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臍ヘルニア(でべそ)

赤ちゃんのおへそがぽこっと膨らんでいると、「これって大丈夫?」と心配になりますね。でべそ(臍ヘルニア)は赤ちゃんにとても多くみられる状態で、その多くは時間とともに自然に閉じていきます。このページでは、どんな状態でどう経過していくのか、おうちでの過ごし方、医療機関にご相談いただきたいサインを、自由が丘のキッズクリニックまるまるからわかりやすくお伝えします。

💡 この記事の要点

  • でべそは1歳までに約8割、2歳までに約9割が自然に閉じるおへその膨らみです
  • 入浴や抱っこは普段どおりで、コインを貼るなどの民間療法は避けましょう
  • 出ている部分が戻らない・皮膚の色が変わる・強く痛がるときは急ぎの対応が必要です

どんな病気か

でべそ(臍ヘルニア)は、おへその真ん中にある小さな穴(赤ちゃんのおなかの壁が最後に閉じる場所)がまだ閉じきっていないため、おなかの中の腸などがその穴から少し顔を出してふくらんでいる状態 です。生まれて間もない赤ちゃんによくみられ、新生児の約 10〜20% にみられると報告されています。早産で生まれた赤ちゃんではさらに多い傾向があります。

「出べそ」「出臍」と書かれることもありますが、いずれも同じ状態を指す呼び名で、医学的には 臍ヘルニア と呼びます。

ここで大切なのは、赤ちゃんの体の成長そのもののばらつきで起こる、自然な現象 だということ。保護者の方の妊娠中の過ごし方や育児のしかたが原因ではありません。多くは生後数か月から 1〜2 歳ごろにかけて、おへその穴が自然に閉じていきます。

なお、名前のよく似た「臍帯(さいたい)ヘルニア」は、生まれたときから大きくおなかの壁が開いている別の病気で、出生直後に新生児外科で治療されます。ふだん「でべそ」と呼ばれる臍ヘルニアとは別物 ですので、混同されませんように。

主な症状と気づきのポイント

「うちの子のおへそ、放っておいて大丈夫かな?」と最初に気になるのは、ふくらみの様子だと思います。典型的なでべそは次のような見え方をします。

  • おへその部分が半球状にぽこっと盛り上がる
  • 泣いたり、いきんだり、便でりきんだりすると目立つ(落ち着くと小さくなる)
  • 大きさは通常、数 mm〜2 cm 程度のことが多い
  • 指でやさしく押すと、すっとおなかの中に戻る(無理に押し込む必要はありません)
  • 痛がる様子はなく、機嫌・ミルクの飲み・うんちの様子も普段どおり

泣くと膨らみが目立つので「泣かせない方がいいのかな」と心配される方も多いのですが、泣くこと自体は問題ありません。無理に泣き止ませようと焦らなくて大丈夫です。

ごくまれに、出ている部分が戻らなくなったり、皮膚の色が変わったり、赤ちゃんが強く痛がったりすることがあります(嵌頓=かんとん、と呼ばれる状態)。これは赤ちゃんの臍ヘルニアでは 1% 未満ともいわれる非常にまれな状態ですが、ふだんと違う様子があれば、後述の「症状についてのご相談」からお知らせください。

紛らわしい病気(鑑別)

おへその周りのトラブルには、でべそ(臍ヘルニア)と見分けがつきにくいものがいくつかあります。自己判断は難しいので、気になるものがあれば診察でご一緒に確認させてください。

  • 臍肉芽腫(さいにくげしゅ):へその緒が取れたあと、おへその表面に赤い小さなできものが残るもの。じゅくじゅくしたり、肌着に血のような汁がつくことがあります。でべそ(おなかの中から押し出されるふくらみ)とは別の状態です。
  • 臍ポリープ:おへその奥に小さな赤い組織が残るまれな状態。表面の赤いつぶつぶで気づかれます。
  • 腹直筋離開(ふくちょっきんりかい):おなかの真ん中の筋肉が左右に少し離れていて、泣くとおなか全体が縦長にふくらむことがあります。おへそそのもののふくらみではなく、健診で説明されることが多いものです。
  • 臍帯ヘルニア:先ほどお伝えした、生まれたときから大きくおなかの壁が開いている別の病気です。でべそ(臍ヘルニア)とは名前は似ていますが別物 で、出生時に診断されます。

当院での診断と治療

診断について

でべそ(臍ヘルニア)は、おへその見た目と、やさしく触れることで診断できます。エコーや血液検査などの追加検査は通常必要ありません。健診や受診のついでに「これって大丈夫ですか?」とお気軽にご相談ください。

治療の基本は「経過観察」

赤ちゃんのでべその大多数は、特別な治療をしなくても自然に閉じていきます。1 歳までにおよそ 80%、2 歳までにおよそ 90% が自然に閉じる と報告されており、当院でもまずは焦らず経過をみていきましょうとお伝えしています。

おうちでは入浴も抱っこも普段どおりで構いません。「ふくらみが大きいから」と特別なことを控えていただく必要はありません。

テープ圧迫療法について

近年、やわらかい当て物(綿球やスポンジ)とテープでおへそをやさしく押さえて自然閉鎖を助ける「テープ圧迫療法」が、有効性を示す報告とともに広まりつつあります。一方で、エビデンスはまだ限定的で施設により方針が分かれている こと、皮膚障害(かぶれ・ただれ)のリスクがある ことから、ご家庭で自己流に行うことは避けてください

ご希望があれば、当院で適応・実施可否をご一緒に判断します。実施する場合も、必ず医師の指導のもとで行い、おへその周りに赤みやびらん(皮膚のすりむけ)が出てきたら中止します。

手術について

ほとんどのお子さまで手術は必要ありません。現行の小児外科の標準的な考え方では、2 歳ごろを過ぎても自然に閉じない場合や、ふくらみが大きい場合、ごくまれに嵌頓(戻らなくなる)があった場合などに、小児外科でご相談・手術を検討 します(具体的な時期は施設の方針によって幅があります)。手術はおへその穴を縫って閉じる比較的短時間のもので、日帰り手術として行われることもあります。

当院で対応できること

  • おへその診察と診断
  • 経過観察と、保護者の方への説明・育児面でのご相談
  • 必要に応じてテープ圧迫療法の適応判断・実施
  • 手術が必要そうな場合や、嵌頓が疑われる場合の小児外科への紹介

家庭でできるケア

赤ちゃんのでべそとお付き合いするうえで、おうちで気をつけていただきたいのは「特別なことをしすぎない」ことです。以下は、外来でもよくお伝えしている内容です。

  • お風呂は普段どおり で大丈夫です。おへその部分も、まわりと同じようにやさしく洗い、清潔なガーゼなどで水気をふきとってください。
  • 抱っこ・うつぶせ遊び・寝かせ方 も特別な配慮は不要です。腹ばい遊びを控える必要もありません。
  • 服やおむつのゴム が当たることでへこむことがありますが、それ自体は問題ありません。皮膚に赤みやかぶれが出てきた場合だけ、ご相談ください。
  • 泣いたり力んだりするとふくらむのは自然なこと。泣かせない努力をしていただく必要はありません。
  • コインや 10 円玉を貼る、布で強く縛る といった昔ながらの民間療法は、皮膚を傷めたり感染の原因になることがあるため避けてください。気になる場合は、医療として確立しつつあるテープ圧迫療法とは別物ですので、自己流ではなく一度ご相談いただくのが安心です。
  • 写真でふくらみの大きさを記録 しておくと、健診や受診のときに経過の比較に役立ちます。気になるときはぜひ持参してください。
  • 自然に閉じたあとも、おへその皮膚が少したるんで残ることがあります。これは医学的には心配のないものですが、見た目が気になる場合はご相談いただけます。

おへその閉じ方のスピードはお子さまによって本当にさまざまです。「同じ月齢の子より大きいかも」と感じても、多くの場合は時間が解決してくれます。気がかりなことがあれば、いつでも一緒に様子をみていきましょう。

よくあるご質問

Q. 泣いたり力んだりすると、もっとふくらみます。泣かせないようにしたほうがいいですか?

泣くこと自体は赤ちゃんの大切な表現で、ふくらむこと自体もご心配いりません。無理に泣き止ませようと頑張っていただかなくて大丈夫です。

Q. おむつやズボンのゴムが当たって平らになっています。問題ないでしょうか?

通常はそのままで問題ありません。赤みやかぶれが続く場合だけ、診察でご相談ください。

Q. コインや 10 円玉を貼ると治ると聞きました。やってもいいですか?

自己流の強い圧迫は皮膚を傷めることがあるため、おすすめしていません。やわらかい当て物を使うテープ圧迫療法をご希望の場合は、医師の指導のもとで行えますので、一度ご相談ください。

Q. 早く生まれた子に多いと聞いて、自分の妊娠中の過ごし方のせいかと不安です。

でべそは赤ちゃんの体の成長のばらつきで起こるもので、保護者の方の責任ではありません。早産児では確かに頻度が高い傾向はありますが、多くはやはり自然に閉じていきます。

Q. 上の子もでべそでした。下の子も同じになりやすいですか?

ご家族での集積(兄弟姉妹で同じようにみられる)はときどき経験することですが、特別珍しいことではなく、ほとんどは自然に閉じていきます。

Q. 自然に閉じたあとも、おへその形が少し気になります。大きくなってからでも相談できますか?

はい、整容(見た目)のご相談も歓迎です。年齢やご希望に応じて、必要時は小児外科とも連携してご案内します。

症状についてのご相談

おへそのふくらみは多くの場合「自然に閉じるのを一緒に待つ」もので大丈夫ですが、ふだんと違うご様子があるとき、ご家庭でケアしていいか迷ったとき、テープ療法をご検討のとき など、どんな小さなご心配でも構いません。一緒に様子をみていきましょう。

「この症状で受診すべき?」という判断は、お子さまの状態を直接お伺いした上で個別にご案内します。気になる症状があれば、受診をご検討ください。


自由が丘キッズクリニックまるまるは、自由が丘駅から徒歩1分の小児科です。臍ヘルニア(でべそ)をはじめ、お子さまの気になる症状は、Web または LINE からご予約ください。

参考文献

  1. 日本小児外科学会. 臍ヘルニア. http://www.jsps.or.jp/archives/sick_type/ (accessed: 2026-06-02)
  2. 聖マリアンナ医科大学 横浜市西部病院. 臍ヘルニア(1 歳までに 80%、2 歳までに 90% 以上が自然閉鎖/圧迫療法で 1 歳半〜2 歳を超えても改善しない場合に手術). https://seibu.marianna-u.ac.jp/medical/cases/9986/ (accessed: 2026-06-10)
  3. 社会医療法人 母恋 天使病院. 鼠径ヘルニア・臍ヘルニアセンター. https://www.tenshi.or.jp/shinryouka/sokei-saihernia.html (accessed: 2026-06-02)
  4. 医療情報科学研究所 編. 病気がみえる vol.15 小児科 第1版. メディックメディア; 2022.(消化器「臍帯ヘルニア・腹壁破裂・臍ヘルニア」印刷 p.215)

この記事の監修

院長 山口いぶき(日本小児科学会 専門医)

最終更新:2026 年 9 月 2 日

このページは一般的な医学情報をご紹介するもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。お子さまの症状については、受診のうえでご相談ください。

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