風しん(三日はしか)
風しんは、淡い赤い発疹・耳の後ろのリンパ節の腫れ・軽い発熱を起こすウイルス性の感染症です。発疹が約 3 日で消えることから「三日はしか」とも呼ばれ、お子さま自身の症状は比較的軽い ことが多いです。
ただし、妊娠初期のお母さんが感染すると、おなかの赤ちゃんに先天性風しん症候群(CRS) という重い先天異常を起こすリスクがあります。だからこそ、家族や周りの人のワクチン接種が重要です。このページでは、症状の特徴・ご家庭でのケア・ワクチンでの予防を順番に確認できます。
💡 この記事の要点
- 発疹が約3日で消える比較的軽い病気ですが、妊婦への感染は胎児に影響するリスクがあります
- 特別な看護は不要です。かゆみには医師処方の抗ヒスタミン薬を使い、発疹が消失するまで登園・登校は控えます
- 発熱と発疹・リンパ節の腫れがあるとき、妊娠中の方に会う予定があるときはご相談ください
主な症状と気づきのポイント
潜伏期は 14〜21 日(通常 16〜18 日)です。他の人にうつす可能性がある期間は、発疹が出る 2〜3 日前から、発疹が出た後 7 日目ごろまでです。
発疹
- 淡い赤い発疹 が顔・耳の後ろから出て、全身に広がります
- 約 3 日で消え、色素沈着は残しにくい
- 軽いかゆみを伴うことがあります
発熱
- 微熱(37〜38℃)が発疹とともに 2〜3 日続きます
- 約半数は熱が出ません
リンパ節の腫れ
- 発疹より約 1 週間前から、耳の後ろ・首の後ろ のリンパ節が腫れて、押すと少し痛い
- 数週間続くこともあります
- 発疹のないリンパ節腫脹だけ が症状のこともあります
関節痛
- 思春期の女の子や成人で 約 70% に関節痛 が出ます
不顕性感染
- 小児では 約 15〜30% が症状の出ない感染(不顕性感染)です
紛らわしい病気(鑑別)
発疹とリンパ節の腫れは、風しん以外でも起こります。当院では問診と診察で次のような病気との見分けを行います。
- 麻しん(はしか) — 高熱が続き、コプリック斑・強い咳や目の充血を伴います。風しんより全身症状が重く、発疹も濃いのが特徴です
- 突発性発疹 — 高熱が 3〜4 日続いた後、解熱してから発疹が出ます
- 伝染性紅斑(りんご病) — ほっぺたの赤みと、腕や脚のレース状の発疹が特徴です
- 溶連菌感染症(猩紅熱) — のどの強い痛み・いちご舌・ざらついた発疹を伴います
- 伝染性単核球症(EB ウイルス) — のどの腫れ・首のリンパ節腫脹・倦怠感が続きます
- 薬疹 — 服薬後に出た発疹では、薬の影響も考えます
風しんは症状が軽く見分けにくいうえ、妊婦への感染が問題になるため、接触歴や発疹があるときは受診前にご連絡ください。
先天性風しん症候群(CRS)について
風しんに免疫のない妊娠初期の妊婦が感染すると、おなかの赤ちゃんに先天異常を起こすリスクがあります。妊娠の早い時期に感染するほどリスクが高くなります:
妊娠月別の発生頻度
- 妊娠 1 か月: 50% 以上
- 妊娠 2 か月: 35%
- 妊娠 3 か月: 18%
- 妊娠 4 か月: 8%
- 妊娠 20 週以降: ほとんど異常なし
主な症状: 白内障・先天性心疾患・感音性難聴などの永久的障害、低出生体重・血小板減少性紫斑病・肝炎などの新生児期一過性症状、遅発性脳障害。
受診の目安
- 発熱と発疹・リンパ節の腫れ
- 妊娠中のご家族・知り合いに会った後、または会う予定がある場合は事前にご連絡ください
- 関節痛が続く
家庭でできるケア
医学書に基づくホームケア:
- 特別な看護は不要
- 発疹のかゆみには医師処方の抗ヒスタミン薬、関節炎には鎮痛薬
- 発疹が消失するまで登園・登校は控える
- 妊娠中の方が近くにいる場合はすぐに隔離(先天性風しん症候群の予防)
主な合併症
通常は予後良好で発疹は約 3 日で消えますが、以下のリスクがあります:
- 血小板減少性紫斑病(ITP): 約 3,000 例に 1 例(多くは自然に回復します)
- 脳炎: 約 5,000〜6,000 例に 1 例(多くは後遺症なく治りますが、まれに重症・死亡例の報告もあります)
- 肝炎・溶血性貧血
- 先天性風しん症候群(CRS): 上記参照
予防接種
MR(麻しん・風しん混合)ワクチンの 2 回接種で予防します:
- 1 期: 1 歳のお誕生日からなるべく早く
- 2 期: 就学前の 1 年間(5〜6 歳)
→ 予防接種の月齢別スケジュール準備中
妊娠を希望する女性とそのご家族の抗体保有確認・ワクチン接種 が、先天性風しん症候群の予防にもっとも重要です。
当院での診断と治療
風しんは感染力のある病気です。ご予約の際に症状やご家族の妊娠状況をお知らせいただければ、ほかの患者さまと離れた隔離待合室でお待ちいただけます。
- 一般小児科外来で、合併症のない風しんの診療・対症療法・経過観察を行います
- 5 類全数把握疾患のため、診断時は保健所への届け出を実施
- 妊婦さんへの曝露が疑われる場合は産科と連携します
- 重症合併症(脳炎・血小板減少性紫斑病の重症例)は高次医療機関へ紹介
診察では、ご家族に妊娠中の方がいないかどうかも含めて、ご家庭ごとのご心配を一緒に整理しますので、遠慮なくお聞かせください。
よくあるご質問
Q. 妊婦さんが近くにいます。どうすればよいですか?
すぐに隔離して、感染させないよう注意します。妊婦さんは速やかにかかりつけ産科医へご相談ください。
Q. 軽い病気なら予防はいらないのでは?
本人は軽症でも、妊娠初期の妊婦にうつると赤ちゃんに重い先天異常(先天性風しん症候群)を起こしうるため、家族のワクチンが重要 です。
Q. ワクチンは何回打てばよいですか?
MR ワクチン 2 回接種(1 歳と就学前)が標準です。
Q. 大人もかかりますか?
近年は ワクチン未接種の成人に多い 病気です。日本では過去のワクチン制度の経緯から、抗体をもたない 20〜40 歳代の男性で流行を繰り返しています。妊娠を希望する女性とそのご家族は抗体検査・ワクチン接種をご検討ください。
Q. いつから登園・登校できますか?
発疹が消失するまで 登園・登校は控えてください。
症状についてのご相談
気になる症状やご不安があるときは、無理にご家庭で様子を見続けず受診をご検討ください。お子さまの状態に合わせて個別にご案内します。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。風しん(三日はしか)をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第15章 感染症 B.ウイルス感染症「風疹」(印刷 p.325-326)
- 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所). 風しん(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/infectious-diseases/rubella/detail/index.html (accessed: 2026-06-05)
- 国立感染症研究所. 先天性風疹症候群に関する Q&A. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000026987.pdf (accessed: 2026-06-05)
- 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「風疹」印刷 p.504)
※本ページの内容は、上記参考文献および現行ガイドラインに基づいて作成しています。お子さま個別の判断は、症状や経過をうかがった上での診察が必要です。
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 11 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。