成長痛
夕方や寝る前に「足が痛い」と言うのに、朝になるとケロッと元気——。お子さまが幼児期から学童期にかけて、こうした足の痛みを訴えることはとてもよくあります。その多くは 成長痛 と呼ばれる、心配のいらない一時的な痛みです。このページでは、成長痛の特徴と家庭でできるケア、ほかの病気との見分け方の考え方を、保護者の方の目線でまとめました。
💡 この記事の要点
- 夕方から夜に足が痛み朝には消える、心配のいらない一時的な痛みです
- 痛む場所をやさしくさすり温めてあげることが安心につながります
- 毎回同じ片足が痛む・関節が腫れる・足を引きずる時は別の原因のことがあります
どんな病気か
成長痛は、おおむね 幼児期から学童期(およそ 2〜12 歳ごろ) の子どもに見られる、夕方から夜にかけての足の痛みです。検査をしても体に異常が見つからないのに、本人はちゃんと痛みを感じている状態(医学的には「機能的疼痛」と呼ばれる、検査に異常が出ないタイプの痛み)で、ほかの病気の可能性を一つひとつ確かめたうえで診断します。
「成長そのものが痛みの原因」というイメージを持たれがちですが、医学的にはその証拠は乏しいことがわかっています。日中の活動による疲れ、痛みの感じやすさの個人差、環境の変化など、いくつかの要因が重なって起きると考えられています。
報告にもよりますが、子どもの およそ 10〜37% が経験するというデータがあり、けっして珍しい症状ではありません。多くの場合、小学校高学年までには自然に治まります。
主な症状と気づきのポイント
「これって本当に成長痛? ほかの怖い病気ではない?」というのは、夜中に泣くお子さまを前にした保護者の方が最初に抱く不安だと思います。成長痛は、次のような特徴があるとされています。
成長痛らしい特徴
- 両側の足に出る(毎晩同じ場所ではなく、今日は右、明日は左、というように痛む場所が日によって変わる)
- 主に すね・ふくらはぎ・膝のまわり・太ももの前 など、ひざ下から太もも前面のあたり
- 夕方から寝る前・寝入りばな・夜間 に出る
- 朝にはきれいに消えている
- 痛みは数分から数時間で、いつもの調子に戻る
- さすってあげたり温めたりすると楽になることが多い
- 歩き方は普段どおりで、走ったり遊んだりに支障はない
- 関節が腫れたり赤くなったりしない
- 日中は元気で食欲もある
逆に、毎回同じ片足の同じ場所だけが痛む、日中も痛がる、関節が腫れている、足を引きずるような歩き方(跛行)になる、といった様子があるときは、別の原因が隠れていることがあります。気になるときは無理に自己判断せず、相談してください。
紛らわしい病気(鑑別)
成長痛と似た症状を起こす病気は、いくつかあります。ごく稀ですが見逃してはならない病気も含まれるため、医療機関ではこれらの可能性を一つひとつ確かめながら診断します。保護者の方がすべてを覚える必要はありませんが、「成長痛と一言でくくれない場合がある」ことだけ知っておいていただけると安心です。
- 若年性特発性関節炎(子どもにみられる関節の炎症) — 関節が腫れる、朝のこわばりがある、長く続く
- 骨端症(成長期の骨の端に負担がかかって起きる痛み。オスグッド病・セーバー病など) — スポーツをしている学童に多く、特定の場所が運動で痛む
- 単純性股関節炎(股関節の一時的な炎症) — 風邪のあとなどに股関節を痛がり、足を引きずる
- 骨折や骨の感染(化膿性骨髄炎・関節炎など) — けがのあとや、強い痛み・発熱を伴う
- 血液の病気(白血病など、ごく稀) — 持続する夜間痛、顔色不良、出血斑、体重減少などを伴う
これらは成長痛とは別の特徴があり、お話を伺ったり診察したりすれば多くは区別できます。ご家庭で見分ける必要はありませんので、気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。
当院での診断と治療
成長痛は「これがあれば成長痛」と一発でわかる検査がなく、お話と診察、必要に応じた検査でほかの病気の可能性を確かめながら診断していく流れになります。
当院では、
- お子さまの痛みの 場所・出る時間・続く時間・きっかけ をていねいに伺います
- 関節や歩き方、全身の状態を診察します
- 典型的な成長痛であれば、追加の検査は基本的に行いません
- 関節の腫れ・発熱・体重減少など気になる所見があるときは、血液検査などで確かめます
- 専門的な検査・治療が必要と判断したときは、小児整形外科や近隣の専門医療機関と連携して対応します
成長痛に対する特別なお薬や治療法はなく、安心していただくための説明と、痛みをやわらげる家庭でのケア が中心になります。痛みが強いときに小児用のアセトアミノフェン(カロナールなどの主成分)を一時的に使うこともあります。
家庭でできるケア
ご家庭でできることはシンプルで、特別な道具はいりません。「痛いの嫌だね、さすってあげるね」と声をかけるだけでも、お子さまの安心につながります。
さする・なでる お風呂上がりや寝る前に、痛がっている場所を手のひら全体で 5 分ほどやさしくさすってあげてください。強くもむ必要はなく、お子さまが「気持ちいい」と言う強さが目安です。
温める 入浴で全身を温める、蒸しタオルや温かいタオルを痛む場所に当てる、といった方法が役立ちます。タオルを使うときは、肌に当てる前に保護者の方が温度を確かめてください(やけど防止のため、熱すぎないか手の内側で確認してから使うのが安心です)。
やさしく伸ばす 寝る前に、ふくらはぎや太もも前面をゆっくり伸ばすストレッチを取り入れるご家庭もあります。痛みが強くなる方向には伸ばさず、お子さまが気持ちよいと感じる範囲で行ってください。
痛みが強いときの市販薬 小児用のアセトアミノフェン(カロナールなど)の頓用は、用量・用法を守れば使えます。ただし「成長痛は薬で治す病気」ではないため、毎晩のように使う前に一度ご相談いただくことをおすすめします。
生活のリズム 十分な睡眠、適度な運動と休息、バランスのよい食事が基本です。運動会の練習などで疲れがたまっている時期は、本人が痛がる日は無理をさせない、というメリハリで大丈夫です。完全に運動を止める必要はありません。
心の面でも 痛みを訴えていることをそのまま受け止めてあげてください。「気のせいじゃない?」と否定されると、お子さまは安心して甘えられなくなってしまいます。痛みは本物として受け止め、そばにいてあげるだけで十分な手当てになります。
なお、痛みは毎晩ではなく 数日〜数週間の波がある のが典型的です。「昨日は何ともなかったのに今日はまた痛がる」というのは、成長痛らしいパターンです。
よくあるご質問
Q. 夜中に泣いて「足が痛い」と起きるのですが、これは成長痛ですか?
夕方〜寝入りばな〜夜間に出て、朝にはきれいに消えているなら、成長痛に多い特徴です。ただし、「目が覚めるほど強い痛み」が毎晩のように続く・痛がる場所が片足の同じ部位ばかり・日中も痛がる、といった場合は別の原因も考えます。心配なときは、痛がっている様子を動画に撮っておくと診察に役立ちます。
Q. 足首やかかとを痛がります。これも成長痛ですか?
成長痛で痛みが出やすいのは、太ももの前・膝のまわり・すね・ふくらはぎといった、膝を中心としたあたりです[1][2]。足首やかかとは、典型的な部位ではありません。 かかとを痛がるときはセーバー病(踵骨骨端症)、足の甲であればケーラー病といった骨端症のことがあり、どちらもスポーツや運動量が増える時期に多くみられます。ひねったなどのけがが隠れていることもあります。左右どちらか一方の同じ場所ばかり痛がる・押すと痛い・運動のときだけ痛い、といった様子があれば、成長痛以外の原因を考えて診察します。
Q. マッサージはどのくらいの強さでしてあげればいいですか?
保護者の方の手のひら全体でやさしくさする程度で十分です。お子さまが「気持ちいい」と言う強さが目安。痛みが強くなる方向の刺激は避けてあげてください。
Q. 市販の子ども用鎮痛薬(アセトアミノフェン)はあげても大丈夫ですか?頻度は?
用法・用量を守れば、痛みが強い夜の頓用は可能です。ただ、連日続くようであれば一度ご相談ください。「薬で抑え続ける」ではなく、ほかの原因がないかを確かめるきっかけにしていただきたいからです。
Q. 運動会の練習が始まったら痛がるようになりました。運動は休ませた方がいい?
完全に止める必要はありません。疲れすぎないように調整し、本人が痛がる日は無理をさせない、という対応で大丈夫なことが多いです。
Q. 痛がる日と痛がらない日があります。バラバラなのは普通?
はい、毎晩ではなく波があるのが典型的です。日中元気で、朝も普通に登園・登校できているなら、しばらく様子を見て大丈夫なことが多いです。
Q. 兄弟(姉妹)も同じ年頃に痛がっていました。遺伝しますか?
家族内で経験するお子さまは多いと言われていますが、遺伝病ではありません。「よくあること」として安心していただいて大丈夫です。
症状についてのご相談
「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。夜中に痛がっていて心配なとき、いつもと違う気がするとき——気になるときは受診で一緒に考えます。
自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。成長痛をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。
参考文献
- 日本小児整形外科学会. 成長痛. https://www.jpoa.org/disease/growingpains/ (accessed: 2026-06-10)
- 医学書院. こどもの整形外科疾患の診かた 第 3 版. https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/115430 (accessed: 2026-06-02)
この記事の監修
院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)
最終更新:2026 年 9 月 8 日
このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。