感染症 更新日:公開日:

麻しん(はしか)

高い熱・咳・鼻水・目の充血が数日続いた後にいったん熱が下がり、その半日後に再び高熱と発疹が出る——これが「はしか」の典型的な経過です。空気感染で広がる感染力の非常に強い病気で、マスクや手洗いだけでは予防が難しく、MR ワクチンの 2 回接種が最も確実な予防策です。

このページでは、症状の見分け方・経過・受診の目安・予防接種の考え方を、自由が丘 キッズクリニックまるまるの小児科医がご案内します。

💡 この記事の要点

  • 空気感染で広がる感染力の非常に強い病気で、MRワクチンの2回接種が最も確実な予防です。
  • 安静と十分な水分をとり、解熱後3日(できれば咳が軽くなるまで)は感染に注意しましょう。
  • はしかを疑う接触歴・症状があるときは、来院前に必ずご連絡のうえ受診をご検討ください。

主な症状と気づきのポイント

経過は 二峰性発熱(いったん下がった熱がまた上がる)を特徴とし、次の 3 期に分かれます:

カタル期(3〜4 日)

  • 38〜39℃の発熱
  • 咳・鼻水・目の充血・目やに(風邪に似た症状)
  • 発疹の 1〜2 日前から、ほっぺたの内側に出る白い小さな点(コプリック斑) が現れる
  • 感染力がもっとも強い時期

発疹期(4〜5 日)

  • いったん下がった熱が 半日ほどでまた 39〜40℃ に上がる
  • 耳の後ろ・首・額 から始まり、翌日には顔・体・手足へ広がる鮮紅色の発疹
  • 咳・鼻水などはさらに強くなる

回復期

  • 発疹出現後 3〜4 日で解熱、発疹は 茶色っぽい色素沈着 を残して消える
  • 合併症がなければ 7〜10 日で回復

紛らわしい病気(鑑別)

発熱と発疹が出る病気は多く、はしかとの見分けが必要です。当院では問診と診察で次のような病気との区別を行います。

  • 風しん(三日はしか) — 発疹は似ていますが、熱は軽めで経過が短く、コプリック斑は出ません。耳の後ろのリンパ節が腫れやすいのが特徴です
  • 突発性発疹 — 高熱が 3〜4 日続いた「後」に、熱が下がってから発疹が出ます(はしかは熱が続く中で発疹が出ます)
  • 伝染性紅斑(りんご病) — ほっぺたが赤くなり、腕や脚にレース状の発疹が出ます。全身状態は比較的良好です
  • 溶連菌感染症(猩紅熱) — のどの強い痛み・いちご舌・ざらついた細かい発疹が特徴です
  • 川崎病 — 5 日以上続く高熱に、目の充血・唇の赤み・発疹・手足のむくみなどがそろう場合に疑います
  • 薬疹 — 服薬後に出た発疹では、薬の影響も考えます

ご家庭での見分けが難しいことも多いため、はしかを疑う接触歴・症状があるときは、自己判断せず受診前にご連絡ください。

受診の目安

はしか患者との接触歴があり、38℃以上の発熱・咳・鼻水・目の充血・発疹が出てきたら 受診ください。空気感染するため、ご来院前に必ずご連絡 いただき、別経路でご案内します。

特に 0〜1 歳の乳児 で重症化しやすいため、強い咳・脱水・意識の変化などがあれば早めに受診を。

家庭でできるケア

医学書・公的機関に基づくホームケア:

  • 安静と十分な水分 — 経口補水液・ジュース・アイスクリームなど飲みやすいもので脱水を予防
  • 発熱時の冷却(前額部・側胸部など)
  • 解熱後 3 日(できれば咳が軽くなるまで)は他者への感染に注意

主な合併症

合併症がなければ 7〜10 日で回復しますが、以下のリスクがあります:

  • 肺炎: 約 6〜10%(はしかの二大死因の一つ)
  • 中耳炎: 約 7〜10%(麻しんで最も多い合併症の一つ)
  • クループ症候群(喉頭炎)
  • 脳炎: 0.05〜0.1%。後遺症リスク 20〜40%、致死率約 15%
  • 亜急性硬化性全脳炎(SSPE): 感染 4〜10 年後に進行する予後不良の疾患(ワクチン未接種児で約 10 万例に 1 例)

予防接種

MR(麻しん・風しん混合)ワクチンの 2 回接種で予防します:

  • 1 期: 1 歳のお誕生日からなるべく早く
  • 2 期: 就学前の 1 年間(5〜6 歳)

予防接種の月齢別スケジュール準備中

2 回の定期接種が浸透した現在も、海外から持ち込まれた例をきっかけに流行することがあり、2026 年は国内の報告数が増えています。日本小児科学会は 2026 年 4 月に「麻疹患者数増加に関する注意喚起」を発表しており(2026 年第 1〜12 週で 152 例、東京都でも報告あり)、1 回しか接種していない・接種歴が不明な方(特に成人)は早めの接種をご検討ください。最新の流行状況は受診時にもご案内します。

当院での診断と治療

  • 一般小児科外来で、合併症のないはしかの診療・対症療法・経過観察を行います
  • 空気感染対策(個室・時間的分離)と保健所届け出を実施
  • 肺炎・脳炎・重度脱水・意識障害などの重症例は高次医療機関へ紹介します
  • 5 類全数把握疾患のため、診断時は保健所への届け出を行います
  • はしかの方と接触してしまった未接種のお子さま には、接触後 48 時間以内なら緊急のワクチン接種5 日以内なら免疫グロブリン で発症を抑えられる場合があります。心当たりがあれば、時間が勝負ですのですぐご連絡ください

「はしかかもしれない」という段階でのご連絡こそ歓迎していますので、ためらわずお知らせください。

よくあるご質問

Q. 風邪と何が違いますか?

空気感染で感染力が極めて強く、合併症で重症化しうる別の病気 です。マスクや手洗いだけでは予防が難しく、ワクチンが最も重要です。

Q. ワクチンは何回打てばよいですか?

MR ワクチン 2 回接種(1 歳と就学前)が標準です。

Q. いつから登園・登校できますか?

学校保健安全法では「解熱後 3 日を経過するまで」出席停止です。

Q. 大人もかかりますか?

1 回しか接種していない成人で流行することがあります。海外渡航前は接種歴の確認をおすすめします。


症状についてのご相談

気になる症状やご不安があるときは、無理にご家庭で様子を見続けず受診をご検討ください。お子さまの状態に合わせて個別にご案内します。

自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。麻しん(はしか)をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。

参考文献

  1. 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013. 第15章 感染症「麻疹」(印刷 p.322-325)
  2. 国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所). 麻しん(詳細版). https://id-info.jihs.go.jp/diseases/ma/measles/010/index.html (accessed: 2026-06-10)
  3. 国立健康危機管理研究機構. 麻しん Q&A. https://id-info.jihs.go.jp/relevant-information/measles/faq/overview/index.html (accessed: 2026-06-05)
  4. 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会. 2026 年における麻疹患者数増加に関する注意喚起(2026 年 4 月 1 日). https://www.jpeds.or.jp/uploads/2026-04/20260401_mashin.pdf (accessed: 2026-07-03)
  5. 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(感染症「麻疹」印刷 p.501+「修飾麻疹」印刷 p.503)

※本ページの内容は、上記参考文献および現行ガイドラインに基づいて作成しています。お子さま個別の判断は、症状や経過をうかがった上での診察が必要です。


この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

最終更新:2026 年 9 月 11 日

このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。

疾患情報一覧へもどる

お子さまの体調で気になることがあれば、
どうぞお気軽にご受診ください。

公式LINEで開院のお知らせを受け取る