新型コロナウイルス感染症
お子さまの発熱や咳が続くと、「コロナかもしれない」「いつまで休ませればいいの?」「家族にうつさないために何をすればいい?」と心配になりますよね。多くのお子さまは数日〜1 週間ほどで回復しますが、年齢や持病によっては気をつけたい点もあります。このページでは、子どもの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、症状の見え方・ご家庭でのケア・登園や登校の考え方を、保護者の方にもわかりやすくまとめています。気になる症状があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
💡 この記事の要点
- コロナウイルスによる感染症で、多くのお子さまは数日〜1週間ほどで回復します
- こまめな水分補給と、つらいときのアセトアミノフェンでの解熱、家族にうつさない工夫が中心です
- けいれんが長く続く・意識が戻らない・ぐったりして反応が鈍いときは救急対応が必要です
どんな病気か
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コロナウイルスの一種が原因で起こる感染症です。2023 年以降は感染症法上「5 類感染症」となり、インフルエンザと同じ枠組みで一般のクリニックで診察・治療できる病気になりました。ただし「普通の風邪と同じ」と完全に言い切れるわけではなく、お子さまの年齢や持病によっては注意が必要な場合もあります。
2022 年以降に主流となっているオミクロン系統では、のどや鼻など上気道の症状が中心で、多くのお子さまは数日〜1 週間程度で回復します。一方で、犬の遠吠えのような「ケンケン」した咳(クループ様の症状)が小児で増えているのも特徴です。
感染経路は、せきやくしゃみの飛沫、空気中に漂う細かい粒子(エアロゾル)、ウイルスのついたものに触れての接触感染です。潜伏期間(感染してから症状が出るまでの期間)は 1〜14 日と幅がありますが、オミクロン系統では中央値で 3 日程度とされています。
主な症状と気づきのポイント
オミクロン以降の小児で多くみられる症状は次のとおりです。
- 発熱
- 咳、のどの痛み、鼻水
- 倦怠感(だるさ)、頭痛
- 嘔吐や下痢(オミクロン以降に増えています)
- 犬の遠吠えのような「ケンケン」した咳と、声がかすれる症状(クループ様の咳)
「うちの子の症状はコロナかも?」と気づくポイント
風邪・インフルエンザ・RS ウイルスなど、子どもの上気道感染はどれも似た症状で始まります。コロナだけを症状から見分けるのは難しく、流行状況・ご家族や園での感染状況・症状の組み合わせから総合的に判断します。「のどの痛みが強い」「クループ様のケンケン咳が出ている」「嘔吐下痢を伴う発熱」といった組み合わせが見られる時期は、コロナを念頭においた検査を検討します。
判断に迷う場合は、症状の経過や接触歴をうかがった上で、必要な検査や対応をご案内します。気になる症状があれば、受診をご検討ください。
紛らわしい病気(鑑別)
子どものコロナと似た症状を起こす代表的な病気は次のとおりです。実際の見分けは、診察・検査と流行状況をあわせて判断します。
- インフルエンザ — 急な高熱・強い全身のだるさ・関節痛が目立つことが多い病気
- RS ウイルス感染症 — 乳児で「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸の音が出やすい
- 普通感冒(一般的な風邪) — 鼻水・咳が中心で発熱は軽め
- アデノウイルス感染症 — 高熱が長く続く、目の充血、扁桃の白い苔のような付着が見られることがある
- マイコプラズマ肺炎 — 長引く乾いた咳が特徴
当院での診断と治療
検査について
鼻の奥または鼻腔から綿棒で粘液をとり、抗原検査(迅速)または PCR 検査で診断します。抗原検査は院内でその場で結果が分かり、PCR 検査は外部の検査機関に依頼するため結果は数日後になります。発熱直後は陰性となることもあるため、症状や経過によっては時間をおいての再検査や、他の感染症を含めた評価をご提案します。
軽症のお子さま(多くの場合)
ほとんどの場合、つらい症状をやわらげる 対症療法(解熱薬・水分補給・安静)が中心です。解熱薬は アセトアミノフェン(カロナール®等)を用います。
重症化リスクのあるお子さま
早産児・基礎疾患のあるお子さま(先天性心疾患、慢性肺疾患、神経筋疾患、免疫不全等)など、重症化リスクが高いお子さまでは、状態に応じて追加の評価を行います。重症化リスクのある 12 歳以上で体重 40kg 以上のお子さま には、ウイルスを抑える飲み薬(ニルマトレルビル/リトナビル:パキロビッド®)の適応を検討します。また、エンシトレルビル(ゾコーバ®)は、2026 年 6 月に 6 歳以上 12 歳未満(体重 20kg 以上)にも用法・用量が追加承認され、12 歳以上とあわせて対象になりました(体重に応じて用量が異なります)。発症から 72 時間以内の開始が必要で、併用できないお薬が多いため、服用中のお薬を確認した上で投与の是非を検討します [5][7]。なお、モルヌピラビル(ラゲブリオ®)は 18 歳以上が適応で、小児への使用はありません。
当院で対応できること
- 抗原検査(院内・その場で結果)/ PCR 検査(外部の検査機関へ依頼)による診断
- 軽症のお子さまの対症療法と家庭療養のご相談
- 重症化リスクの評価と、必要に応じた抗ウイルス薬の処方
- ワクチン接種のご相談(小児の新型コロナワクチンは現在、定期接種ではなく 任意接種 です。重症化リスクの高い基礎疾患のあるお子さまには接種が推奨されており、健康なお子さまについても、保護者の方のご希望と医師との相談のうえで接種できます [6])
- 入院や高度な検査が必要と判断した場合の、連携医療機関へのご紹介
呼吸の苦しさが強いとき、ぐったりして反応が鈍いとき、けいれんを伴うときなど、より専門的な対応が必要な場合は、連携している大きな病院へすみやかにご紹介します。多くのお子さまは外来でのケアで回復しますので、まずは安心してご相談ください。
家庭でできるケア
水分補給
こまめに少しずつ水分をとることが大切です。経口補水液(OS-1 等)、麦茶、薄めたりんごジュース、スープなど、お子さまが飲みやすいものをご用意ください。一度に大量に飲むと吐いてしまうことがあるため、スプーン 1 杯〜ひと口を 5〜10 分おきにくらいのペースが目安です。吐いてしまった後は、少し時間をおいてから少量から再開します。
解熱薬の使い方
アセトアミノフェン(カロナール®等)は、お子さまがつらそうなとき・水分が取りにくいとき・眠れないときに、処方された量と間隔を守ってお使いください。具体的な使用タイミングは個別の状況によりますので、迷ったら 受診をご検討ください。
なお、アスピリン(サリチル酸系の解熱鎮痛薬)は、お子さまの場合 ライ症候群(Reye 症候群)という稀ですが重篤な副作用のリスクがあるため、原則として使用しません。市販の解熱鎮痛薬を使う場合は、必ず「小児用」と明記されたものを選んでください。
咳や鼻水でつらそうなとき
- 加湿器や濡れタオルで部屋の湿度を保つ
- 寝るときに上半身を少し高くする
- 鼻水は鼻吸い器でこまめに取る
- 入浴は熱がなく元気があれば短時間 OK、シャワーのみでも可
食事
食欲が落ちているときは無理に食べさせなくて大丈夫です。水分がとれていれば、数日食事量が減っても大きな問題はありません。回復してきたら、おかゆ・うどん・バナナなど消化のよいものから少しずつ。
ご家族にうつさないために
完璧を目指さず「できる範囲で」が基本です。
- お部屋を分けられる場合は分ける(難しければ寝る方向を変える・距離をとる)
- タオル・コップは別にする(食器は通常の洗浄で OK)
- こまめな換気(1〜2 時間ごとに数分)
- 看護する大人はマスク・手洗い
登園・登校の目安
学校保健安全法では、コロナは出席停止の対象となる感染症(第二種)に位置づけられています。現行の基準(令和 5 年改正)では、発症した日の翌日から数えて 5 日が経過し、かつ症状が軽くなってから 1 日が経過するまでは出席停止とされています。「熱が下がった」だけでなく「咳やだるさが落ち着いた」状態が 1 日続くことが目安です。保育園・幼稚園では園ごとに運用が異なる場合がありますので、所属園の方針もあわせてご確認ください。
登園・登校許可証が必要かどうかは園・学校により異なります。当院でも発行できますので、必要な場合は受診時にお申し出ください。
知っておきたい注意点
- ごく稀ですが、感染後 2〜6 週間してから MIS-C(感染後 2〜6 週で起こる、川崎病に似た稀な強い炎症反応:発熱・発疹・目の充血・唇の赤み等) が起こることがあります。回復後しばらくしてからの新たな発熱や発疹は、念のためご相談ください。
- 国内では小児で 急性脳症(けいれんを伴う意識障害)の報告がオミクロン期に増えています。けいれんが長く続く、けいれん後に意識が戻らない、ぐったりして反応が鈍いといった場合は、救急対応が必要です。
- 治った後 1〜2 週間で症状が再び出ることがあります(リバウンド現象)。慌てず、症状が強い場合は再度ご相談ください。
- 治った後も倦怠感・集中力低下・頭痛・睡眠の乱れなどが続くこと(罹患後症状、いわゆる long COVID)が、お子さまにも起こりうると報告されています。小児では大人より頻度が低い傾向とされていますが、長引く場合はご相談ください。
よくあるご質問
Q. 熱が出てすぐ検査しても陽性になりますか? 検査のベストなタイミングは?
発症して間もない時期は、ウイルス量が少なく陰性と出てしまうことがあります。症状の出方・ご家族や園での感染状況・経過時間によって、検査のタイミングや方法を個別にご案内します。判断に迷う場合は 受診をご検討ください。
Q. 解熱剤(カロナール/アセトアミノフェン)はどんな時に使っていい? 間隔は?
一般論としては「お子さまがつらそうなとき」「水分が取りにくいとき」「眠れないとき」に、処方量と間隔を守ってお使いください。具体的なタイミング・量は症状やお子さまの体格によりますので、不安な場合は症状をうかがった上で個別にご案内します。
Q. きょうだいや家族にうつさないためには?
完璧を目指さず「できる範囲で」が基本です。部屋を分ける・タオルを分ける・換気・看護する大人のマスクと手洗いを意識しましょう。食器は通常の洗浄で大丈夫です。同じ部屋で寝ざるをえない場合も、距離をとる・寝る方向を変える・換気を増やすことで十分意味があります。
Q. いつから保育園・学校に行けますか?
学校保健安全法では「発症した日の翌日から 5 日経過し、かつ症状が軽くなってから 1 日経過するまで」が出席停止です。登園・登校許可証の要否は園や学校により異なりますので、所属先にご確認ください。当院でも書類発行に対応しています。
Q. クループのような「ケンケン」した咳が出ています。コロナですか?
オミクロン以降、小児ではクループ様の咳がコロナの症状として出やすくなっています。コロナ以外(パラインフルエンザ等)でも起こります。呼吸が苦しそう・息を吸うときに「ヒューヒュー」音がする・くちびるの色が悪い場合はお早めにご相談ください。
Q. コロナにかかった後、しばらく元気が出ない・集中できない様子です。後遺症ですか?
お子さまでも、治った後に倦怠感・集中力低下・頭痛・睡眠の乱れなどが続くことがあります。小児では大人より頻度が低い傾向と報告されていますが、生活に支障が出るほど続く場合はご相談ください。必要に応じて専門外来をご紹介します。
Q. 授乳中の母親がコロナにかかったら、授乳は続けてもいい?
原則として授乳は続けて大丈夫です。マスク・手洗いを徹底してください。
症状についてのご相談
夜中でも、念のためでも、迷っているだけでも構いません。気になることがあれば、ひと言聞かせてください。お子さまの状態を直接お伺いした上で、受診の必要性や検査・治療を個別にご案内します。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。新型コロナウイルス感染症をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 厚生労働省 / 研究班. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第 10.1 版(2024 年 4 月). https://www.mhlw.go.jp/content/001248424.pdf (2026-06-02 参照)
- 日本外来小児科学会・日本小児科学会・日本小児感染症学会. 小児の外来診療におけるコロナウイルス感染症 2019(COVID-19)診療指針 第 2 版(2021 年 9 月). https://www.jspid.jp/wp-content/uploads/2021/11/%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%A4%96%E6%9D%A5%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%872019%EF%BC%88COVID-19%EF%BC%89%E8%A8%BA%E7%99%82%E6%8C%87%E9%87%9D-20210930.pdf (2026-06-02 参照)
- 日本小児科学会. 新型コロナウイルス感染症 関連情報. http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=333 (2026-06-02 参照)
- 日本小児科医会. 新型コロナウイルス感染症関連情報(2025 年版). https://www.jpa-web.org/pediatric-related_information/pediatric-related_information_2025/kansen_2025/corona_25.html (2026-06-02 参照)
- 日本小児科学会. エンシトレルビル フマル酸(ゾコーバ®錠 125mg)COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け. https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20230220_corona_12.pdf (2026-06-10 参照)
- 日本小児科学会. 2025/26 シーズンの小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方. https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=662 (2026-06-10 参照)
- 塩野義製薬. 抗新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)薬ゾコーバ®の国内における小児用法・用量の追加承認について(2026 年 6 月 19 日). https://www.shionogi.com/jp/ja/news/2026/06/20260619.html (2026-07-03 参照)
- 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」印刷 p.577・Supplement)
※本ページの内容は、上記参考文献および現行ガイドライン(2024〜2025 年版)に基づいて作成しています。お子さま個別の判断は、症状や経過をうかがった上での診察が必要です。気になることがあれば、受診をご検討ください。
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 9 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。