークを迎えますので、12 月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。
ここで見落とされやすいのが、この目安には前提があるということです。 「例年 12 月〜3 月頃に流行し、1 月末〜3 月上旬にピーク」—— この前提の上で「12 月中旬まで」と言っています。
今シーズンは、その前提がすでに崩れています。 8 月末の時点で流行が始まり、毎週倍のペースで増えているからです。
これは「国の目安が間違っている」という意味ではありません。 目安をそのまま当てはめてよいシーズンかどうかを、今年は一度考える必要があるということです。
ワクチンはいつ打てばいい? — 逆算して考える
「では今すぐ打てばいいのか」というと、そう単純でもありません。 お子さまの場合、打ち終わるまでに時間がかかることと、助成が使える期間の 2 つを踏まえて逆算するのが現実的です。
13 歳未満は 2 回接種。完了までに 1 か月近くかかります
不活化ワクチン(注射)の場合、13 歳未満のお子さまは 2 回接種です。
- 3 歳以上 13 歳未満:1 回 0.5mL を おおむね 2〜4 週間の間隔をおいて 2 回
- 免疫の付き方を考えると、4 週間の間隔が望ましいとされています
つまり、1 回目を打った日から数えて、2 回目が終わるまでに 2〜4 週間かかります。 「流行が本格化してから動こう」と考えると、打ち終わる頃には波の中ということが起こり得ます。
なお、鼻にスプレーする 経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト®) は 2 歳以上 19 歳未満が対象で、1 シーズン 1 回です。 注射が苦手なお子さまの選択肢になりますが、向き不向きがありますので、ご希望の際はご相談ください。
目黒区の助成は 9 月 18 日から(今年度だけ前倒しされました)
目黒区の子どものインフルエンザ予防接種費用助成は、例年 10 月 1 日開始です。 今年度は 早期の流行を踏まえて 9 月 18 日開始に前倒しされました。
| 令和 8 年度(2026 年度)の内容 | |
|---|---|
| 対象 | 接種日現在、生後 6 か月〜高校 3 年生相当(2008 年度生まれまで)で目黒区に住民登録のある方 |
| 助成対象期間 | 2026 年 9 月 18 日〜2027 年 1 月 31 日 |
| 注射(不活化) | 1 回 2,000 円の助成(生後 6 か月〜12 歳は期間内に 2 回まで/13 歳〜高校 3 年生相当は 1 回) |
| 経鼻(フルミスト®) | 1 回 4,000 円の助成(2 歳〜高校 3 年生相当・期間内に 1 回) |
| 注意 | 注射と経鼻は どちらか一方のみ。助成が使えるのは 区内の契約医療機関 に限られます |
ただし、9 月 18 日からすべての医療機関ですぐに接種できるわけではありません。 インフルエンザワクチンは例年 10 月 1 日の接種開始に向けて 9 月下旬に出荷されるため、 医療機関に届く時期には幅があります。今年は 経鼻の生ワクチンのほうが販売開始が遅いと案内されています。 在庫と予約の状況は、接種を受けたい医療機関にお問い合わせください。 最新の内容は 目黒区「子どものインフルエンザ予防接種の費用助成(令和 8 年度)」 でご確認いただけます。
まとめると
- いま(9 月下旬):目黒区の助成はすでに始まっています。ワクチンが届いた医療機関から順に、早めの 1 回目を検討できる時期です
- 13 歳未満:2 回目まで 2〜4 週間かかります。1 回目の予約と一緒に、2 回目の予定まで決めておくと安心です
- 当院について:キッズクリニックまるまるは 2026 年 11 月の開院を予定しています。それまでの接種は、目黒区の 区内契約医療機関 でご相談ください
「早く打つと春先に効果が切れないか」を心配される方もいらっしゃいます。 ワクチンの効果は永続するものではないため、接種の時期は、いつ流行が来るかとのバランスで決まります。 今シーズンはその流行の形が例年と違うため、お子さまの年齢・接種歴・園や学校の状況をふまえて個別にご相談いただくのが確実です。診察時にお気軽にお声がけください。
ワクチンとあわせて、いまできること
ワクチンを打てば感染を完全に防げるというものではありませんし、接種してから効果が現れるまでにも時間がかかります。 流行はすでに進んでいますので、この時期にいちばん効くのは、実は地味なことです。
- 手洗い:帰宅時・食事前。園や学校から帰ったらまず洗う習慣を
- 咳エチケット:咳が出るときはマスク、袖で口を覆う
- 換気:とくに人が集まる室内
- 体調が悪いときは無理をしない:早めに休むことが、園や学校での広がりを止めます
そして、ご家庭に生後 6 か月未満の赤ちゃんがいる場合は特にご注意ください。 インフルエンザワクチンは 生後 6 か月からの接種となるため、それより小さな赤ちゃんは 周りの家族が守るしかありません。
受診の目安
🚑 すぐに受診・救急
- 呼びかけへの反応が鈍い、意識がはっきりしない
- けいれんが起きた、おかしな言動がある
- 呼吸が苦しそう、顔色や唇の色が悪い
- 水分がまったく摂れず、おしっこが半日以上出ていない
🌅 早めに外来へ
- 急な高熱が出た(とくに園や学校で流行しているとき)
- 生後 6 か月未満のお子さまに発熱がある
- 一度下がった熱が、再び上がってきた
- 持病(ぜんそく・心疾患・神経疾患など)があり、発熱している
💚 あわせてご相談ください
- 今シーズンのワクチンをいつ打つか、何回打つか
- 注射が苦手で、経鼻ワクチンを検討したい
- ご家族に赤ちゃんや高齢の方がいて、家庭内の対策を相談したい
よくあるご質問
Q. 目黒区の助成は、いつから使えますか?
令和 8 年度(2026 年度)は 2026 年 9 月 18 日から 2027 年 1 月 31 日までです。例年は 10 月 1 日開始ですが、今年度は早期の流行を踏まえて前倒しされました。ただし、ワクチンが医療機関に届く時期には幅があり、9 月 18 日からすべての医療機関で接種できるわけではありません(今年は経鼻の生ワクチンのほうが販売開始が遅いと案内されています)。助成が使えるのは区内の契約医療機関に限られますので、在庫と予約の状況は接種を受けたい医療機関にお問い合わせください。
Q. うちの子は 5 歳です。1 回でよいですか?
13 歳未満のお子さまは 2 回接種です。3 歳以上 13 歳未満は 1 回 0.5mL を おおむね 2〜4 週間の間隔で 2 回接種します(4 週間の間隔が望ましいとされています)。1 回目だけで終わらせず、2 回目の予定まで決めておくことをおすすめします。
Q. すでにインフルエンザにかかりました。ワクチンは打たなくてよいですか?
インフルエンザには A 型・B 型など複数の型があり、シーズン中に別の型で再びかかることがあります。一度かかったからといって、その後の接種が無意味になるわけではありません。接種歴とかかった時期をふまえてご相談ください。
Q. 流行が早いということは、早く終わるということですか?
そう決まっているわけではありません。 今シーズンがこの先どう推移するかは、現時点では分かりません。すでに注意報(定点あたり 10 人)は発表されており、次の目安は警報(30 人)です。状況は週ごとに更新されます。「早く始まった=早く終わる」と考えて備えを緩めないでいただければと思います。
Q. 鼻にスプレーするワクチン(フルミスト®)はうちの子でも使えますか?
対象は 2 歳以上 19 歳未満で、1 シーズン 1 回の接種です。目黒区の助成も対象で、1 回 4,000 円が助成されます(注射との併用はできません)。注射が苦手なお子さまの選択肢になりますが、お子さまによって向き不向きがあります。当院での取り扱い・費用・予約開始時期は、開院にあわせてこのサイトでご案内します。
Q. 何日休めばよいですか?
学校保健安全法では、発症した後 5 日を経過し、かつ解熱した後 2 日(幼児は 3 日)を経過するまでが出席停止の目安です。数え方はまちがえやすいので、登園・登校はいつから? に整理しています。
ご予約・ご相談
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。インフルエンザワクチンの時期や回数のご相談は、LINE からご予約ください。
参考文献
- 東京都. 都内のインフルエンザ、注意報基準を超える(報道発表・2026 年 9 月 17 日). https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/09/2026091719 (閲覧: 2026-09-20)
- 東京都. 都内でインフルエンザが流行開始(報道発表・2026 年 8 月 27 日). https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2026/08/2026082720 (閲覧: 2026-09-04)
- 東京都感染症情報センター. インフルエンザの流行状況(東京都 2026-2027 年シーズン)・定点医療機関からの年齢別報告数. https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/flu/flu/ (閲覧: 2026-09-20。第 33〜35 週は 2025-2026 年シーズンの同表による)
- 厚生労働省. 令和 7 年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関する Q&A Q27. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2025.html (閲覧: 2026-09-04)
- 厚生労働省. インフルエンザワクチン(季節性)Q9「ワクチンは 1 回接種でよいでしょうか?」. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/yobou-sesshu/vaccine/influenza/index.html (閲覧: 2026-09-04)
- インフルエンザ HA ワクチン 添付文書(用法及び用量:3 歳以上 13 歳未満には 0.5mL をおよそ 2〜4 週間の間隔をおいて 2 回皮下注射). 医薬品医療機器総合機構. https://www.pmda.go.jp/drugs/2011/P201100138/230774000_16100EZZ01183000_B100_1.pdf (閲覧: 2026-09-04)
- 日本小児科学会. 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの使用に関する考え方. https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=607 (閲覧: 2026-09-04)
- 目黒区. 子どものインフルエンザ予防接種の費用助成(令和 8 年度・2026 年 9 月 15 日更新). https://www.city.meguro.tokyo.jp/hokenyobou/kenkoufukushi/yobousesshu/kodomo-influenza-josei.html (閲覧: 2026-09-20)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 20 日