泌尿器 更新日:公開日:

亀頭包皮炎(きとうほうひえん)

「おちんちんの先が赤く腫れている」「白い膿のようなものが出た」「おしっこのときに痛がる」——男の子を育てていると、多くのご家庭が一度は出会う症状です。亀頭包皮炎は、包皮と亀頭のあいだに細菌が入って炎症を起こしたもので、お薬でよくなることがほとんどです。日本小児泌尿器科学会は、おちんちんが育っていく 2〜5 歳ごろによく起こるとしています。

💡 この記事の要点

  • 包皮と亀頭のあいだに細菌が入って起こる炎症で、多くはお薬でよくなります
  • おうちでは無理に皮をむかず、ぬるま湯でやさしく流すだけで十分です
  • むいた皮が戻らず腫れて痛がるとき(嵌頓包茎)は、夜間休日でも受診が必要です

どんな病気か

小さな男の子のおちんちんは、包皮(皮)が亀頭にかぶさっていて、まだ自然にはむけません。これは病気ではなく、成長の途中の自然な状態です。ただ、その分だけ皮と亀頭のあいだは汚れがたまりやすく、そこに細菌が入ると炎症が起こります。これが亀頭包皮炎です。

原因になる菌は特別なものではなく、ブドウ球菌やレンサ球菌といった、身のまわりにふつうにいる菌が多いとされています。おむつの中がむれていた、砂場で遊んだ手でさわった、そんな日常のきっかけで起こります。うつる病気ではないので、きょうだいに感染する心配はありません。

日本小児泌尿器科学会は、この炎症が おちんちんの発達の過程である 2〜5 歳ごろに起こると説明しています。包皮が自然にむけるようになっていく年齢を過ぎると、起こりにくくなっていきます。

主な症状と気づきのポイント

おむつ替えやお風呂のときに気づかれることがほとんどです。日本小児外科学会は、亀頭包皮炎の様子を次のように説明しています。

  • 包皮や、おちんちん全体が 赤くなる・腫れる
  • さわらなくても痛いことがある
  • おしっこのときに痛みを感じる

これに加えて、小児科の教科書(標準小児科学)は、陰茎の先端から膿が出ることを挙げています。

痛みでおしっこをがまんしてしまうお子さまもいます。「トイレに行きたがらない」「おむつを替えるときだけ強く泣く」といった様子から気づかれることもあります。

熱が出ているときは、おちんちんだけの問題ではなく尿路感染症のこともあるため、別に調べたほうがよい場合があります。

紛らわしい病気(鑑別)

  • おむつかぶれ・接触皮膚炎——おむつの当たる範囲全体が赤くなります。亀頭包皮炎は、おちんちんの先に赤みが集まるのが違いです。
  • 嵌頓(かんとん)包茎——いったんむいた皮が元に戻らず、亀頭を締めつけている状態です。日本小児泌尿器科学会も「至急に受診が必要」としています。
  • 尿路感染症準備中——発熱を伴うときに考えます。
  • 埋没陰茎——おちんちんが皮膚の下に埋もれている状態で、日本小児泌尿器科学会は「包茎と区別する必要がある」としています。亀頭包皮炎を繰り返す背景になることがあります。

当院での診断と治療

診察では、患部を見せていただくのが中心で、多くの場合、特別な検査は要りません。診断がついたら、抗生物質の飲み薬、または軟膏で治療します。日本小児外科学会も、この 2 つを治療として挙げています。

多くは数日で赤みと痛みが引いていきます。おしっこのときの痛みが強いときは、痛み止めを併せてお出しすることもあります。

あわせて、包皮がどのくらいむけるか、埋没陰茎のような別の状態が隠れていないかも確認します。お子さまが恥ずかしがるお年ごろのときは、見る時間を最小限にして、声かけの仕方も含めて配慮しながら診察します。

繰り返すときの考え方

「何度も繰り返すと手術になるのでは」と心配される方が多いところですが、繰り返した=すぐ手術、ではありません。学会のあいだでも次のように説明の力点が違います。

説明
日本小児外科学会 手術は保存療法で改善しないときに、繰り返す亀頭包皮炎・尿路感染、排尿の障害、嵌頓包茎などの場合に限って行われる
日本小児泌尿器科学会 亀頭包皮炎は 2〜5 歳ごろに起こるもので、必ずしも包茎の治療が必要な理由にはならない

当院では、まず回数と間隔を一緒に整理するところから始めます。そのうえで、明らかに繰り返している・おしっこが出しにくい・埋没陰茎が疑われる、といったときに小児外科や小児泌尿器科へご紹介します。

家庭でできるケア

無理にむかない

いちばん大事なところです。きれいにしようとして強くむくと、皮が小さく切れて、治るときに癒着してかえってむけにくくなることがあります。むいた皮が戻らなくなる嵌頓包茎につながることもあります。

なお、「お風呂でむいて洗ったほうがよいか」については、日本小児外科学会・日本小児泌尿器科学会のいずれの一般向けページにも、洗い方としての明確な指導は書かれていません。当院では、包茎のページと同じく 無理にむかない方針でご案内しています。

洗い方

  • ぬるま湯を上からかけて流すだけで十分です。石けんを皮の内側まで入れる必要はありません
  • 自然にむけるようになってきたら、入浴のときにやさしく洗うようにしていきます
  • 皮の内側に見える白い垢(恥垢)は、無理に取らなくて大丈夫です

炎症が起きているとき

  • 塗り薬が出ているときは、清潔な手で、赤くなっているところにうすくのばします
  • おしっこのときに痛がるときは、シャワーのぬるま湯をかけながら排尿すると楽なことがあります
  • 痛みでおしっこをがまんしてしまうと、かえって長引くことがあります。水分をふだんより多めにとれるとよいですね

🚑 こんなときは迷わず救急受診を

次のようなときは、夜間・休日でも救急外来の受診をご検討ください(迷うときは小児救急電話相談 #8000)。

  • むいた皮が元に戻らず、強く痛がる・先のほうが腫れて暗い赤色や紫色になっている(嵌頓包茎)
  • おしっこがまったく出ない
  • 高い熱が出て、ぐったりしている

よくあるご質問

Q. おちんちんが赤く腫れています。今日中に受診したほうがいいですか?

A. 熱がなく、おしっこが出ていて、機嫌もそれほど悪くなければ、翌日の診療時間でも間に合うことがほとんどです。ただし、むいた皮が戻らない・おしっこが出ない・高い熱が出ているときは、その日のうちに受診をご検討ください。

Q. お風呂でむいて洗ったほうがいいですか?

A. 無理にむく必要はありません。学会の一般向けページにも「むいて洗う」という指導は書かれていません。ぬるま湯を上からかけて流すだけで十分です。強くむくと皮が切れて、かえってむけにくくなることがあります。

Q. 何度も繰り返します。手術が必要でしょうか?

A. 繰り返したからといって、すぐに手術という話にはなりません。日本小児泌尿器科学会は「必ずしも包茎の治療が必要な理由にはならない」としています。一方で、明らかに繰り返しているときや、おしっこが出しにくいときは、小児外科・小児泌尿器科でご相談いただく対象になります。回数と間隔を診察で一緒に整理させてください。

Q. 保育園は休んだほうがいいですか?

A. 人にうつる病気ではないので、登園を止める必要はありません。おしっこのときに痛がるときは、園の先生に「トイレをがまんしていないか気にかけてください」とひとこと伝えていただけると安心です。

Q. 市販の塗り薬を使ってもいいですか?

A. 赤みの原因が炎症なのか、かぶれなのかで合う薬が変わります。手元にあるものを塗る前に、一度診せていただけると確実です。

Q. うんちのあとの拭き方や、おむつで気をつけることはありますか?

A. おむつの中がむれていると起こりやすくなるので、こまめに替えていただくのが予防になります。拭くときは、皮をめくらずに外側だけをやさしく拭いていただければ十分です。

症状についてのご相談

「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。気になる症状があれば、受診をご検討ください。

自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。亀頭包皮炎をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。

参考文献

  1. 一般社団法人 日本小児外科学会. 包茎. http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/houkei (アクセス:2026-09-12)
  2. 日本小児泌尿器科学会. 包茎. https://jspu.jp/ippan_011.html (アクセス:2026-09-12)
  3. 内山聖 編. 標準小児科学 第8版. 医学書院; 2013.(第21章 腎泌尿器・生殖器疾患「包茎」印刷 p.614)
  4. MSD マニュアル プロフェッショナル版. 亀頭炎,包皮炎,および亀頭包皮炎. https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/03-泌尿器疾患/陰茎および陰嚢疾患/亀頭炎-包皮炎-および亀頭包皮炎 (アクセス:2026-09-12)

この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

最終更新:2026 年 9 月 14 日

このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。

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