尿道下裂(にょうどうかれつ)
おしっこの出口(外尿道口)が、本来のおちんちんの先端ではなく、それより手前側に開いている生まれつきの状態を尿道下裂といいます。日本小児外科学会は、男の子の出生 250〜300 人に 1 人程度にみられるとしています。決してまれな状態ではなく、手術の方法も確立しています。
💡 この記事の要点
- おしっこの出口が先端より手前にある生まれつきの状態で、250〜300人に1人にみられます
- 治療は手術で、日本小児外科学会は生後6か月〜1歳6か月ごろに行うことが多いとしています
- 軽いものは年長になるまで気づかれないことがあり、気づくのが遅れても責任を感じる必要はありません
どんな病気か
赤ちゃんがお腹の中にいるあいだに、おちんちんの尿道は先端に向かって作られていきます。この過程が途中までで止まると、おしっこの出口が先端まで届かず、おちんちんの途中・陰嚢・その手前のいずれかに開くことになります。
外尿道口がどこに開いているかで 遠位型・近位型に分けられます。また、勃起したときにおちんちんが腹側(お腹のほう)に曲がっていることが多いのも特徴です。
日本小児外科学会は、低出生体重で生まれたお子さまにやや多いこと、明らかな遺伝性は確立していないものの、父親やご兄弟に同じ状態がみられることもあると説明しています。
主な症状と気づきのポイント
- おしっこの出口が おちんちんの先端にない
- おちんちんが 腹側に曲がっている
- おしっこが思う方向に飛ばず、立ったまま排尿するのが難しいことがある
- 包皮のかぶさり方が左右で違う、背中側にだけ多く見える
軽いものは見た目の違いが小さく、年長になるまで気づかれないことがあると教科書にも書かれています。おむつ替えのときに気づかなかったからといって、見落としを責める必要はまったくありません。
なお、日本小児外科学会は、合併しやすいものとして 停留精巣・矮小陰茎・前立腺小室・二分陰嚢を挙げています。精巣が片方または両方とも触れない場合には、性分化疾患の可能性も含めて評価が必要になります。
紛らわしい病気(鑑別)
当院での診断と治療
尿道下裂の手術は行わず、気づいて・つなぐところを当院が担当します。
診察では、外尿道口の位置、おちんちんの曲がり、包皮の形、そして精巣が両方とも触れるかを確認します。乳児健診はこれを確認できるよい機会なので、気になることがあれば健診のときにお声かけください。
治療は手術です。日本小児泌尿器科学会は「飲み薬で治すことはできません。治療する場合は全身麻酔下の手術」と明記しています。手術では、曲がったおちんちんをできるだけまっすぐにし、おしっこの出口を新しく作ります。
手術の時期は、日本小児外科学会が「生後 6 か月から 1 歳 6 か月程度で行うことが多いが、施設によりさまざま」としています。MSD マニュアルも生後 6 か月ごろの手術に触れています。実際の時期は紹介先の施設の方針とお子さまの状態で決まります。
術後には尿道皮膚瘻(新しく作った尿道から皮膚に穴があく)・尿道狭窄・おちんちんの曲がりの残りといった合併症が起こることがあり、追加の手術が必要になる場合があります。日本小児外科学会は、思春期以降のホルモン療法についても触れています。
包皮を切る前に、ご相談ください
尿道下裂のお子さまでは、新しい尿道を作るときに包皮の組織を使うことがあります。MSD マニュアル家庭版は、「尿道下裂がある新生児の包皮を切除する(包皮環状切除術)前に、親は泌尿器科医に相談するべきです」と記しています。
包茎の手術を考えている場合や、他院で勧められた場合は、その前に一度ご相談ください。当院で見立てをして、必要なら専門の医師におつなぎします。
家庭でできるケア
ご家庭で行う治療はありません。ふだんの生活に制限もありません。
- おむつ替え・お風呂のときの洗い方は、ほかのお子さまと同じで大丈夫です
- 手術までの間、おしっこの飛び方が気になるときは、座って排尿していただいても構いません
- 手術後の入浴・保育園・運動の再開時期は、手術を受けた施設の指示が優先されます
よくあるご質問
Q. どのくらいの頻度でみられる状態ですか?
A. 日本小児外科学会は、男の子の出生 250〜300 人に 1 人程度としています。低出生体重で生まれたお子さまにやや多いとされています。
Q. いつ手術をしますか? 入院は必要ですか?
A. 日本小児外科学会は「生後 6 か月から 1 歳 6 か月程度で行うことが多いが、施設によりさまざま」としています。入院の要否や日数は施設によって違うため、ご紹介の際に一緒に確認します。
Q. 気づくのが遅くなってしまいました。手遅れでしょうか。
A. 軽いものは年長になるまで気づかれないことがある、と教科書にも書かれています。気づいた時点でご相談いただければ大丈夫です。ご自身を責めないでください。
Q. 将来、おしっこや性機能に影響しますか?
A. 手術の目的は、まっすぐに整えることと、おしっこの出口を機能する位置に作ることです。日本小児外科学会は、おちんちんの曲がりが強い場合に将来の性交時の問題につながりうると触れています。個別の見通しは、紹介先の医師とご相談ください。
Q. なぜ「包皮を切ってはいけない」と言われるのですか?
A. 新しい尿道を作るときに包皮の組織を使うことがあるためです。MSD マニュアル家庭版は、包皮を切除する前に泌尿器科医に相談すべきだとしています。包茎の手術を考えるときは、先にご相談ください。
Q. 遺伝しますか?
A. 日本小児外科学会は「明らかな遺伝性は確立されていない」としたうえで、父親や兄弟に同じ状態がみられることもある、と説明しています。
症状についてのご相談
「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。気になる症状があれば、受診をご検討ください。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。尿道下裂をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 一般社団法人 日本小児外科学会. 尿道下裂. http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/nyoudoukaretu (アクセス:2026-09-12)
- 日本小児泌尿器科学会. 尿道下裂・陰茎弯曲. https://jspu.jp/ippan_017.html (アクセス:2026-09-12)
- 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013.(第21章 腎泌尿器・生殖器疾患「尿道下裂」印刷 p.616)
- MSD マニュアル プロフェッショナル版. 尿道形成異常. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/19-小児科/先天性泌尿生殖器異常/尿道形成異常 (アクセス:2026-09-12)
- MSD マニュアル家庭版. 男性性器の先天異常. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/23-小児の健康上の問題/尿路と性器の先天異常/男性性器の先天異常 (アクセス:2026-09-12)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 14 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。